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ARBなどRA系阻害薬で添付文書改訂 妊娠する可能性のある女性への投与で注意事項を追記

公開日時 2023/05/10 04:51
厚生労働省医薬・生活衛生局は5月9日、ACE阻害薬やARBなどのレニン-アンジオテンシン系(RA系)阻害薬について、妊娠する可能性のある女性への投与にあたっての注意事項を追記する添付文書改訂を指示した。RA系阻害薬の妊婦への投与による妊婦又は胎児への影響が疑われる副作用として、以前から羊水過少や早産児、腎不全などが知られている。これまでも添付文書などを通じて妊婦に投与しないよう注意喚起してきたが、妊娠中の対象医薬品の曝露による児の副作用関連症例の報告が継続していることから、妊娠する可能性のある女性への使用に関する項を設け、注意喚起する必要があると判断した。

このほか、メサラジン、酢酸亜鉛水和物、レフルノミド、アンピシリン水和物含有製剤及びアンピシリンナトリウム含有製剤(アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウムを除く)、イオベルソール――の添付文書改訂も指示した。

<RA系阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤含有製剤、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤及び直接的レニン阻害剤)>
▽①アラセプリル(販売名:セタプリル錠25mg(住友ファーマ)等)
イミダプリル塩酸塩(販売名:タナトリル錠2.5、同錠5、同錠10(田辺三菱製薬)等)
エナラプリルマレイン酸塩(販売名:レニベース錠2.5、同錠5、同錠10(オルガノン)等)
カプトプリル(販売名:カプトリル錠12.5mg、同錠25mg、同細粒5%、カプトリル-Rカプセル18.75mg(アルフレッサファーマ)等)
テモカプリル塩酸塩(販売名:エースコール錠1mg、同錠2mg、同錠4mg(アルフレッサファーマ)等)
デラプリル塩酸塩(販売名:アデカット7.5mg錠、同15mg錠、同30mg錠(武田テバ薬品))
トランドラプリル(販売名:オドリック錠0.5mg、同錠1mg(日本新薬)等)
ベナゼプリル塩酸塩(販売名:チバセン錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg(サンファーマ)等)
ペリンドプリルエルブミン(販売名:コバシル錠2mg、同錠4mg(協和キリン)等)
リシノプリル水和物(販売名:ゼストリル錠5、同錠10、同錠20(アストラゼネカ)、販売名:ロンゲス錠5mg、同錠10mg、同錠20mg(共和薬品)等)
アジルサルタン(販売名:アジルバ錠 10mg、同錠 20mg、同錠40mg、同顆粒 1%(武田薬品)等)
イルベサルタン(販売名:アバプロ錠50mg、同錠100mg、同錠200mg(住友ファーマ)、販売名:イルベタン錠50mg、同錠100mg、同錠200mg(塩野義製薬)等)
オルメサルタンメドキソミル(販売名:オルメテックOD錠5mg、同OD錠10mg、同OD錠20mg、同OD錠40mg(第一三共)等)
カンデサルタンシレキセチル(販売名:ブロプレス錠2、同錠4、同錠8、同錠12(武田テバ薬品)等)
テルミサルタン(販売名:ミカルディス錠20mg、同錠40mg、同錠80mg(日本ベーリンガーインゲルハイム)等)
バルサルタン(販売名:ディオバンOD錠20mg、同OD錠40mg、同OD錠80mg、同OD錠160mg、同錠20mg、同錠40mg、同錠80mg、同錠160mg(ノバルティスファーマ)等)
ロサルタンカリウム(販売名:ニューロタン錠25mg、同錠50mg、同錠100mg(オルガノン)等)
アジルサルタン・アムロジピンベシル酸塩(販売名:ザクラス配合錠LD、同配合錠HD(武田薬品)等)
イルベサルタン・アムロジピンベシル酸塩(販売名:アイミクス配合錠LD、同配合錠HD(住友ファーマ)等)
イルベサルタン・トリクロルメチアジド(販売名:イルトラ配合錠LD、同配合錠HD(シオノギファーマ)
オルメサルタンメドキソミル・アゼルニジピン(販売名:レザルタス配合錠LD、同配合錠HD(第一三共))
カンデサルタンシレキセチル・アムロジピンベシル酸塩(販売名:ユニシア配合錠LD、同配合錠HD(武田テバ薬品)等)
カンデサルタンシレキセチル・ヒドロクロロチアジド(販売名:エカード配合錠LD、同配合錠HD(武田テバ薬品)等)
テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩(販売名:ミカムロ配合錠AP、同配合錠BP(日本ベーリンガーインゲルハイム)等)
テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩・ヒドロクロロチアジド(販売名:ミカトリオ配合錠(日本ベーリンガーインゲルハイム))
テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド(販売名:ミコンビ配合錠AP、同配合錠BP(日本ベーリンガーインゲルハイム)等)
バルサルタン・アムロジピンベシル酸塩(販売名:エックスフォージ配合OD錠、同配合錠(ノバルティスファーマ)等)
バルサルタン・シルニジピン(販売名:アテディオ配合錠(EAファーマ))
バルサルタン・ヒドロクロロチアジド(販売名:コディオ配合錠MD、同配合錠EX(ノバルティスファーマ)等)
ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド(販売名:プレミネント配合錠LD、同配合錠HD(オルガノン)等)
サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(販売名:エンレスト錠50mg、同100mg、同200mg(ノバルティスファーマ)
アリスキレンフマル酸塩(販売名:ラジレス錠150mg(オーファンパシフィック))

改訂概要:
<新記載要領>
「9.特定の背景を有する患者に関する注意」に「9.4 生殖能を有する者」の項を新設する。そして、▽妊娠していることが把握されずACE阻害薬又はARBを使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている、▽本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する――ことを記載する。

また、妊娠する可能性がある女性に投与が必要な場合の注意事項として、
(1)本剤投与開始前に妊娠していないことを確認すること。本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認すること。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。
(2)次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明すること。投与中も必要に応じ説明すること。
 ・妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがあること。
 ・妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに担当医に相談すること。
 ・妊娠を計画する場合は、担当医に相談すること。

――ということを記載する。

<旧記載要領>
「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項において、新記載要領の改訂概要と同様の内容を追記する。

PMDAにおける副作用等報告データベースに登録された、2014年度以降の「妊娠中の曝露による児の副作用関連症例」の国内症例の集積状況(医薬品と事象との因果関係は評価していない):①~⑩のACE阻害薬1例(死亡0例)、⑪~㉚のARB含有製剤23例(死亡7例)、㉛及び㉜は各0例――。

改訂理由:妊娠中の調査対象医薬品の曝露による児への影響が疑われる症例(=児の副作用関連症例)の集積状況を評価した。妊娠中の調査対象医薬品の曝露による児の副作用関連症例が複数例報告されており、その中には妊娠したことが把握されず対象医薬品の曝露に至った症例も認められた。使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、妊娠中の対象医薬品の曝露による児への影響が疑われる症例の集積状況を踏まえ、添付文書で妊婦に投与しないよう注意喚起しているにもかかわらず症例の報告が継続しており、妊娠する可能性のある女性への使用に関する注意が必要であることから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

メサラジン(販売名:リアルダ錠1200mg(持田製薬)、アサコール錠400mg(ゼリア新薬)、ペンタサ錠250mg、同錠500mg、同顆粒94%、同坐剤1g、同注腸1g(杏林製薬)等)

改訂概要:「重大な副作用」の項に「中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)及び「薬剤性過敏症症候群」を追記する。

PMDAにおける副作用等報告データベースに登録された「TEN」の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は2例、うち死亡0例。
「Stevens-Johnson症候群」の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例1例、うち死亡0例。
「薬剤性過敏症症候群」の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例7例、うち死亡0例。

改訂理由:TEN、Stevens-Johnson症候群及び薬剤性過敏症症候群の国内症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤とTEN、Stevens-Johnson症候群及び薬剤性過敏症症候群との因果関係の否定できない国内症例が集積したこと、他の5-ASA製剤で既に同様の注意喚起が行われていること等から、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

酢酸亜鉛水和物(販売名:ノベルジン錠25mg、同錠50mg、同顆5%(ノーベルファーマ)等)

改訂概要:「重大な副作用」の項に「胃潰瘍」を追記する。

PMDAにおける副作用等報告データベースに登録された「消化性潰瘍関連症例」の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は7例、うち死亡0例。

改訂理由:有害事象共通用語規準(CTCAE v5.0)Grade3以上の消化性潰瘍関連症例の国内症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と消化性潰瘍との因果関係の否定できない国内症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。なお、評価対象症例における潰瘍の発現状況から、胃潰瘍として注意喚起することが適切と判断した。

レフルノミド(販売名:アラバ錠10mg、同錠20mg、同錠100mg(サノフィ) 
改訂概要:「重要な基本的注意」の項(旧記載要領)の重篤な副作用が発現した場合に本剤の投与を中止し、薬物除去法を施行することが望ましい旨の記載に「皮膚潰瘍」を追記する。「重大な副作用」の項に「皮膚潰瘍」を追記する。

PMDAにおける副作用等報告データベースに登録された「皮膚潰瘍関連症例」の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない国内症例は0例。
海外症例(企業より、CCDS改訂の根拠として提示された症例)で医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は5例、うち2例は国内の承認効能・効果外の症例。死亡0例。

改訂理由:皮膚潰瘍の国内症例及び海外症例を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、レフルノミドと皮膚潰瘍との因果関係が否定できない海外症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

<アンピシリン水和物含有製剤及びアンピシリンナトリウム含有製剤(アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウムを除く)>
▽①アンピシリン水和物(販売名:ビクシリンカプセル250mg、同ドライシロップ10%(Meiji Seika ファルマ))
アンピシリンナトリウム(販売名:ビクシリン注射用0.25g、同注射用0.5g、同注射用1g、同注射用2g(Meiji Seika ファルマ))
アンピシリン水和物・クロキサシリンナトリウム水和物(販売名:ビクシリンS配合錠(Meiji Seika ファルマ))
アンピシリンナトリウム・クロキサシリンナトリウム水和物(販売名:注射用ビクシリンS100、同S500、同S1000(Meiji Seika ファルマ))

改訂概要:「重要な基本的注意」(新記載要領)又は「重大な副作用」(旧記載要領)の項に定期的な肝機能検査を行う旨を追記する。「重大な副作用」の項に「肝機能障害」を追記する。

PMDAにおける副作用等報告データベースに登録された「肝機能障害関連症例」の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は②で3例、うち死亡0例。①③④は0例。

改訂理由:本剤投与後の肝機能検査値の最悪値が有害事象共通用語規準(CTCAE v5.0)Grade3以上に該当する肝機能障害関連の国内症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と肝機能障害との因果関係の否定できない国内症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

イオベルソール(販売名:オプチレイ(ゲルベ・ジャパン))

改訂概要:「重大な副作用」の「皮膚障害」の項に「急性汎発性発疹性膿疱症」を追記する。

PMDAにおける副作用等報告データベースに登録された「急性汎発性発疹性膿疱症」症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない国内症例は1例、うち死亡0例。海外症例は3例、うち死亡0例。

改訂理由:急性汎発性発疹性膿疱症の国内及び海外症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、因果関係が否定できない国内及び海外症例の集積状況を踏まえ、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。 

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