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第一三共の鼻腔噴霧のインフルエンザ予防ワクチンなど6製品審議へ 2月27日の薬食審・第二部会で

公開日時 2023/02/14 04:47
厚生労働省は2月27日に薬食審・医薬品第二部会を開き、第一三共の鼻腔噴霧インフルエンザ弱毒生ワクチン「フルミスト点鼻液」など6製品を審議する。同ワクチンは、承認されれば国内初の経鼻投与のインフルエンザ予防ワクチンとなる。阪大微生物病研究会の百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎(ポリオ)、インフルエンザ菌b型(Hib)による侵襲性感染症を予防する5種混合ワクチンのゴービック水性懸濁注シリンジも審議される。承認されれば5種混合ワクチンは国内初となる。

◎報告品目 エンハーツのHER2低発現乳がんの適応追加、シルガード9の2回接種など

報告品目は8製品で、第一三共の抗体薬物複合体(ADC)・エンハーツ点滴静注用に「HER2低発現乳がんの適応を追加すること」が含まれている。HER2低発現乳がんは乳がん患者全体の約半数が該当するとされている。また、MSDのHPVワクチンであるシルガード9水性懸濁筋注について、9歳以上15歳未満の女性は計2回接種(現在は計3回接種)とする新用法・用量も報告される。

承認されれば、いずれも3月中に正式承認されるとみられる。

【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
フルミスト点鼻液(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン、第一三共):「インフルエンザの予防」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

4種類のインフルエンザウイルス(A型2種類、B型2種類)を含む鼻腔噴霧型のインフルエンザ弱毒生ワクチン。承認されれば、国内初の経鼻投与のインフルエンザ予防ワクチンとなる。第一三共は英アストラゼネカの子会社のメディミューンから日本での開発・販売権を取得して開発。2016年6月に申請した。

ゴービック水性懸濁注シリンジ(沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルb型混合ワクチン、阪大微生物研究会):「百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎及びインフルエンザ菌b型による感染症の予防」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。

同ワクチンは、既存の百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオの4種混合ワクチンであるテトラビック皮下注シリンジに、Hibワクチンを加えたもの。Hibワクチンが新有効成分となる。承認されれば、5種混合ワクチンは国内初。阪大微研は田辺三菱製薬と共同開発した。

5種混合ワクチンは2014年に定められた「予防接種に関する基本的な計画」で開発優先度の高いワクチンの一つに選定されている。現在、2歳までに必要な定期接種ワクチンの総接種回数は20回以上におよぶ。両社は、「混合ワクチンの実用化により、接種回数を削減することは乳幼児および保護者の負担軽減につながる」としている。

ベスレミ皮下注250μgシリンジ、同皮下注500μgシリンジ(ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)、ファーマエッセンシアジャパン):「真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

長時間作用型モノペグ化プロリンインターフェロン。ファーマエッセンシアによると、「薬物動態の特性が改善したことにより従来のペグ化インターフェロンからさらに投与間隔を延長できることが期待されている」としている。

同社のコアテクノロジーである「部位選択的ペグ化技術」は、タンパク質分子内の特定のアミノ酸をポリエチレングリコール(PEG)という高分子化合物によって選択的に修飾できるようにした技術で、化学的に均一な「ペグ化タンパク質」の合成を可能にした。このペグ化によってタンパク質医薬の体内における分解が抑制され、半減期の延長と長時間にわたる効果の持続につながり得る、優れた薬物動態/薬力学的特性を示す。

同社は台湾の台北に本社を置く。同剤は、同社として初めて日本で承認申請した品目。

ペマジール錠4.5mg(ペミガチニブ、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン):「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。

ファースト・イン・クラスの選択的線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬。

FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍は、極めて希少な血液がんの1つで、染色体のFGFR1遺伝子が存在する領域(8番染色体短腕11-12領域:8p11-12領域)が切断され、別の染色体の断片(遺伝子)と融合した染色体異常によって引き起こされる。さまざまなパートナー遺伝子がFGFR1チロシンキナーゼの活性化を誘導し、その結果、がん細胞の増殖と生存に影響を及ぼす。

病型は骨髄増殖性腫瘍(MPN)、骨髄異形成症候群(MDS)/MPN、急性骨髄性白血病(AML)、前駆T又はBリンパ芽球性白血病/リンパ腫、混合表現型急性白血病(MPAL)など多彩。予後は不良で、治癒あるいは長期寛解を期待できる治療選択肢は現在、同種造血幹細胞移植のみとされ、標準治療は確立されていない。

コムレクス耳科用液1.5%(レボフロキサシン水和物、セオリアファーマ):「〈適応菌種〉本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、肺炎桿菌、エンテロバクター属、セラチア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属――。〈適応症〉外耳炎、中耳炎」を対象疾患とする新投与経路医薬品。

キノロン系抗菌薬。外耳炎や中耳炎に対し、点耳で用いる。セオリアファーマは耳鼻咽喉科領域のスペシャリティ企業。

バリキサドライシロップ5000mg(バルガンシクロビル塩酸塩、田辺三菱製薬):「症候性先天性サイトメガロウイルス感染症」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。

抗サイトメガロウイルス化学療法剤。承認されれば、症候性先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症に対する世界初の治療薬となる。

症候性先天性CMV感染症は、CMVが妊婦の胎盤を経由して胎児に感染して発症する疾患。国内で年間1700人程度が発症すると推計されている。症候性先天性CMV感染症の新生児は、出生時に中枢神経障害や難聴などの症状を示し、その後、精神発達遅滞などの神経学的後遺症を残す割合が多く、成長や発達を損なうことが問題となっている。

バリキサは現在、▽後天性免疫不全症候群、▽臓器移植(造血幹細胞移植も含む)▽悪性腫瘍――におけるCMVや、臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるCMVの発症抑制――を効能・効果としている。

【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同120mg、同240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「非小細胞肺がんにおける術前補助療法」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

抗PD-1抗体。今回追加する非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法は、手術後の再発予防を目的とするもので、化学療法と併用する。小野薬品の発表資料によると、治癒を目的とした外科手術がNSCLCのステージI~IIIBの一部の患者に実施されているが、手術を行った場合でもNSCLC患者の30~55%で再発し、亡くなっているという。

テクネフチン酸キット(フィチン酸テクネチウム(99mTc)、PDRファーマ):「子宮頸がん、子宮体がん、外陰がん、頭頸部がんにおけるセンチネルリンパ節の同定及びリンパシンチグラフィ」を対象疾患とする新投与経路医薬品・新効能医薬品。公知申請。

エンハーツ点滴静注用100mg(トラスツズマブデルクステカン(遺伝子組換え)、第一三共):「化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳がん」を対象疾患とする新効能医薬品。

抗HER2抗体薬物複合体(抗HER2 ADC)。HER2低発現乳がんは、乳がん患者全体の約半数が該当するとされ、新規の患者カテゴリーとなる。

現在、HER2陽性乳がんは、IHC法でスコア3+、またはIHCスコア2+/ISH陽性――を指し、乳がん患者のうちHER2陽性例は15~20%とされる。これ以外は現在、HER2陰性に分類される。

これに対して新カテゴリーのHER2低発現乳がんは、IHCスコア2+/ISH陰性、またはIHCスコア1+を指す。この新カテゴリーは、エンハーツの化学療法既治療のHER2低発現乳がん患者を対象としたグローバル第3相臨床試験(DESTINY-Breast04試験)で、主要評価項目と重要な副次評価項目をすべて達成したことで注目された。

米国では同試験結果などをもとに22年8月に「化学療法既治療のHER2低発現乳がん」の適応追加が承認され、HER2低発現乳がん患者に対して延命効果を示す初めてかつ唯一のHER2標的薬として存在感を高めている。ちなみに、米国での審査期日は当初11月26日だったが、7月下旬の申請受理から11日後に承認される異例のスピード承認だった。なお、米国ではHER2低発現を特定する初のコンパニオン診断薬が10月に承認され、適応患者をより簡便に診断できる。

欧州でも今年1月に、「転移再発で化学療法を受けた(周術期化学療法による治療期間中または終了後6ヵ月以内に再発した場合を含む)HER2低発現の手術不能または転移性乳がん」の適応で承認された。

シルガード9水性懸濁筋注シリンジ(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来)、MSD):「ヒトパピローマウイルス6、11、16、18、31、33、45、52及び58型の感染に起因する以下の疾患。▽子宮頸がん(扁平上皮がん及び腺がん)及びその前駆病変(子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)1、2及び3並びに上皮内腺がん(AIS))、▽外陰上皮内腫瘍(VIN)1、2及び3並びに腟上皮内腫瘍(VaIN)1、2及び3、▽尖圭コンジローマ」を対象疾患とする新用量医薬品。

9価HPVワクチン。現在は、9歳以上の女性を対象に、合計3回筋肉内に注射して用いる。今回追加される新用量は、9歳以上15歳未満の女性に対し、合計2回の接種回数ですむというもの。

なお、シルガード9は、沈降4価HPV様粒子ワクチンであるガーダシルに含まれる6、11、16、18の4つのHPV型に、新たに31、33、45、52、58の5つのHPV型が加わったワクチン。アジュバントとしてアルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩を含む。

ペメトレキセド点滴静注用100mg「NK」、同点滴静注用500mg「NK」、同点滴静注用800mg「NK」、同点滴静注液100mg「NK」、同点滴静注液500mg「NK」、同点滴静注液800mg「NK」(ペメトレキセドナトリウムヘミペンタ水和物、日本化薬):「扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんにおける術前補助療法」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

5-FU注250mg、同1000mg(フルオロウラシル、協和キリン):「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
アイソボリン点滴静注用25mg、同100mg(レボホリナートカルシウム水和物、ファイザー):「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

レボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法に、「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」に追加するもの。いずれも事前評価済み公知申請。

▽①エルプラット点滴静注液50mg、同100mg、同200mg、②オキサリプラチン点滴静注液50mg/10mL「サンド」、同100mg/20mL「サンド」、同200mg/40mL「サンド」(オキサリプラチン、①ヤクルト本社、②サンド):「胃がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。事前評価済み公知申請。胃がん適応でA法又はB法を使用できるようにするもの(現在はB法のみ)。
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