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杏林製薬・荻原社長 売上に占める新薬比率 23年度上期48.4% 25年度目標50%以上に「近づけた」

公開日時 2023/11/10 04:50
杏林製薬の荻原豊代表取締役社長は11月9日、2023年度第2四半期決算説明会に臨み、医療用医薬品売上に占める新薬の比率が23年度上期に48.4%になったと報告した。現中期経営計画で掲げる25年度の目標値50%以上に「だいぶ近づけた」と述べ、目標達成に自信をみせた。AGを中心に堅調に売上を伸ばす後発品事業以上に、ベオーバ、ラスビック、フルティフォームなどの新薬群が伸長したことが新薬比率の上昇につながった。また、新薬の市場浸透に「MRは絶対必要」とも強調。新薬上市が近年相次いだ現状では、MRを対象とした早期退職者募集は行わない考えも示した。

◎供給不安の去痰薬・カルボシステイン まず在庫割り当てで対応 将来は高岡新工場でも生産

荻原社長は、厚労省内で7日に武見敬三厚労相から直接要請があった鎮咳・去痰薬の増産に言及した。同社は去痰薬・ムコダイン(一般名:カルボシステイン)を製造販売し、数量ベースでカルボシステイン市場の約2割のシェアがあるが、荻原社長は「すぐに3割、4割に増やせるかといえば、そういう状況にはない」と指摘した。そして、短期的には在庫をうまく市場に割り当てて供給不安解消の一助とし、中期的には同剤を生産している能代工場(秋田県能代市)での増産とともに、24年4月稼働予定の高岡新工場(富山県高岡市)でも同剤の生産を行う考えを示した。

能代工場では可能な限りシフトを増やす取り組みを進めているが、他製品の生産・供給に支障がでないよう、「極めて微妙なコントロールが必要」とも吐露した。高岡新工場での同剤の生産・供給は「来年秋ごろになる見通し」。ただ、武見厚労相との面談時に、荻原社長自ら新工場立ち上げに係る審査の優先及び時間短縮を求めたことを明かし、審査期間の短縮が実現すれば、「秋ごろより少し早く供給がスタートできると思う」とも話した。

◎23年度上期 2ケタの増収増益 ベオーバ50.8%増収 ラスビック2.5倍

杏林製薬の23年度上期業績は、売上は前年同期比11.9%増の491億円、営業利益は47.2%増の11億円、親会社帰属純利益は41.4%増の18億円――と2ケタの増収増益だった。過活動膀胱治療薬・ベオーバやニューキノロン系抗菌薬・ラスビックなど主力の新薬群が大きく伸長。23年4月薬価改定による7%台の改定影響や後発品の売上増加に伴う原価率上昇などの影響を吸収した。新薬比率は22年度終了時に42.0%だったが、23年度上期終了時に48.4%にまで上昇した。

主要製品の売上は、ベオーバは50.8%増の83億円、ラスビックは2.5倍の25億円、喘息治療薬・フルティフォームは8.2%増の62億円、抗アレルギー薬・デザレックスは3.8%増の31億円、潰瘍性大腸炎/クローン病治療薬・ペンタサは6.9%減の61億円――などとなった。

同社によると、ベオーバは共同販売しているキッセイ薬品を含め、新規患者における処方獲得率1位(23年9月末43.4%)、既存薬からの切替獲得率でも1位(同35.9%)で、過活動膀胱治療薬市場における患者シェアは23年度上期で32.5%となった。23年度は通期で患者シェア約35%を目標に掲げ、過活動膀胱の薬物治療における第一選択薬とのポジショニング確立を目指す。なお、中期経営計画では25年度までに患者シェア50%の獲得を掲げている。

◎ラスビック 期初計画から大きく上振れ

ラスビックの23年度上期は、期初計画は14億円としたが、実績は25億円だった。新型コロナの感染症法上の位置づけが5月に5類となり、経口抗菌薬市場が急拡大。その中でラスビックの売上シェアも増加したため、期初予想から大きく上振れした。

同社によると、経口抗菌薬の市場規模は22年度上期289億円、23年度上期377億円となり、約3割拡大した。ラスビックは、経口薬で5.26%の薬価改定影響を受けたものの、同市場における売上シェアは22年度上期3.3%、23年度上期5.8%と、2.5ポイント増加した。治療推奨薬として診療ガイドライン(日常診療に活かす診療ガイドライン2022-2023/気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言(改訂版))に掲載されたことも追い風となっており、高齢者/基礎疾患のある呼吸器感染症患者のファーストチョイス抗菌薬との位置づけとなることを目指す。

◎リフヌア GP市場で7200軒、HP市場で1800軒の納入計画

一方で、新薬のひとつとして期待する難治性慢性咳嗽治療薬・リフヌアの23年度上期売上は4億円だった。5月に長期処方が解禁されたものの、服薬継続日数が想定よりも短いといった課題も見えているという。

下期は、作用機序に起因する味覚関連の有害事象など製品特性の理解促進や、長期データを含む有効性・安全性に係る情報提供活動により注力し、GP市場で7200軒、HP市場で1800軒の納入を目指す。11月1日付で費用対効果評価結果に基づき薬価が約7.7%引き下げられるが、期初計画の13億円は修正せず、やり遂げる方針。

◎後発品事業は4.7%増収 AGは後発品市場内シェア50%以上を維持

後発品事業の23年度上期売上は4.7%増の169億円だった。このうちキプレスAGは7.1%増の58億円と引き続き好調だった。同社はAGで後発品市場内シェア50%以上を目標に掲げている。荻原社長は、キプレスAGの後発品市場内シェアは65.2%、ナゾネックスAGは85.5%、ウリトスAGは61.8%と紹介し、「AGも引き続き積極的に取り組みたい」と述べた。

【23年度上期連結業績(前年度比) 23年度予想(前年度比)】
売上高 549億3700万円(11.9%増) 1162億円(2.6%増)
営業利益 11億4400万円(47.2%増) 60億円(17.1%増)
親会社株主帰属当期純利益 17億5700万円(41.4%増) 49億円(3.7%増)

【23年度上期の国内主要製品売上高(前年度実績) 23年度予想、億円】
ベオーバ 83(55) 189
ラスビック 25(10) 32
リフヌア 4(1) 13
デザレックス 31(30) 89
フルティフォーム 62(57) 114
ペンタサ 61(65) 118
キプレス 26(27) 53
ムコダイン 20(15) 30
ナゾネックス 4(6) 12
ウリトス 3(4) 2
ジェネリック計 169(161) 366
うちキプレスAG 58(54) 110
うちナゾネックスAG 9(11) 34
うちウリトスAG 3(4) 4
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