岸田文雄首相は３月５日の参院予算委員会で、医薬品産業の国際競争力強化に向け、昨年12月に内閣官房に「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」を設置し、議論を進めていると述べた。構想会議について岸田首相は、「シーズの開発から医薬品が国民の手に渡るまで日本全体で一気通貫した創薬エコシステムの構築を目指し、研究から開発、製品製造が日本で行われるようにするためのアカデミアやスタートアップ等への支援のあり方、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロス問題への対応などで議論を行っている」と説明。「必要な医薬品が国民に安定的に届けられるよう、取り組んで参りたい」と意欲を示した。国民民主党の川合孝典議員への答弁。

岸田首相は、「医薬品産業の健全な維持・発展は、我が国の医療水準を向上させるとともに、経済全体を支えることにもつながる。医薬品産業政策は、医療政策、経済政策の一環としても重要」との認識を表明。創薬力構想会議での議論に期待感を表明した。なお、創薬力構想会議は、3月中に開催する第3回会合で製薬協の上野裕明会長ら複数の参考人によるプレゼンテーションを行う予定。その後、第４回（4月開催）の会合で、これまで意見表明した構成員の意見の整理や追加の意見聴取などを行い、論点整理の骨子について議論。それを踏まえた第５回（５月開催）の会合で中間とりまとめを行う方針だ。

◎武見厚労相　日本の薬価「必ずしも低水準とは言い切れない」

この日の参院予算委員会では武見敬三厚労相が、日本の薬価が欧米よりも低いとの指摘に対し、「欧米と比較した価格は医薬品によってさまざまだ。海外よりも薬価が高い医薬品も一定数ある。必ずしも低水準だとは言い切れないところもある」との認識を示した。