サワイグループHD・末吉社長 再編・集約化を見据え「追随を許さない圧倒的な生産・供給能力を目指す」
公開日時 2023/05/12 04:50
サワイグループホールディングスの末吉一彦代表取締役社長(グループCOO兼グループCAO)は5月11日の22年度決算説明会で、「今後の業界再編、集約化を見据え、更なる供給能力の強化を図り、他社の追随を許さない圧倒的な生産・供給能力の実現を目指す」と強調した。同社の中期経営計画「START 2024」の進捗を説明するなかで語ったもの。自社工場の建設、生産委託先の確保、他社工場の買収など「あらゆる手段を講じることで更なる供給能力の強化を図る」との見解を示し、GE業界を取り巻く環境変化に備える同社の姿勢を鮮明にした。
末吉社長は「国内GE市場におけるシェア拡大」の必要性を指摘。沢井製薬として国内のジェネリック医薬品全体の16%、医療用医薬品全体の8.2%を供給するなど「国内販売数量シェアNo.1」を維持し、22年度は薬価ベースで約2809億円の医療費節減に寄与したと強調した。また、毎年100億円以上の研究開発費を計上、3年間で600億円の設備投資を実施するなど、22年度は競争優位品目4製品をはじめ23製品を発売することができたと報告した。
一方で沢井製薬の供給体制に触れ、「現在国内6拠点を有している。昨年4月にグループに加わったトラストファーマテック社は3つの工場を有し、約1年間の準備期間を経て4月に無事に製品出荷を開始した。2025年度には年間20億錠の生産数量を計画している」と説明。第二九州工場の新固形剤棟建設についても「24年4月以降の出荷開始に向け、順調に準備が進んでいる。各ステップに応じて設備投資を実行し、最終的には30億錠の生産能力へのアップを計画している」と強調するなど、圧倒的な安定供給力の強化に向けた自社生産能力の体制整備の必要性を訴えた。
◎売上収益で初の2000億円を達成 コア営業利益は12.3%減の230億円
同社の23年3月期(2022年度)連結業績は、売上収益で初の2000億円を達成したものの、コア営業利益は日本事業での生産能力増強のための先行コストの影響等で前期比12.3%減の230億円となった。日本事業は、薬価改定の影響があったものの、新製品の売上伸長や限定出荷品の解除により、売上収益は前期並を確保。コア営業利益はトラストファーマテックの先行コストがあったことに加えエネルギー価格の高騰により、前期を下回った。米国事業は、ブランド薬等が順調に進捗、売上収益は円安効果も加わり前期を上回った。