ＭＲ認定センターの近澤洋平専務理事・事務局長は8月24日、東京都内で開催した「責任者会議／MRフォーラム2023」で、2階建て方式の新たなＭＲ認定制度の検討に着手する考えを明らかにした。1階部分は医薬品の適正使用に資する者の資格（MR、MSL、ファーマコビジランス、くすり相談窓口などをイメージ）とし、2階部分は企業が実務教育や専門教育を施してＭＲなどを認定する。近澤専務理事は、「（MR以外に）時代とともに様々な職種が出てきた。そういう人たちも1階部分の資格は有してもらい、それぞれの専門性を持った資格認定制度が必要となってきた」と問題提起。新たな資格認定制度は、「部分最適ではない全体最適を図る」と強調した。これに伴い制度の全体設計を検証する「MR認定制度改革有識者会議」を近く設置、9月中に有識者委員を公表する。10月、11月に議論、24年1月の理事会答申を目指す方針。

◎「経営者がＭＲを正しく理解されていない」と危機感あらわ　

「昨今、営業部門とメディカル部門とか、プロモーションとノンプロモーションとか、私は不毛な議論だと思う。医薬品の適正使用と何の関係があるのかという話だ。中には、当社はＭＲという呼称は使いませんという企業がある。また、わが社はＭＲを配置せず専門性の高い社員が本社から全国の専門医に直接情報提供していますという企業もある」と列挙。「これがMRなんですよ」と反論し、「この経営者はＭＲっていうものを正しく理解されてない」と指摘した。続けて「今後は、これまでのようなＭＲ活動ではない営業スタイル、営業のやり方、スキルを持った者たちの少数精鋭集団になっていく」と発言した社長コメントを引用しながら、「ＭＲ活動というものを否定し、新たな営業活動を模索するというような、これも私からすれば、誤解されている形になる。これはもうこのまま私は放置できないと」と断言した。

◎医薬品の適正使用に資する活動「ＭＲ限定」は、適正使用推進体制から片手落ち

近澤専務理事はさらに、「MRに対する認識に大きなズレが生じてきた。そもそも企業の責務である医薬品の適正使用の推進というものの言及がないことに大きな疑問を感じる」と強調。「医薬品の適正使用に資する活動をするものがMRに限定されたままのMR認定制度は、その各社でＭＲと称した人だけが資質認定を受けている。企業としても、医薬品の適正使用の推進体制からすると片手落ちじゃないですか」と問題意識をぶつけた。そのうえで新しいＭＲ認定制度は、「医薬品の適正使用を推進するための資質認定ということで、これを資格認定制度に変えたいと考えている」と指摘。「2階建て方式の1階には、医薬品の適正使用に資する人たち（MR、MSL、ファーマコビジランス、くすり相談窓口など）に資格試験を受けてもらった上で、企業が実務教育や専門教育を施してＭＲなどとして認定される」とのイメージを説明した。

MR認定制度の発端となった厚労省の21世紀の医薬品のあり方に関する懇談会（1992年）では、「ＭＲの資格化について早急に検討する必要がある」と提言されていた。近澤専務理事は、改めて懇談会の提言を引用しながら、「将来的には資格取得者によりMR活動が行われることが望ましいと付されているにもかかわらず、25年間、これにセンターは向き合ってこなかった責任もある。そういった形での抜本改革を図りたいと思う」と決意を述べた。

◎メディアの報じる「ＭＲ不要論」にも警鐘

近澤専務理事はメディアの報じる「ＭＲ不要論」にも警鐘を鳴らした。近澤専務理事は、「ＭＲは法的に明確に位置づけられている。そういうＭＲに対して、不用意にMR不要論とは何事ですか」と痛烈に批判。「ＭＲの行動や資質に対して問題があるならそれを問題視していただいて、存在そのものを否定するようなことは、私は許したくないと申し上げたい」と強調した。さらに、「この不要論という読者の注目を浴びようとしている言葉の使い方がいろいろ混乱を招いている。大きな責任問題に私は発展するのではないかとも考えている」と述べた。