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エーザイ内藤CEO「万感、胸に迫るものがある」 アルツハイマー病治療薬・レカネマブが米国で正式承認

公開日時 2023/07/10 04:52
アルツハイマー病治療薬・レカネマブ(米国製品名:LEQEMBI)が米国で正式承認されたことを受け、エーザイの内藤晴夫CEOは7月7日会見し、「万感、胸に迫るものがある」と第一声を発した。アリセプトの研究を開始した1980年代の後半から約40年間を経て、「アルツハイマー病の根本病理にかかわる治療薬を開発し、まず米国で適用とされる当事者様にお届けできることは、製薬産業に身を置くものとして本当に大きな喜びと致すところ」と述べ、「レーベルに従って、安全性と有効性が十分に発揮されるよう、1日も早く1人でも多くの当事者様に、お届けすべく全力を尽くす所存だ」と語った。

◎フル承認取得で「臨床的有用性が認められた」

レカネマブは、2023 年 1月 6 日に FDA より迅速承認を取得。米国時間の6日に正式承認された。内藤CEOは、迅速承認が臨床第2相試験のアミロイドβ(Aβ)プラークを優位に減少させたことに基づくものであったことに触れ、「単なるバイオマーカーの変化ではなく、臨床的有用性で改善した、悪化抑制があったということが認められ、フル承認に至ったというのが最大の迅速承認の違いだ」と説明した。

◎枠組み警告にARIA、遺伝子検査の説明求める 内藤CEO「クラス全体の注意喚起」、「稀なことではない」

米国での同剤の適応は、「アルツハイマー病の治療」で、「軽度認知障害または軽度認知症段階の当事者において開始する必要がある」とされた。Aβ病理が確認された当事者に対し、10㎎/kgを2週間に1回点滴静注する。投与に際しては、ベースライン時に脳MRIが必要で、投与開始後も定期的なMRIによるモニタリングを求めた。枠組み警告(Boxed Warning)として、「アミロイド関連画像異常(ARIA)」が明記された。

内藤CEOは枠組み警告について、「抗Aβ抗体のクラス全体に対するもので、ARIAに対する注意喚起を目的としている。レカネマブによるARIAによる発生頻度は低いと我々は理解している」と理解を求めた。2022年に米FDAが承認した新薬のうち、ファーストインクラスの19品目のうち、8品目で枠組み警告があるとして、「画期的新薬について、枠組み警告が付記されることは稀なことではない」と強調した。

ARIAの発現率は、アルツハイマー病の約15%が該当するアポリポタンパク質 Eε4(ApoEε4)ホモ接合体保有者は、ARIAのリスクがそれ以外の人より高いため、治療開始前に ApoEε4 ステータスの検査を実施する必要があることも示された。検査の前に、処方医は遺伝子型毎の ARIA の発現率と遺伝子型テスト結果の意味について患者と話し合う必要があるとされている。ただし、遺伝子型テストを受けない場合でも、レカネマブによる治療は可能としている。

◎「今まで見たことも聞いたこともないような、圧倒的な統計的な優位性」 エビデンスに自信

同剤の有効性・安全性は、大規模グローバル臨床第3相検証試験「Clarity AD」 試験の結果に基づく。主要評価項目に据えた全般臨床症状の評価指標である CDR-SBにおいて、18か月時点での臨床症状の悪化をプラセボと比較したところ、27%抑制した(P=0.00005)。

内藤CEOは、「このP値がどれくらい高度化ということは、例えば審査当局が、薬を承認する際に、このP値が0.05以下であることは一つの条件とされているし、このP値が例えば0.01以下であれば非常に画期的なデータであるというような評価をする」と説明。そのうえで、臨床試験の結果について、「このP値は0が4個並んでるという、本当に私も長くこの業界に身を置いているが、今まで見たことも聞いたこともないような、圧倒的な統計的な優位性であったと思っている」と強調した。レカネマブの投与により、「より早期のステージに2年から3年長く留まることができるということを示唆している」とも説明した。

副次評価項目の一つに介護者が衣服の着脱や食事などの生活能力を評価する「ADCS MCI-ADL」は37%有意に抑制された意義も強調した。「今、いずれの社会においても膨大化しているアルツハイマー病の介護負担という問題がある。特にご家族がお世話をする場合、負担というのはなかなか見える格好で出てこない」と指摘。この介護費用が年間7兆円との試算があることに触れながら、「財政的かつ社会的な負荷が、この病気によって介護という面でもたらされる。その面を大幅に軽減する可能性があることを示唆していると考えている」と述べ、「クリニカルにミーニングフルな(臨床的に意義のある)臨床的意義に加え、極めて高い介護面での貢献を通じた社会的価値これを創出することを示している」と強調した。

◎グローバルで売上高1兆円「2030~32年の間に実現できるのではないか」

日本では、今年9月までの承認を見込む。内藤CEOは、今後の投与対象患者数について「有病者から投与対象者になるところは、おそらく1~2%の間くらい」と説明。「グローバルで売上高1兆円を、2030年以降32年ぐらいまでの間に実現できるのではないか」と意欲を語った。米国では、処方準備ができている神経科医は現時点で約1200名とし、今後増加を想定していることも紹介した。
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