国内申請数は91プロジェクト がん領域が約3割占める ミクス パイプラインリスト
公開日時 2023/08/02 04:52
ミクス編集部が製薬企業73社の国内開発品を集計したところ、2023年7月13日時点で申請中のプロジェクト数は91品目だった。内訳は新有効成分含有医薬品が39品目、効能追加等が52品目。なお、国内未承認成分で複数プロジェクトで承認申請されている場合、いずれも新有効成分として集計している。
申請品目で最も多いのはがん領域(合併症含む)の27品目で、全体の3割近くを占めた。ファーストインクラス薬が多く、例えば胃がんを対象疾患とする抗Claudin18.2モノクローナル抗体製剤・ゾルベツキシマブや、造血幹細胞移植後の合併症として知られる慢性GVHDを対象疾患とするROCK2阻害薬・ベルモスジルメシル酸塩、骨髄異形成症候群に伴う貧血を対象疾患とする赤血球成熟促進薬・ルスパテルセプト――などがある。
◎初の新型コロナXBB対応ワクチンやRSVワクチンも
がん領域に次いで申請品が多かったのはワクチンの17品目。このうち新型コロナワクチンが11品目、RSウイルスワクチンが3品目あった。
新型コロナワクチンでは、ファイザーとモデルナがそれぞれオミクロン株XBB.1.5系統対応1価ワクチン(以下、XBB対応ワクチン)を申請中。厚労省は、秋接種用としてファイザーのXBB対応ワクチンを2000万回分、モデルナのXBB対応ワクチンを500万回分、それぞれ追加購入することで両社と合意している。
また、第一三共、塩野義製薬、Meiji Seikaファルマの新型コロナワクチンも申請中で、第一三共のワクチン(製品名:ダイチロナ筋注)は7月31日の薬食審・医薬品第二部会を通過した
(記事はこちら)。厚労省は「(ダイチロナを)近日中に承認する」としており、8月中にも国産初の新型コロナワクチンが誕生する見通しだ。なお、ダイチロナはmRNAワクチンで、今回は起源株を用いている。第一三共は今後、オミクロン株対応ワクチンなどの一変申請を行い、適応追加していく方針。
呼吸器感染症を引き起こすRSウイルスの予防ワクチンはファイザーとグラクソ・スミスクラインが申請しており、承認されれば国内初のRSVワクチンとなる。
◎アルツハイマー病治療薬・レカネマブ エーザイは9月中の承認見込む
91の申請品の中で最も注目を集めるのはアルツハイマー病治療薬・レカネマブだろう。米国では初のアルツハイマー病(AD)の疾患修飾薬として米国時間7月6日に正式承認された。申請企業のエーザイは9月中の国内承認を見込んでおり、このスケジュール通りであれば、8月下旬から9月上旬に薬食審・医薬品第一部会で審議される可能性が高い。
抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体のレカネマブは、ADの原因物質とされる神経毒性を持つ可溶性のAβ凝集体に選択的に結合し、脳内から除去することで、ADの症状進行を抑制する疾患修飾作用を持つとされる。日本では1月に、「脳内アミロイド病理が確認されたアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)及び軽度認知症(早期AD)」を予定適応に申請した。申請は、レカネマブ投与による早期ADの臨床症状の悪化抑制などを検証した臨床第3相「Clarity AD」などに基づくもので、早期AD患者の症状進行を27%抑制した。
◎社会的価値の評価も議論へ
ADは症状が進行すると患者QOLの低下だけでなく、家族の介護負担、医療費や福祉関連費用の増加、労働生産性の低下といった社会的コストの増大につながることが知られている。エーザイの内藤晴夫CEOは、レカネマブは臨床的ベネフィットに加え、「極めて高い介護面での貢献を通じた社会的価値」もあると強調している。社会的価値をどのように評価し、薬価に反映させるのかも注目ポイントとなる。
◎申請数トップはファイザー P3以降の後期開発品数トップはアストラゼネカ
申請品を企業別に集計すると、最多はファイザーの16品目で、半数がワクチン関係だった。次いでノバルティス ファーマの6品目、中外製薬と武田薬品の各5品目――となった。
フェーズ3以降の後期開発品を企業別に集計すると、1位はアストラゼネカ(49品目)、2位は中外製薬(35品目)、3位はファイザー(33品目)、4位はサノフィ(26品目)、5位はノバルティス ファーマ(25品目)――となった。上位を外資系企業が占めるなか、内資系企業にしぼって見てみると、1位は武田薬品(24品目)、2位タイが小野薬品及び第一三共(各21品目)、4位は塩野義製薬(14品目)、5位はエーザイ(13品目)――となった。
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