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住友ファーマ・野村社長 24年度の研究開発費「大幅に引き下げる」 想定以上の減収と赤字幅の拡大受け

公開日時 2024/02/06 04:51
住友ファーマの野村博代表取締役社長は2月5日、大阪で開いた記者会見で、2023年度の想定以上の減収と赤字幅の拡大を理由に、24年度は研究開発費の削減に踏み込む考えを示した。「(24年度も)研究開発プログラムはいろいろ走らせる予定だったが、ある程度、限定的にしないといけない。研究開発費を想定通りに出していくのは難しい」と述べた。ただ、北米基幹3製品に続く次の成長ドライバーと期待する抗がん剤2製品(TP-3654、DSP-5336)やパーキンソン病を対象疾患とするiPS細胞を用いた再生医療等製品「DSP-1083」などには引き続き経営資源を投入すると表明。「30年代半ばに予定する北米基幹3製品の特許切れをカバーできる次の剤は育てないといけない」と強調した。

現在の5カ年の中期経営計画(23年度~27年度)では、ラツーダの米国特許満了の翌年度にあたる23年度の連結業績予想は売上3620億円、コア営業損失620億円と見込む一方、24年度には売上4600億円、コア営業利益は400億円と黒字化させる計画を立てた。北米基幹3製品の経口前立腺がん治療薬・オルゴビクス、子宮筋腫・子宮内膜症治療薬・マイフェンブリー、過活動膀胱治療薬・ジェムテサ――の成長が、業績のV字回復のカギを握る内容となっていた。

しかし、1月31日に発表された修正後の23年度業績予想は、売上3170億円(期初計画から450億円減)、コア営業損失1340億円(同720億円減)と赤字幅が拡大する厳しい業績になると予想された。北米基幹3製品の市場浸透に時間がかかっているとして3剤合計で3億ドル以上、下方修正したことや、ラツーダの後発品影響が想定以上に出ていることが理由だ。さらに減損テストを23年度第4四半期に行う予定で、更なる下振れリスクも抱えている。

野村社長はこの日の会見で、「中期経営計画と23年度の売上予想との間に、既に相当の狂いが生じている。北米基幹3製品が想定ほど伸びていない」とした上で、「24年度に想定していたトップラインにならないのであれば、(北米事業での)更なる効率的な組織運営、研究開発費の削減、いくつかのアセットの売却を含めて対応しないといけない」、「トップラインに見合った運営の仕方を考えていかないといけない」と述べた。中期経営計画の見直し作業を進めていることを改めて説明する一方、24年度のコア営業利益の黒字化は「400億円は厳しい」ものの、黒字化の目標は降ろしていないと強調した。

24年度の研究開発費の水準に関しては、「23年度は900億円台を投じるが、24年度はこのレベルは不可能。大幅に引き下げる」と述べた。会見での質疑で、会社の競争力の源泉である研究開発費を削ってまでコア営業利益の黒字化を目指すのかとの質問に野村社長は、「短期的に利益を出せばいいということではない」と語気を強めて反論。「そもそもこのような状況になったのはこの10年間、ラツーダに続く新薬が出せなかったことに大きな原因がある。北米基幹3製品が今後伸びたとしても、その次の自社品が出てこないとほとんど意味がない」と強調し、将来の成長ドライバーになり得るポテンシャルの高い開発品を見極めて研究開発費を投じていく方針を示した。

また、「我々としては早く元の成長ラインに戻り、研究開発費をしっかり出せるところまで戻ることが大事だ」とも述べ、北米基幹3製品の早期の最大化に引き続き尽力する構えもみせた。


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