日医・松本会長が伊藤環境相と会談 脱炭素化へ”デコ活”推進 プラネタリーヘルスが人の健康につながる
公開日時 2023/11/22 04:50
日本医師会の松本吉郎会長は11月21日、伊藤信太郎環境相と会談し、脱炭素化を進める「デコ活」推進に向けて意見交換した。日本医師会の松本会長は、「日本医師会として、”デコ活宣言”をした。広くこの地球温暖化の問題を自分のこととして捉えてもらう認識を国民にも持ってもらうことが重要だ」と話し、“デコ活”を推進する姿勢を強調した。伊藤環境相は「医学・医療と環境問題で、人の命と健康を守る両輪だ」と話し、日本医師会との協力姿勢を強調した。
会談のきっかけとなったのは、松本会長が11月17日に“デコ活宣言”を行ったこと。“デコ活”とは、脱炭素(デカーボナイゼーション)とエコを組み合わせた新しい言葉で、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動の愛称。日本医師会は、温暖化の進展による熱中症や自然惨害のリスクが増大し、健康被害につながるとして、「国民の健康と生命を」ことを使命から、「プラネタリーヘルス(地球の健康)」が「人の健康」につながることを呼びかけ、デコ活の取り組みを後押しすることを宣言した。
会談では、地球温暖化の進展によって熱中症やデング熱などの感染症の発生が起きるリスクが増大するほか、海洋でのプラスチック汚染など、環境変化による健康への影響が話題となった。
◎伊藤環境相「環境・医療は人の健康守る両輪」 デコ活は「価値観のシフトも眼目」
松本会長は「地球規模で起きている気候変動と産業とのかかわり、環境問題と健康問題のかかわりは非常に多岐にわたる。このかかわり方が重要なポイントだ」と述べた。
伊藤環境相は「環境を大事にしようという意識を持って行動すれば行動も、選ぶ商品もサービスも違う」と話し、個人の意識の重要性を強調。「環境問題は医学との両輪であるとともに、社会のありよう全体にもかかわる問題だと思う」と話し、活動を広げる重要性を強調した。松本会長は、「省エネのためというだけではなくて、非常に豊かな暮らしを作っていくための国民運動だってことがポイントだと思った」と応じた。
伊藤環境相は、「いま私達ができることをする。そのためにはやはり意識改革が必要だ。豊かな生活はかつての高度成長時代の大量消費、大量な消費財を所有するというベクトルだけでは必ずしもない個人に合った生き方ができることが豊かな生活だという、価値観のシフトもデコ活の非常に大きな眼目だと思っている」と話した。具体例として、エレベーターではなく、階段を使うことなどをあげ、「1階や2階であれば、階段を使うと健康にもいいし、脱炭素にもいい。単に節約するということではなく、新しい生き方の豊かさという方向に広げていく」必要性を強調した。松本会長も、「生活習慣病予防や健康寿命の延伸という意味でも、その方に合った定期的な運動を無理なく生活に取り入れていくことが重要だ。これがデコ活にもつながる。ぜひこういった活動を少しずつ形にしていただけるよう頑張っていきたい」と話した。
日本医師会は、災害に強い地域づくりと脱炭素化推進に向けて、医療機関が蓄電池の整備などに取り組んでおり、伊藤環境相も「環境省としてもご協力申し上げたい」と応じた。