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【中医協薬価専門部会 7月12日 議事要旨 24年度薬価改定について「新薬その1」の質疑】

公開日時 2023/07/13 04:51
中医協薬価専門部会は7月12日、2024年度薬価改定に向け、各論の議論を開始した。この日は、新薬をテーマに、イノベーションの観点から有用性系加算など補正加算や新薬創出等加算の品目要件・企業要件、ドラッグ・ラグ/ロスの解消に向けた薬価上の方策などについて診療・支払各側委員が発言した。本誌は質疑の内容を議事要旨として公開する。

安川部会長:では質疑に入ります。質問などありましたらお願します。では、長島委員からお願いします。

長島委員:ありがとうございます。資料59ページの論点の三つの矢羽根に沿って、コメントします。

1つ目です。有用性加算率の算出に用いられている現在のポイント制は、過去の加算事例の整理・分析に基づいて作成されたものであり、今日の創薬環境の変化の中での新規医薬品の有用性の評価に必ずしも適切に対応できていないという点は、その通りと考えます。一方で、薬価において、期待に基づく加算は適切ではなく、臨床試験等による実証データ、エビデンスに対する国の評価に基づく加算のあり方について議論することが重要であると考えています。

2つ目です。新薬創出等加算は、平成22年度に革新的新薬の創出や、未承認薬・適応外薬の開発を促進することを目的に、試行的に導入され、平成30年度に本格導入されたものです。特に未承認薬・適応外薬の開発の観点で対応できていない企業にまで薬価維持政策を適用したために、平成30年度にゼロベースで、抜本的な見直しをした経緯があるということを改めて申し上げたいと思います。

資料33ページに、新薬創出等加算の企業指標があり、厚生労働省の開発要請に適切に対応することが前提とあります。本来的に言えば、その中でドラッグ・ラグ/ロスに役立つという前提を堅持する中で、見直しを検討する必要があると思います。

また、資料33ページの同じところで、企業指標では、ベンチャー企業について、新薬開発に関わる実績、今後の取り組みが限られており、企業区分の分類において配慮されていますが、ベンチャーが開発した品目の薬価が維持されにくいというのは、薬価調査に基づいた要件が満たせなくなった。すなわち乖離率が大きいということではないでしょうか?

市場(価格)を反映するという国の姿勢に基づき、薬価が維持されるかどうかは、製造販売業者と卸、そして購入する我々(医療機関)の自由取引の結果が反映されるものと理解しています。薬価調査結果の乖離率を無視してまで薬価を維持するというのは難しいと思います。

3つ目です。ドラッグ・ラグ/ロスは、研究開発段階の要素が大きいので、まずはその見直しをするのが先決ではないかということ。医薬品のイノベーションの研究開発費等について、公的医療保険の財源で手当するのは違う、ということを重ねて主張させていただきます。

これまでの歴史の積み重ねで、薬価算定ルールを作成、手直ししてきました。このルールに基づき計算すると、“安くなるから高くなるようにしてくれ”ではルールを作っている意味がありません。米国の桁外れの薬価設定は、米国自体でも問題になっており、欧米と同じ薬価を設定できるようにすることで、ドラッグ・ラグがなくなるというのは言い過ぎではないでしょうか?私からは以上です。

安川部会長:はい。いかがでしょうか? では、森委員からお願いいたします。

森委員:はい、ありがとうございます。論点に沿っていくつかコメントさせていただきます。1つ目の新薬収載時に関する件についてです。有用性系加算についてはイノベーションの評価の視点でオーファンや小児など個別に医薬品の特性が評価できるよう、現在の定量化による評価の見直しも含め、ある程度柔軟性を持たせた形に改善していく方向で検討していくものと考えます。

また、PhRMAの意見にあるように、有用性系加算の根拠データの対象を拡大することは一つと思いますが、どのような視点で価値要素とするのか。実際にどのようなデータを使って客観的に判断するのかなど、関係業界から具体的な事例やデータなどを示していただければ議論が進むと考えます。

また、原価計算方式の開示度の問題については、企業が公開したくても公開できないケースは別で見ていくなど、何かしらの配慮は必要と考えます。海外の同一系列企業から輸入する場合などは、公開できる場合もあるのではないかと思いますが、企業がどうしても公開できないケースにどのような事情があるのかなど、関係業界から説明をいただけると、議論が進むと考えます。

2つ目の新薬創出等加算に関する件についてです。新薬の特許期間中の薬価の維持は必要な対応と考えますが、新薬の全ての薬価が維持というわけではなく、一定程度のメリハリは必要かと思います。このあたりはどのような品目は薬価を維持すべきなのかなど、業界が考える優先度など、今後のヒアリングで聞かせていただければと思います。

企業要件については、各団体からも変更の要望がありますが、制度の趣旨を踏まえると、企業の取り組みを促す効果もあると考えていますので、導入からこれまでの評価を行い、今後のあり方について検討する必要があると考えます。

また、PhRMAが提案しているネガティブリスト方式については、提案されている項目自体が適当かどうかは議論が必要ですが、このような示し方で活用していくことは一つの方法と考えます。

3つ目のドラッグ・ラグ/ロスの解消に関する件についてです。以前のヒアリングでも発言しましたし、先ほど事務局からの説明でも触れていましたが、単に品目数だけ示すのではなく、本当に日本に必要なのにドラッグ・ロスになっている品目はどれくらいあり、どのような傾向があるのか、それに対してはどのような手立てが有効と考えるのか。今後の業界から詳しいデータや意見を薬事と薬価の課題とともに示していただくことが議論に必要となると考えます。

必要な医薬品が日本に届かないということは、国民の不利益になりますので、必要な対策を検討する上で、必要な資料の準備についてよろしくお願いいたします。その上で、製薬協やEFPIAが提案している迅速導入に関する制度や加算について、このような視点での対応が必要と考えますが、迅速性を評価する必要性や効果を含め、提案のものが実行されることで、どれくらいの影響が見込めるかについて、今後のヒアリング等で、業界から意見・データの提出が必要と考えます。

また、新薬創出等加算におけるベンチャー企業の企業要件については、ベンチャー企業が不利にならないような形で見直していくべきと考えます。私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございました。安藤委員から手が挙がっていますので、よろしくお願いいたします

安藤委員:はい、ありがとうございます。私の方からは、ドラッグ・ロス/ラグの解消について意見を述べさせていただきます、資料47ページであります通り、欧米で承認されているが、国内では未承認という医薬品は増加しており、ドラッグ・ラグの再燃や我が国の医薬品市場の魅力度の低下は紛れもない事実であるというふうに考えております。

一方で、前回の薬価専門部会でも議論がありました通り、その原因については、薬価の下落のみによるものではなく、薬事承認や研究開発の支援体制など、複合的な要因が絡み合っているものと考えられます。厚労省の有識者検討会の報告書でも、ドラッグ・ラグの解消に向けて、薬事承認における日本人データの必要性を整理するなど、国際共同治験への対応の強化であるとか、希少疾病医薬品指定制度の見直し、海外ベンチャー等に対する日本の制度の伝達などの施策の必要性が提言されております。こうした対策を講じることによって想定される改善も加味しつつ、メリハリをつけた形で薬価制度の見直しを議論すべきではないかと考えております。以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございます。それでは佐保委員の方が先に手が挙がりました。佐保委員お願いいたします。

佐保委員:はい、ありがとうございます。今後の検討に際しては、患者の利益に繋がるイノベーションの促進や、医薬品の安定供給の観点が欠かせないと考えております。この観点に関して2点ございます。1点目は感想でございます。イノベーション評価の仕組みが、複雑となり、分かりにくくなっていると感じております。

2点目ですが、先ほど安藤委員からもドラッグ・ラグ/ロスについて発言がございましたが、前回の業界団体ヒアリングでも実態について報告がございました。国内未承認薬の合計数はヒアリング資料でも示されておりますが、実際に患者に対してどのぐらいの影響があるのか。実態がわかれば教えていただきたいと思います。以上です。

安川部会長:はい。それでは、続いて松本委員から手が挙がっています。

松本委員:はい。はいありがとうございます。資料3ページに改定に向けたスケジュールが示されております。このスケジュールを拝見する限り、今回薬価制度の抜本的な見直しを行うには少し時間的には足りないというふうに感じておりますので、今回の薬価制度改革は、現行制度を前提とした上で、どのようなことできるかというのは議論すべきだというふうに考えております。

その前提で資料59ページの論点に沿ってコメントいたします。まず新薬収載時の加算については、現行制度でもかなりきめ細かく評価されているというのが率直な印象です。イノベーションの重要性は理解できますけども、評価の方法を見直すということであれば、定量化の具体的な方法や、それによる影響が示されなければ、議論をするのはなかなか難しいと考えております。

次に新薬創出加算については資料36ページにございます通り、抜本改革によって加算対象の割合が低下いたしましたけれども、そもそも抜本改革の前は薬価差に注目した仕組みだったものを、医薬品の価値や新薬の開発実績を重視した仕組みに見直したことが要因です。その後、加算の対象となる割合は横ばいで、品目数はむしろ増加しており、概ね抜本改革で意図した効果が表れているものというふうに考えております。

また、前回の業界ヒアリングでは、薬価の下支えについて熱く語られたというふうに記憶しておりますけども、一方で資料45ページのところに、ある意味で非常に興味深いデータがございます。そこにもございます通り、新薬創出等加算で6.9%の品目数が、特許品の中でも2.7%の品目数の仕切価が低下しております。ヒアリングでも経済環境の厳しい中でというご説明が(業界側から)あったかと思いますが、一方でそうした主張と、こうした数字で見た行動の中に少し乖離が出ているというふうに感じておりますし、また低下させた理由のところもその他ということでちょっと具体に示されておりませんので、この辺りを踏まえて加算の要件については慎重に議論すべきだろうというふうに指摘させていただきます。

さらに、各委員から出ておりますドラッグ・ラグ/ロスは懸念材料ではありますけども、患者にとって実際にどのような問題が起きているのか。品目の数字だけでなく、代替品の有無など具体的な内容を細かく見る必要があるというふうに考えております。

最後に論点に挙げられておりませんけども、原価計算方式における原価の開示度が高まらないことは、薬価が透明性の観点からも極めて重要な問題だと考えております。資料7ページに薬価算定方式の全体像というのが示されております。そこに書いてあります通り、類似薬がない場合は、原則、原価計算方式で算定されますけども、次に同じ効能効果であるとか、薬理作用があるものあれば、次は類似薬ありということで類薬比較方針になるというふうに一般的には考えます。そうすると一番先頭バッターが原価計算方式でしっかり薬価を算定されていないと、それをベースに類似薬効比較方式で、次の薬価が算定されますので、ある意味、そういう形での問題が生じるということもあります。今後こうした原価計算のあり方について、しっかり議論させていただきたいというふうに思います。私からは以上になります。

安川部会長:はい、ありがとうございます。他にいかがでしょうか?眞田委員お願いいたします。

眞田委員:はい、私からは1点だけ。論点の最初の矢羽根にあります新薬収載時に関しましてコメントさせていただきたいと思います。イノベーションの適切な評価、革新的医薬品の開発を促進する観点から、資料13ページにその定量化の課題が記載をされておりますが、現在の新薬の状況に鑑みて仮に有用性系加算において評価されるべき項目が含まれていないといったような状況があるならば、そういったエビデンスデータを確認しながら見直していくことも必要だろうと思います。以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございます。この辺りで事務局から補足等ございましたら、お願いいたします。

薬剤管理官:はい、薬剤管理官でございます。いただいた件に関しましては、今後議論が進むように、それを踏まえて資料の準備をさせていただきたいと思っております。

その中で松本委員から原価計算についてお話がありました。令和4年度改定でも開示度に関する規定も改正したところでございまして、そういった状況がどうなっているかも含めて、そういった資料に関しまして、今後タイミングを見て資料提示したいと考えているところでございます。以上です。

安川部会長:はい。委員の方から特に他にございませんでしょうか? それでは専門委員から意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。

石牟禮専門委員:はい。ありがとうございます。専門委員の石牟禮でございます。委員の皆様方の意見の中で度々ございましたけれども、先日の関係業界からの意見聴取におきまして、皆さんから頂きましたご質問やデータのご要望につきましては、現在業界団体において提示できる準備を進めているところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

もう1点は、資料56ページのところに検討会の状況がございました。ドラッグ・ラグの原因につきましては薬価のみならず、薬事制度の問題もあるということで、既に検討が開始されているというふうに承知をしております。この中で小児医薬品の薬価インセンティブについての議論もあったというふうに伺っております。私どもとしましても、一般的に成人に比べますと患者さんが少ないということで、かかる費用に比べて収益が見込めないという観点から、なかなか手をつけにくい領域であるということ。それから一般的には成人の効能を取った後に小児の効能を取るというようなことがあろうかと存じます。

そのため、薬価算定ルールにおきましても、収載時および改定時それぞれに加算が設けられているというふうに承知しておりますが、実際の加算率がほとんど下限値の5%にとどまっているという状況でございます。こういうような状況からしますとこのコストを再審査期間中に回収できるレベルとはなかなかいえないというのが現状かと認識しております。

また、効能追加の場合の加算につきましては、再算定ですとか、新薬創出等加算と並算定の場合には、ルール上加算分が反映されにくいという課題もございます。小児に対する医薬品の開発を強く要請されているということは十分承知しておりますので、成人とは異なる開発の難しさですとか剤形規格の必要性ということも考えましてルールの見直しが必要というふうに認識をしております。

それからあと2点申し上げたいと思います。委員からのご意見に対してコメントでございます。先ほど松本委員から仕切価についてのご指摘がございました。仕切価が低下した品目の理由について、私どもは、そのデータを知り得ないので回答することは難しいのですけれども、一般論といたしましては、流改懇で課題とされております一次売差マイナス、仕切価と実勢価格では利益が取れないという問題。それから適切な仕切価の設定ということが課題とされていることも踏まえまして、企業が仕切価率を変更する主な理由としましては、実際に卸に提示する取引条件の中で自社の製品構成および市場での使われ方といったところも踏まえた上で判断された結果というふうに考えられるところでございます。

それから原価生産による開示等が上がらないというご指摘を以前からいただいております。近年、新薬の開発、サプライチェーンが非常に複雑でございます。複数の国に跨って多くの委託先を活用する形で製品化しているところでございますので、特に新たなモダリティを要する製品はそのようなものが多いというふうにうかがっております。

委託先における費用につきまして、その全てを根拠となる内訳をお示しすることがなかなか難しいということを認識しております。医薬品の開発製造におけるサプライチェーンの複雑化ということが起因しているものと認識しております。

一方、国内の開発経費ですとか、自社で行っている製造経費につきましては、提出が可能な限り提出しているというふうには認識をしておりますので、ぜひご理解のほどお願いしたいと存じます。長くなりました。以上でございます。ありがとうございました。

安川部会長:はいありがとうございます。よろしいですか。他に委員の方から追加の質問があれば。松本委員お願いします。

松本委員:先ほどちょっと言い忘れました。事務局にお願いが一点ございます。資料45ページに仕切価の変化がありますが、令和5年度の薬価改定の折に不採算品再算定を行いました。この不採算品再算定した品目の仕切価がどう変動したかというのを絞って次回以降データとして提示いただければということを要望したいと思います。よろしくお願いいたします。

安川部会長:はい、ありがとうございます。他にご意見等がないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりといたします。今後、事務局におきまして、頂いた質問、意見等を踏まえて、情報提供等ご対応をいただくようお願いいたします。本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたします。それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
 
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