炭酸リチウム 妊婦禁忌を解除 妊娠に係るリスク情報を注意喚起 添付文書改訂
公開日時 2026/06/17 04:51
躁病・躁状態治療薬の炭酸リチウムについて、添付文書の「禁忌」から「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」を削除する添付文書改訂が行われた。「特定の背景を有する患者に関する注意」の「妊婦」の項で、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと」と追記するとともに、妊娠に係るリスク情報なども追記して情報提供することになった。厚生労働省医薬局医薬安全対策課が6月16日、課長名で添付文書改訂を指示したことを受けた対応となる。
このほか、▽カルボキシマルトース第二鉄、含糖酸化鉄、デルイソマルトース第二鉄、▽バレメトスタットトシル酸塩、▽スルファメトキサゾール・トリメトプリムーーの添付文書も改訂された。
今回、添付文書の改訂指示が行われた医薬品は次の通り。
▽炭酸リチウム(製品名:リーマス錠、大正製薬/炭酸リチウム錠「大正」、トクホン/炭酸リチウム錠「フジナガ」、藤永製薬)
改訂概要:「禁忌」から「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」を削除する。「特定の背景を有する患者に関する注意」の「妊婦」の項に、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと」や、「ヒトで心奇形の発現が報告されている」ことを追記する。
また、「妊婦」の項において、「妊婦、胎児及び新生児の適切な周産期管理が実施可能な医療施設と連携し、双極症治療の知識及び経験を有し、以下の本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師の下で、本剤の投与が適切と判断される患者のみに使用すること。
・妊娠により血清リチウム濃度が変化し治療効果に影響がみられる可能性があるため、妊婦に対し本剤を投与する場合には、血清リチウム濃度を頻回に測定し患者の状態等に十分注意すること。
・本剤を投与した妊婦から出生した新生児において、新生児薬物離脱症候群やリチウム中毒があらわれることがある。」
と追記する。
改訂理由:催奇形性のリスクから妊婦又は妊娠している可能性のある女性は禁忌としていたが、日本精神神経学会からの妊婦禁忌の解除を希望する要望書が提出されたことなどを踏まえ、厚労省がPMDAに妊婦等に係る使用上の注意の改訂に関する調査を依頼した。PMDAによる調査、専門委員の意見も聴取した結果、本薬は、医療上の必要性からやむを得ず投与を継続する妊婦には投与している医療現場の実態を考慮すると、適切な注意喚起を行うことを前提に、妊婦禁忌を解除することが適切と判断した。
▽①カルボキシマルトース第二鉄(製品名:フェインジェクト静注、ゼリア新薬)
②含糖酸化鉄(製品名:フェジン静注、日医工)
③デルイソマルトース第二鉄(製品名:モノヴァー静注、日本新薬)
改訂概要:①及び②は、「重要な基本的注意」の項に、「低リン血症、骨軟化症」に関する注意喚起を追記する。加えて、①は「重大な副作用」に「低リン血症、骨軟化症」を追記、②は「重大な副作用」の「骨軟化症」の項を「低リン血症、骨軟化症」へ変更する。
③は「重要な基本的注意」の項に「低リン血症、骨軟化症」に関する注意喚起、「重大な副作用」の項に「低リン血症、骨軟化症」を追記する必要性について検討した。
改訂理由:低リン血症関連事象及び骨軟化症関連事象を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、カルボキシマルトース第二鉄及び含糖酸化鉄と低リン血症、骨軟化症との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。一方で、デルイソマルトース第二鉄に関しては、国内症例集積状況や承認申請時の臨床試験結果等も踏まえ、専門委員の意見も聴取した結果、現時点での使用上の注意の改訂は不要と判断した。
「低リン血症」関連症例の国内症例の集積状況:①と事象との因果関係が否定できない重篤な症例2例、死亡0例。②は56例、③は1例だが、いずれも事象との因果関係評価は実施していない。
「骨軟化症」関連症例の国内症例の集積状況:①と事象との因果関係が否定できない重篤な症例2例、死亡0例。②は35例だが、事象との因果関係評価は実施していない。③は0例。
▽バレメトスタットトシル酸塩(製品名:エザルミア錠、第一三共)
改訂概要:「重要な基本的注意」に二次性悪性腫瘍に関する注意を追記する。
改訂理由:二次性悪性腫瘍関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と二次性悪性腫瘍との因果関係が否定できない症例の集積はないものの、本剤と同様にEZH2阻害作用を有する薬剤の状況、EZH2阻害作用を有する薬剤の非臨床試験の結果を考慮し、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
二次性悪性腫瘍関連症例の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例0例。
▽スルファメトキサゾール・トリメトプリム(製品名:バクタ配合錠、同ミニ配合錠、同配合顆粒、シオノギファーマ/バクトラミン配合錠、同配合顆粒、同注、太陽ファルマ 等)
改訂概要:「重大な副作用」に「急性汎発性発疹性膿疱症」を追記する。
改訂理由:急性汎発性発疹性膿疱症症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と急性汎発性発疹性膿疱症との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
急性汎発性発疹性膿疱症症例の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例4例、死亡0例。