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政府 規制改革実施計画を閣議決定 「訪問看護STでの配置可能薬拡大」は文言消滅 NPは骨抜きに

公開日時 2023/06/19 04:51
政府は6月16日、「規制改革実施計画」を閣議決定した。規制改革推進会議が6月1日に取りまとめた答申段階から大きな変更はないが、訪問看護ステーションでの配置可能薬拡大については文言自体が消滅した。答申段階で「24時間対応が可能な薬局が存在しない地域」について必要に応じて調査を行ったうえで、対応案の一つとして“含めた必要な対応を検討する”とされていた。在宅医療において診療行為の一部を行う国家資格と定義した“ナース・プラクティショナー(NP)”については、「導入する要望に対して様々な指摘があったことを適切に踏まえる」との記載にとどまった。

在宅医療における医師から訪問看護師のタスクシェアをめぐっては、日本看護協会が在宅患者の急変時に医師の指示を受けられずに患者の症状が悪化しているなどとして、ナース・プラクティショナー創設“や、訪問看護ステーションへの配置可能医薬品の拡大などの検討を求めていた。これに対し、日本医師会や日本薬剤師会が医療安全や法的な責任の観点から猛反発。日本医師会の松本吉郎会長が会見で、「地域において医療関係職種がしっかりと連携し、協議をすれば、解決できるものだ」と述べるなど、地域での多職種連携により解決できるとの考えを示していた。

◎多職種連携で解決可能との意見を追記 地域特性、多職種連携踏まえた地域での対応を

規制改革実施計画では、在宅医療での円滑な薬物治療について、「医師、薬剤師、看護師が連携し、緊急時に対応可能な体制を構築すること、医師があらかじめ処方し、当該医師自ら又は薬剤師が調剤した薬剤を患者宅等に保管しておくこと、OTC医薬品を使用することや地域において 24 時間対応が可能な薬局を確保することで対応できるのではないかなどの意見があった」と追記。「在宅医療の実施状況については地域により異なること、地域の多職種連携の重要性なども考慮し、在宅患者が適時に必要な薬剤(薬局では取り扱っていないことがあると指摘されている種類の輸液等を含む)を入手できないことがないよう」措置を講ずる必要性を指摘した。

在宅医療において夜間・休日の調剤の必要性も増すなかで、24時間対応を行うことなどが要件となっている地域連携薬局に対しては「必要に応じて実態を調査の上、必要な措置を講ずる」とした。具体的には、「夜間・休日を含む 24 時間対応が可能となるよう、輪番制の導入や日々の対応薬局の公表等を実施する」ことも盛り込んだ。また、「その実施状況に応じて、その是正等を図ることの方策も含め、必要な対応を検討する」とした。23年度に検討し、結論を得る。

「24 時間対応が可能な薬局が存在しない地域」については、「必要に応じて、薬剤師、看護師、患者等に対し具体的な課題を把握するための調査を行った上で、在宅患者に円滑に薬剤を提供する体制の整備に向けて必要な対応を検討する」との記載にとどまった。23年度に検討を開始し、遅くとも24年度中に結論を得る。規制改革の答申段階では、「必要に応じて、薬剤師、看護師、患者等に対し、具体的な課題を把握するための調査を行ったうえで、在宅患者に円滑に薬剤を提供する体制の整備に向けて、訪問看護ステーションに必要な薬剤(最低限の数量に限る)を配置することを含め、必要な対応を検討する」とされていたが、最終的には訪問看護ステーションの配置可能薬拡大そのものが盛り込まれなかった。

◎薬剤師の点滴交換 訪問看護師による適宜訪問できない課題抽出へ

このほか、薬剤師による在宅患者への点滴交換・充填について、厚労省に対し、①具体的にどのような地域にどの程度の頻度でどのような課題があるか、②なぜ訪問看護師が適時に訪問できなかったのかーを明らかにすることを求めた。そのうえで、「訪問看護師による課題の解決可能性が現実的にどの程度あるか、について現場の医師、薬剤師、看護師及び患者等に対して調査を行い、当該事例への実効的な対応策を検討し、必要に応じて措置を講ずる」とした。23年度に検討を開始、24年度に結論。結論を得次第、速やかに必要に応じて措置する。

◎医療データ利活用で「特別法」制定を 23年度以降速やかに措置

このほか、医療データの利活用を推進するための「特別法」の制定も盛り込まれた。実施時期については「23年度以降、速やかに措置する」としている。

医療データの利活用で焦点となった医療データの「1次利用」(実臨床)、「2次利用」(医学研究、創薬研究、国際共同研究等)とも、個人を特定できないなど一定の条件を科した上で患者本人等の同意が無くてもデータの利活用を認める法整備と基盤構築を行うとした。一方で、厚労省と個人情報保護委員会に対し、個人情報保護法の制度・運用の見直しの必要性を含めて所要の検討を求めた。

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