日医・松本会長 26年度予算概算要求に向け要望 地域医療・医療DX・安定供給で“純粋な財源”確保求める
公開日時 2025/08/07 04:51

日本医師会の松本吉郎会長は8月6日の会見で、2026年度予算概算要求に向けた要望として、地域医療と医療DXの適切な推進、医薬品の安定供給を柱に予算確保を求めていく方針を示した。すでに福岡資麿厚生労働大臣には7月31日に要望書を提出しており、今後、自民、公明両党にも要望を行っていくという。松本会長は、「医療費のどこかを削って財源を捻出する方法では、医療機関の経営改善には全くつながらず、賃金・物価の上昇に対応できない。 純粋な財源、いわゆる真水の加算が必要だ」と訴えた。
日本医師会では2026年度予算概算要求への要望として、「地域医療への予算確保」、「医療DXの適切な推進のための予算確保」、「医薬品の安定供給のための予算確保」を3本柱に据えた。「地域医療への予算確保」では、地域医療を担う人材の養成や確保、有事に対応できる医療提供体制の構築の必要性を強調。「地域医療介護総合確保基金の拡充や柔軟な運用等による有効活用とともに、新たな予算措置および現行予算の大幅な増額を求める」とした。
「医療DXの適切な推進のための予算確保」では、「医療情報の標準化を行った上で、医療DXの導入を希望する全国の医療機関が、標準型電子カルテ等の医療情報システムを従来よりも低コスト、低労力で導入・維持できる環境整備を行うことが必要だ」と主張。医療DX導入・維持支援や、サイバーセキュリティ対策費用の支援、人材の育成・確保に対する支援などを求めた。
今回から新たに加えた「医薬品の安定供給のための予算確保」では、医薬品の安定供給について「適切な医療を提供する上で不可欠な基盤であり、医療提供体制の根幹をなすもの」とした上で、依然として続く供給不安への懸念を表明。安定供給に向けた製造能力の強化や後発医薬品産業の構造改革に対する予算措置や現行予算の増額を求めた。
◎ひっ迫した経営状況を鑑みれば「まずは補助金での早期の適切な機動的対応が必要」
26年度診療報酬改定に向けた対応方針も示した。松本会長は、閣議決定された、経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太の方針2025)を念頭に、「賃金上昇と物価高騰、日進月歩する医療の技術革新への対応には十分な原資が必要だ。著しくひっ迫した経営状況を鑑みれば、まずは補助金での早期の適切な機動的対応が必要であり、さらに診療報酬で安定的な財源を確保しなければならない」と主張。国庫補助による支援と診療報酬の大幅なプラス改定という両面での対応を求めた。
◎江澤常任理事 OTC類似薬の保険給付見直しは「国民の健康に対する大きなリスク」
また、会見ではOTC類似薬の保険適用除外をめぐり、改めて日本医師会としての立場を表明した。江澤和彦常任理事は、「保険給付の見直しを進めるような動きが見受けられるが、国民の健康に対する大きなリスクを生じうるものと大変危惧している」と危機感を露わにした。特に保険適用の除外に伴う経済的負担の増加や、自己判断での服薬による臨床上のリスクを指摘。自民、公明両党と日本維新の会の3党合意や骨太方針2025への記載を念頭に「議論の出発点は“保険適用除外”ではなく、“保険給付の見直しの検討”であり、国民の安全性や公平性を損なわないよう、慎重な議論が必要だ」と訴えた。