MR認定センター畠理事長 「元気でアクティブなMRをつくる」 デジタル・AI時代を見据えた再定義も
公開日時 2026/07/08 04:52

MR認定センターの畠清彦理事長は7月7日の就任会見で、「元気でアクティブなMRを作るために何をしたらいいのか問われている」と外部環境の変化を踏まえたセンターの役割に覚悟を示した。一方でデジタルや生成AIを医薬品の情報提供やMRの活動管理に活用する動きがあることについて、「新たな副作用情報の伝達にデジタルを活用するだけでは深刻さが医療者に届くとは思えない。MRは直接(医療者に)会う努力をして伝えていくことが大事だ」と述べ、AI時代であっても“対面”でのコミュニケーションの重要性を指摘した。
「COVID-19によって社会が変わったことも事実だ。これほど多くの抗がん剤が出ることも予測できなかったし、未知の感染症が今後日本に入ることもあるだろう。こういったことを少しずつ考えながらMR認定センターも頑張っていきたいと思う」―。畠理事長は就任の抱負をこう語った。特にコロナ禍を経た昨今の外部環境の変化については、医療機関の訪問規制やアポイント制導入に伴う医療者との面会制限や、MR人員の大幅削減、複数の製薬会社を渡り歩くMRの増加などの事象に触れ、MR認定センターとして激変する環境に対応していく必要性を強調した。
◎「AIやメールのようなデジタル情報だけで深刻さが届くと思わない」 対面こそ存在意義
生成AIの社会浸透に伴い、製薬各社とも医薬品の情報提供にデジタルやAIを使ったハイブリッド型のMR活動に舵を切るなど、大きな転換期を迎えている。こうした状況に畠理事長は、「緊急性を要する新たな副作用等の情報は、MRが必ず届けなければならない」と強調し、ヒトを介した情報伝達の必要性に触れた。続けて、「AIやメールのようなデジタル情報だけで深刻さが届くとは思わない。ニッチな領域ほど情報が十分に伝わるとは限らないため、医療者には直接コンタクトし、面会をして伝えていただくことが重要だ」と強調。医療者のリアル面談こそがMRの存在意義になるとの見解を強調した。
一方で、医師や薬剤師など医療者側でもAI活用が進み、病院業務のあり方も変わりつつある。畠理事長は、電子カルテシステムが欧米と違って日本はオープンではないため、患者情報にアクセスが難しい現状にも触れ、「日本では直接連絡をしないと得られない情報がある」と指摘した。
◎単なる製品プロモーションにとどまらず、地域・エリア内の連携支援に注力すべき
一方で近年はCAR-T細胞療法など患者のアンメットメディカルニーズを満たす革新的新薬が多数上市される中で、高額薬剤の増加から病院側の手間や費用(コスト)の持ち出しが増えるなど経営面の影響も指摘されている。畠理事長は、「すべての病院で高額な治療ができる必要はない」とした上で、MRは単なる製品プロモーションにとどまらず、地域・エリア内で受け入れが可能な医療機関を把握し、医療者や医療機関・薬局と地域の課題やニーズを共有しながら「地域医療連携」の“つなぎ役”としての活動に貢献することも求められるとの認識を示した。
◎近澤専務理事 コンプライアンスとガバナンスを強化
近澤洋平専務理事はこの日の会見で、2025年4月の公益法人制度改革を受け、自律的なガバナンスと透明性の向上に向けた取り組みを強化していることを説明した。25年11月に内閣府の立ち入り検査を受け、自己点検を実施したところ、理事の職務権限規程の明記などで不足があったという。その後、必要な改善を行い、要件を満たしたと説明。「コンプライアンスとガバナンスに対して真摯に取り組んでいる」と改めて強調した。
◎小日向事務局長 AI時代のMR試験について検討
小日向強事務局長は、MR認定センターの26年度から30年度までの中期戦略について、ガバナンス基盤の更なる整備やMRの自立化促進の実現など4項目を説明した。中でもAIについて、「生成AIをはじめとしたデジタル技術の進展や、医薬品、医療機器等に関する各種データベースの整備により、医薬品情報を取り巻く環境も大きく変化している」と指摘。そのうえで、「製薬企業と医療現場をつなぐ人的な情報活動に求められる役割や価値を改めて捉え直すとともに、医薬品の適正使用を支える基礎的知識の認証として、MR基礎試験が果たしうる役割について検討を進めていく」との認識を示した。
◎MR認定センター 27年に30周年
MR認定センターは6月15日の評議員会及び29日の理事会を経て、畠氏が理事長に就任、前理事長の井廻道夫氏が会長、近澤専務理事が続投する新体制となった。なお、MR認定センターは27年に創立30周年を迎える。