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厚労省・安定確保会議 供給停止・薬価削除プロセスの簡素化へ議論開始

公開日時 2024/03/18 05:00
厚生労働省の「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」は3月15日、供給停止・薬価削除プロセスの簡素化に向けた議論を開始した。後発品の安定供給に向けた少量多品目構造解消に向けた施策の一つ。構成員からは、供給停止・薬価削除プロセスの簡素化により、製薬企業が意図的にシェアを下げるなどして、かえって安定供給に支障が出ることを懸念する声が上がった。また、供給停止・薬価削除に至るプロセスを明確化し、判断に必要なデータを求める声もあがった。厚労省はこうした課題を踏まえ、検討を進める考え。

◎供給停止・薬価削除品目 22年から増加傾向

「供給停止・薬価削除プロセスの簡素化」をめぐっては、厚労省の「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」の論点としてあがっていた。後発品の安定供給に向けて、少量多品目構造が課題として指摘される中で、適正化に向けた方向性に向けて検討することが求められていた。

供給停止・薬価削除に至るには、製薬企業が対象品目の供給停止について事前に学会から了承を得るところからスタートし、厚労省や関係学会との調整が必要であり、確認のために期間を要することも指摘した。一方で、供給停止・薬価削除品目は500~600品目で推移していたが、22年には1294品目、23年には1109品目あった。22年に小林化工の業務廃止に伴う薬価削除、23年に日医工をはじめとした企業品目の整備が含まれており、これらの影響はあるものの、供給停止・薬価削除品目は増加傾向にあるとした。品目としては、シェアが1~2%と低いものと、100%近いシェアを有する品目があるとのデータも示した。

◎製薬企業が意図的にシェアを下げないような仕組み、関係学会への確認手続き明確化など検討

厚労省は、関係学会・製薬企業双方の負担を軽減する観点から、対象品目のシェアや代替品の状況に応じた供給停止・薬価削除プロセスの簡素化を提案した。実現に向けては、製薬企業が意図的にシェアを下げないような仕組みとすることや、製薬企業が事前に関係学会の確認を行う際の手続きの明確化などを検討することが必要とした。あわせて、OD錠や全規格揃えについても検討することを提案した。

坂巻弘之構成員(神奈川県立保健福祉大大学院教授)は、供給停止品目の中に低薬価品が多く含まれていることを指摘した。梶山健一構成員(日本製薬団体連合会安定確保委員会委員長)は、「意図的ではなく、成分内で非常にシェアが低くなっているもの等については少し整理が進むことがあってもいいのではないか。新製品が出てくる中で位置づけが変わってきている品目については、色々な先生方のご意見等もうかがいながら、どう扱っていくか、取り組んでいただければ」と話した。

安部好弘構成員(日本薬剤師会副会長)は、「少量多品目生産や共同開発の問題は解決しなければいけない問題だと思っている。薬価削除の効率化をし、新たな医薬品不足の原因とならないよう、しっかり注意しなければいけない」と述べた。薬局では先発・後発の普通錠とOD錠を採用しているケースも少なからずあるとして、地域での安定供給を考える必要性を指摘した。

◎松本構成員「薬価削除プロセス、学会としても負担」 情報判断に必要なデータを求める

学会の立場から供給停止や薬価削除にかかわる松本哲哉構成員(国際医療福祉大医学部感染症学講座主任教授)は、「学会として薬価削除で負担がかかっている。供給停止、薬価削除について聞かれることも増えてきた。基本的には製薬企業は基本的に儲からないと、赤字を続けるわけにはいかないという中で方針を立てることは理解できるが、薬価削除をしても影響が少ないのか大きいのか判断を示すデータもなく、いきなり聞かれることも多い。シェアがどれくらいか、代替薬はどうかなどのやり取りをして判断できる。安易に簡素化してイエス、ノーで決められないものが多々ある。情報を提供していただいたうえで慎重に判断するというステップが重要ではないか」と指摘した。

厚労省医政局医薬産業振興・医療情報企画課ベンチャー等支援戦略室の山本剛室長は、「プロセスの検討に当たっては供給への悪影響を出さないことが大前提。しっかりと検討していきたい」と強調したほか、企業から学会への問い合わせ、手順について明確化を検討する方針を示した。

◎安定供給に係るマネジメントシステム確立も検討

厚労省はこの日の検討会に、「医薬品の安定供給確保にかかわるマネジメントシステムの確立」も議論の俎上に上げた。改正感染症法・医療法の施行を踏まえ、供給不安報告や供給状況報告、感染症法に基づく報告徴取など、平時・有事ともに供給状況を把握する仕組みを4月からスタートさせる。厚労省は平時・有事を問わず、こうした供給状況を把握・管理し、対策の実効性を高める方策を議論する方針。

このほか、医薬品の安定供給確保をめぐっては、後発品のみ薬価収載時に5年間製造販売を継続するよう通知が発出されている。成川衛構成員(北里大学薬学部教授)は、「5年というのが短いという印象だ。もっと長くすべきという意見を私は持っているが、具体的な基礎データをお願いできないか」と厚労省に議論に資するデータを求めた。





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