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中医協総会 24年度診療報酬改定は6月1日施行 薬価改定は通常通り4月1日実施 診療側から不安感も

公開日時 2023/08/03 04:53
中医協総会は8月2日、2024年度診療報酬改定を6月1日に施行することを了承した。薬価改定は例年通り、4月1日。これまで答申や告示から施行、初回請求までの期間が短いため、“デスマーチ”と呼ばれるほど、医療機関やベンダーの業務がひっ迫。医療機関のコスト面を含めた負担の大きさが指摘されていた。26年度改定以降は、共通算定モジュールを導入し、負担の平準化や業務効率化を目指す。診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、診療報酬改定DXの効果について、ベンダーの保守費用の引き下げなど、「目に見える形で、確実に医療機関に還元する必要がある」と指摘。国に対し、診療報酬改定DXによる医療現場のメリットを明確化するとともに、医療現場や国民への周知を求めた。

診療報酬改定DXは、政府の推進する医療DXの一環。医療機関のシステムを抜本的に改革し、医療機関等の間接コストを極小化することが目的で、24年度に医療機関等の各システム間の共通言語となるマスタ及びそれを活用した電子点数表を改善・提供して共通コストを削減。26年度に共通算定モジュールを本格的に提供する予定とされている。

この日、了承されたスケジュールでは、2月上旬に中医協答申、3月上旬に関係告示は変わらず、3月下旬に電子点数表を策定。6月1日に診療報酬改定を行い、7月10日が初回請求となる。経過措置は、9月末まで。一方で、薬価改定は従来通り、4月1日となる。中医協の議論では支払側から、価格交渉などの薬価改定サイクルを踏まえ、「4月に施行しなければ、薬価制度の根幹を揺るがすことになりかねない」と、改定時期の後ろ倒しに強い懸念の声があがったことを踏まえ、4月1日となった。

◎診療側・長島委員「医療機関の負担軽減や効率化のための他の取り組みも必要」

診療側からは、改定が年に2回になることへの不安の声も聞かれた。診療側の長島委員は、「診療報酬改定DXの目的である医療機関の負担の極小化を実現するためには、単に実施時期を後ろ倒しにすることだけでは十分でなく、同時に医療機関の負担軽減や効率化のための他の取り組みも必要となる」と指摘。「例えば、後ろ倒しで最も大きな恩恵を受ける電子カルテやレセコンのベンダーが保守費用やリース料などを大幅に引き下げるなど目に見える形で、確実に医療機関に還元する必要がある。この実現を担保する具体的な仕組みをつくるべきだ」と強調した。また、「施行が後ろ倒しになって、ベンダー対応されている期間について、医療機関にとってどういうメリットがあるのか明確にしていただく必要があり、これはひいては、患者さんにとってのメリットになるものだ。また、そのメリットを最大化するための取り組みが必要になる」と述べた。

これに対し、厚労省保険局医療課の眞鍋馨医療課長は、秋頃までに医療関係団体やベンダーにヒアリングを行う予定であるとして、「その中でも費用低減分に関しまして着実に還元されるようにということで、それを実施して求めていきたい」と述べた。また、「共通算定モジュールの開発、あるいは標準型の電子点数表を改定して、全体のコストがどれくらい安くなるか、そういった効果も最大化していかなければならないだろうと考えており、いま計画をしている。そういったことを通じてその効率化を最大化するという取り組みを進め、逐次進捗状況を私どもチェックしていきたい」と応じた。

長島委員は、「後ろ倒しによって、医療現場や医療機関に具体的にどのようなメリットがあるのか、それがひいては患者さんに還元されるのかということについて、明確化していただいて、それを丁寧に医療現場に周知していただくということが重要だ。そのような取り組みを強くお願いしたい」と要望した。

◎診療側・森委員 薬価改定と調剤報酬改定の実施時期の分離「非常に不安を覚える」

診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「診療報酬の改定は6月、薬価改定は4月施行という2回に分けて改定を行うことについてはその準備に対する医療現場への負担、そして実際に施行された後の医療現場への影響が読めず、非常に不安を覚える。また患者さんの負担金額が4月と6月に2度変更となるため、このことに対する国民の皆さんの理解と影響も心配だ」と述べた。そのうえで、「診療報酬改定DXへの対応のコストが薬局や医療機関に転嫁され、追加的なコストが発生することも含めて、負担が増加することは、施行時期が2回にわかれたとしても、確実にあり得ないものであり、実際に診療報酬DXに対応する厚生労働省としては、ベンダーを含む関係者とも認識を一致させながら進めるべきであると強調させていただく」と釘を刺した。また、「特に薬局においては調剤報酬に占める薬剤費の割合が約75%あり、薬価改定による影響は大きく、薬価のシステム改修は4月以降でも十分対応が可能であると言い切れるものではない」として、丁寧な検証を求めた。

◎支払側・松本委員「医療保険制度全体の運営コスト削減が図れることに期待」

一方、支払側からは、松本真人委員(健康保険組合連合会理事)が「改定にかかわるコストや医療機関の負担の抑制、さらには保険者の負担も軽減され、医療保険制度全体の運営コスト削減が図れることに期待を持っている」と述べるなど期待を寄せる声があがった。安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、「今後、共通算定モジュールの提供も含め、提供を進め、現場が過大な負担なく、診療報酬改定に対応できる環境の整備に引き続き取り組んでいただきたい」と要望した。
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