【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

大鵬薬品のFGFR阻害薬など6製品審議へ 5月29日の薬食審・第二部会で

公開日時 2023/05/16 04:48
厚生労働省は5月29日に薬食審・医薬品第二部会を開き、大鵬薬品のFGFR阻害薬・リトゴビ錠(一般名:フチバチニブ)など6製品の承認の可否を審議する。リトゴビは「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」を対象疾患とするもの。このほかの審議品目には、日本セルヴィエの急性リンパ性白血病(ALL)や悪性リンパ腫(ML)を対象疾患とする抗がん剤・オンキャスパー点滴静注用(同ペグアスパルガーゼ)や、ファイザーの円形脱毛症を対象疾患とするJAK阻害薬・リットフーロカプセル(同リトレシチニブトシル酸塩)などがある。

承認が了承されれば、6月中に正式承認されるとみられる。

【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
オンキャスパー点滴静注用3750(ペグアスパルガーゼ、日本セルヴィエ):「急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

大腸菌由来L-アスパラギナーゼをポリエチレングリコール(PEG)で化学修飾(PEG化)した抗悪性腫瘍酵素製剤。同社によると、PEG化によって半減期が延長し、長期間にわたり薬の効果が期待できる血中アスパラギナーゼ活性を維持する。さらに、PEG化によって免疫原性が低下し、抗薬物抗体ができにくく、過敏症反応を起こしにくいことも期待されるとしている。同剤は厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議からの要請に基づき、国内開発したもの。

リトゴビ錠(フチバチニブ、大鵬薬品):「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

自社創製のFGFR1、2、3、4を不可逆的かつ選択的に阻害する経口の共有結合型FGFR阻害薬。FGFR1-4のATP結合部位に結合しFGFRを介するシグナル伝達経路を阻害することで、FGFR1-4遺伝子異常を持つ腫瘍細胞の増殖を抑制し、細胞死を誘導する。

大鵬薬品は同剤の22年7月の承認申請時に、FGFR2遺伝子の融合またはその他の再構成を検出するためのコンパニオン診断機能を有する医療機器をシスメックス社と共同開発していることを明らかにしている。

承認されれば、FGFR阻害薬としてはインサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンの胆道がんなどを対象疾患とするペマジール錠に続く2剤目となる。

キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫」を対象疾患とする新効能医薬品。希少疾病用医薬品。

抗PD-1抗体。活性化T細胞上のPD-1に結合することにより、がん細胞上のPD-L1及びPD-L2との結合を阻害することで、がん細胞による活性化T細胞の抑制を阻害する。抑制されていたT細胞が再度がん抗原を認識した際に、再活性化され、がん細胞を排除できるようになる。

原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)は、希少な、胸腺B細胞由来の進行が速い悪性リンパ腫で、非ホジキンリンパ腫の2~4%、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の最大10%を占める。若年成人に多く発症し、診断時の年齢の中央値は35歳。化学療法による一次治療後も治癒しないPMBCL患者の割合は10~20%。再発患者には、自家造血幹細胞移植が有効な場合があるが、再発・難治例の転帰は不良であると報告されている。

バクニュバンス水性懸濁性注シリンジ(沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)、MSD):「肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による感染症の予防及び小児における肺炎球菌(同)による侵襲性感染症の予防」:を対象疾患とする新効能医薬品及び新用量医薬品。

15種類の肺炎球菌血清型に対応したワクチン。今回は小児適応の追加となる。

デュピクセント皮下注300mgシリンジ、同ペン(デュピルマブ(遺伝子組換え))、サノフィ):「既存治療で効果不十分な結節性痒疹」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体。IL-4とIL-13は2型炎症において中心的な役割を果たすタンパク質で、2型炎症はアトピー性皮膚炎、気管支喘息、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎と同様に、結節性痒疹にも関与しているとされる。

結節性痒疹の患者は、強く持続するそう痒を経験し、肥厚した皮膚病変(結節)を伴う。患者は、焼けるようで、針で刺されるような、あるいはピリピリするような感覚の痛みを伴う皮膚症状を呈する。この疾患がQOLに及ぼす影響は、強いかゆみを伴う炎症性皮膚疾患のなかでもとりわけ大きいことが知られている。現在、治療には高力価のステロイド外用薬を処方されることもあるが、長期的な予後改善についての根拠は乏しいのが実態となっている。 

リットフーロカプセル50mg(リトレシチニブトシル酸塩、ファイザー):「円形脱毛症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬。ATP(アデノシン三リン酸)結合部位の遮断により、JAK3および5種類のTECファミリーキナーゼを不可逆的に阻害する共有結合形成型の経口投与可能な低分子製剤。

円形脱毛症の病態に関与するIL-15、IL-21の共通γ鎖受容体のシグナル伝達をJAK3阻害により強力に抑制し、CD8陽性T細胞およびNK細胞の細胞溶解能をTECファミリーキナーゼ阻害により抑制することから、治療効果が期待できると考えられている。

円形脱毛症は斑状の脱毛を特徴とする自己免疫疾患で、免疫細胞が健康な毛包を攻撃することで脱毛症状が起こる。多くの場合、頭皮で脱毛するが、時には顔(眉毛、まつ毛、ひげ)を含む頭部全体や全身に症状が出ることがある。

【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

ハイゼントラ20%皮下注1g/5mL、同20%皮下注2g/10mL、同20%皮下注4g/20mL(pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)、CSLベーリング):「無又は低ガンマグロブリン血症」を対象疾患とする新用量医薬品。

血漿分画製剤。現在は週1回投与で用いているが、今回、2週に1回の投与を追加する。

シングリックス筋注用(乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来):グラクソ・スミスクライン):「帯状疱疹の予防」を対象疾患とする新用量医薬品。

帯状疱疹予防ワクチンとして現在、50歳以上の成人を対象としている。今回、帯状疱疹の発症リスクの高い18歳以上にも使えるようにする。

アディノベイト静注用キット250、同500、同1000、同1500、同2000、同3000(ルリオクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)、武田薬品):「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を対象疾患とする新用量医薬品。

ペグ化技術により作用時間を延長した半減期延長型の血友病A治療薬。現在週2回投与で用いているが、厚労省によると、今回は「投与間隔の延長」に係る新用量の追加となる。
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(3)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー