厚労省・内山審議官 後発品の安定供給へ「日本全体で効率的な仕組みに」 GE薬協・賀詞交歓会
公開日時 2024/01/25 04:51
厚生労働省の内山博之医薬産業振興・医療情報審議官は1月24日の日本ジェネリック製薬協会の賀詞交歓会で挨拶し、後発品の安定供給に向けて、「今後は後発医薬品全体を日本全体で効率的な仕組みにしていくことが必要」との考えを示した。2020年末から続く後発品を中心とした供給不安について内山審議官は、「解決には、少量多品目などの後発医薬品の構造問題を解決しないと、根本的な解決にならない」と述べ、流通を含めた産業構造転換の必要性を強調した。
◎同一成分複数企業製造「オールジャパンで必要量確保が大切」 流通改善の必要性も指摘
内山審議官は、“日本全体で効率的な仕組み”として、同一成分を複数企業が製造しているケースなどを引き合いに、「オールジャパンで必要量が確保されていることが大切」との認識を表明。ジェネリックメーカーにも生産ラインの生産性向上などの取り組みについて「さらなるお願いをしたい」と強調した。
2024年度薬価制度改定では、後発品の安定供給に向けた企業指標が導入されたほか、不採算品再算定の特例対応も23年度改定に続き行われる。さらに、流通改善ガイドラインの改訂を見込む中で、「これまでとは少し変えていかないと改善していかない。ガイドラインを一歩として捉えていただき、引き続き取り組んでいただきたい」と述べた。
内山審議官は、「国としても、国全体として効率的な仕組みとなるように後押し、支援をさせていただきたい」と強調。今後は、「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会(以下、後発品検討会)」で取りまとめに向けて議論を深め、それを踏まえて対応を進める考えを示した。
◎GE薬協・高田会長 後発品の企業指標導入「当協会の発展に向けた歴史的一歩」
日本ジェネリック製薬協会の高田浩樹会長は2024年度薬価制度改革で後発品の企業指標が導入さえることについて、「当協会の発展に向けた歴史的な一歩となるものであり、今後の本格的な導入に向け、安定供給情報の可視化を推進し、検証活動に協力してまいる所存だ」と述べた。さらに、後発品検討会について、「後発品産業のあるべき姿が議論され、方向性が示されることになるが、積極的に情報を開示するとともに、品質が確保された後発品を安定供給できる企業および産業としてのあるべき姿について、当事者としての考えを示し、実現に向けて取り組む」と述べた。
高田会長は、「本年、当協会では、3年にわたる供給不安の解消という大変大きな課題を最優先に取り組む」とも表明。「協会として、厚労省や上部団体の日薬連とも連携し、より踏み込んだ供給不安の原因分析と解消に向けた取り組みを進めるなど、主体性を持って臨み、供給状況の改善に尽力する」と述べた。また、「人手不足やコスト上昇など厳しい経営企画経営環境が続く中、各企業として、引き続き生産性向上を進め、増産体制、対応を図る」と述べ、関係各所への理解と支援を訴えた。
◎日薬連・宮島理事長 「自分たちのことは自分で解決する心意気を」
日本製薬団体連合会(日薬連)の宮島俊彦理事長は、24年が辰年であることを踏まえ、「医薬品の供給不安を断つ、GMP違反を断つ、毎年薬価改定を断つ年に」と話した。そのうえで、ジェネリックが2兆円産業に成長したことを踏まえ、「自分たちのことは自分で解決していくという心意気を持ってこれからの日本のジェネリック産業として、しっかり立っていってほしい」と呼びかけた。