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アインHD元常務に懲役6月・執行猶予2年 他2被告にも有罪判決 敷地内薬局巡る競売妨害罪公判 札幌地裁

公開日時 2024/04/19 04:52
KKR札幌医療センター(札幌市)の敷地内薬局の整備入札を巡って不正を行ったとして、公契約関係競売等妨害罪に問われたアインホールディングス(HD)元常務取締役の酒井雅人被告に対し、札幌地裁の井下田英樹裁判長(渡邉史朗裁判長代読)は4月18日、懲役6月、執行猶予2年の判決を言い渡した。子会社アインファーマシーズ元取締役の新山典義被告にも懲役6月、執行猶予2年、センター元事務部長の藤井浩之被告には懲役1年、執行猶予3年―のいずれも有罪判決を言い渡した。

◎当初「月額450万円」から再提出持ち掛け 「月額750万円、保証金5億2000万円」に

判決では、3人が共謀して、2020年12月、センター敷地内の薬局を運営する事業者選定の公募で、アインHDに優先交渉権を得させようと考え、偽計を用いて公の入札の公正を害す行為をしたと認定。当初アイン側は月額450万円を支払うとした企画提案書を出していたが、提出期限後に藤井被告が新山被告に他社の提案内容を漏らし、賃借料を増額した企画提案書の再提出を持ち掛けた。新山被告と酒井被告は新たに月額750万円、保証金5億2000万円を支払う企画提案書を再提出することを決めたとされる。

判決文で井下田裁判長は「20年間の支払総額を9億6000万円から22億円と大幅に増額している」などとして、3人の犯行を「企画競争の公正さを害した程度は大きい」と断じた。

◎公判中否認に転じた酒井被告 判決「積極的に賛成していた」

公判では、途中で否認に転じた酒井被告の故意や共謀が認められるかが争点になった。判決は、企画競争がアイン側で「最上位の重要度と格付けられていた」ことや、再提出時の修正内容が「当初の提案の2倍以上の金額を提示しており、収益性に大きな影響があり、経営判断に関わる変更といえる」などと指摘。酒井被告は「資料の作成に関わっていない」などと主張していたが、井下田裁判長は「根拠を説明せずに簡単に了承を得るのは不自然である」とした上で、再提出に「積極的に賛成していたと認められる」として酒井被告の故意、共謀を認定した。

同様に①医療センターが「公の」入札実施主体に当たるか②企画提案書の再提出が「公正を害す行為」に当たるか―も争点になった。札幌地裁は①について、医療センターは国家公務員共済組合連合会が設置する病院として「国家公務員共済組合法の目的に従い、公務性が認められる」とした上で、「事業内容、人事、財政面において国による相当程度の監督下に置かれている」と指摘。②については、弁護側は過去の判例を基に事業者選定の公募は“企画競争”であり、罪名上の“競争入札”には当たらないなどと主張していたが、判決では企画競争が「競争入札との各種の相違点を踏まえても、その内容、手続き及び目的に照らして、単なる随意契約ではなく、競争入札の実質を具備している」として、①②でいずれも弁護側の主張を退けた。

◎酒井被告弁護人「極めて遺憾」 控訴の意向示す


公判後、酒井被告の弁護人は「当方の主張が認められず、極めて遺憾な判決である。判決内容を精査したうえ、控訴審の判断を仰ぐことになるだろう」とのコメントを出した。新山被告の弁護人は「まだ判決を見ていないので、控訴するかどうかは判断できない」、藤井被告の弁護人は「判決文の内容を精査するが、現時点で控訴の意向はない」としている。
 
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