24年度改定 後発医薬品使用体制加算に医薬品の供給不足時の治療計画見直し体制を要件化、評価見直しへ
公開日時 2024/01/29 05:28
厚労省保険局医療課は1月26日の中医協総会に、2024年度診療報酬改定の個別改定項目(短冊)を示した。後発品を中心とした供給不安が続く中で、後発医薬品使用体制加算、外来後発医薬品使用体制加算に「医薬品の供給不足などの場合における治療計画の見直しなどに対応できる体制整備」などの要件を新設する。一般名処方加算については、患者への説明や院内掲示などの要件を新設することを盛り込んだ。いずれの点数も見直す。これに伴って、薬剤情報提供料、処方箋料の点数も見直す方針。
後発医薬品使用体制加算の施設基準として、「医薬品の供給が不足等した場合に当該保険医療機関における治療計画等の見直しを行う等、適切に対応する体制を有していること」を新設。後発品の使用に積極的に取り組んでいることに加え、「(治療計画の見直しなどに対応できる体制や)医薬品の供給状況によって投与する薬剤を変更する可能性があること、及び変更する場合には入院患者に十分に説明すること」について医療機関の見やすい場所に掲示。ウェブにも原則として掲載することを求めた。外来後発医薬品使用体制加算では、「医薬品の供給が不足した場合に、医薬品の処方等の変更等に関して適切な対応ができる体制整備されていること」などを要件としている。
◎一般名処方加算「供給状況を踏まえ、趣旨を患者に十分説明」を施設基準に
一般名処方加算については、「薬剤の一般的名称を記載する処方箋を交付する場合には、医薬品の供給状況等を踏まえつつ、一般名処方の趣旨を患者に十分に説明することについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること」などを要件として新設する。
◎BS使用促進へ「バイオ後続品使用体制加算」を新設 導入初期加算の対象患者も拡大
バイオシミラー(バイオ後続品)の使用促進に向けて、入院医療においてバイオシミラーの有効性・安全性について十分な説明を行い、バイオ医薬品ごとの特性を踏まえた使用数量割合の基準を満たす医療機関について、新設する「バイオ後続品使用体制加算」で評価する。入院初日のみ、点数を加算できる。算定には、バイオシミラーの使用促進に積極的に取り組んでいる旨を、医療機関の見やすい場所に掲示していること、原則としてウェブサイトにも掲載していることを要件とする。また、「バイオ後続品導入初期加算」については対象患者を「外来化学療法を実施している患者」から、「医療機関において注射するバイオ後続品を使用する全ての患者」に見直す。これに伴い、外来腫瘍化学療法診療料におけるバイオ後続品導入初期加算を廃止する。バイオシミラーをめぐっては、「29年度末までに、バイオシミラーに80%以上置き換わった成分数が全体の成分数の60%以上」とする新たな政府目標が設定されたことを踏まえ、さらなる推進策の必要性が指摘されている。
◎長期収載品 選定療養導入でバイオ医薬品、「置換率1%未満」は対象から除外
長期収載品の保険給付については選定療養の仕組みが導入される。イノベーション推進の観点から、保険給付のあり方を見直す。10月1日から施行・適用される。対象は、「後発品の上市後5年以上経過したもの又は後発品の置換率が50%以上となった長期収載品」で、後発品の最高価格帯との価格差の4分の3までを保険給付の対象とする。準先発品は対象に含まれるが、バイオ医薬品は対象外とする。また、上市後5年以上経過しても「置換率が1%未満」と後発品への置換率が極めて低い場合も、「後発品を提供することが困難」として対象外とする。
医療上の必要性により、医師が銘柄名処方(後発品への変更不可)とした場合など、医療上の必要性があると認められる場合や、薬局に在庫がないなど、後発品を提供することが困難な場合は、引き続き保険給付の対象とする。医療上の必要性が認められる場合が処方段階から明確になるよう、処方箋様式を見直す。また、長期収載品の投与に係る特別の料金その他必要な事項を医療機関、薬局内の見やすい場所に掲示することも求める。