アゼルニジピン含有製剤とポサコナゾール、併用禁忌に 添付文書改訂
公開日時 2024/08/28 04:50
カルブロックやレザルサスといったアゼルニジピン含有製剤と、ポサコナゾールの併用を禁忌とする添付文書改訂が行われた。厚生労働省医薬局医薬安全対策課が8月27日、課長名で添付文書改訂を指示したことを受けたもの。生理学的薬物速度論モデルの解析によりCYP3Aの強い阻害作用を有するポサコナゾールをアゼルニジピンと併用した場合、アゼルニジピンのAUCが約5倍に増加することが予測され、副作用の発現が懸念されるため、今回の添付文書改訂に至った。
今回、9成分で添付文書改訂が行われた。添付文書の改訂指示があった医薬品は次の通り。カッコ内は販売名、承認取得者。
▽ミロガバリンベシル酸塩(タリージェ錠・同OD錠、第一三共)
改訂概要:「重大な副作用」の項に「腎機能障害」を追記する。
改訂理由:MID-NETを用いた腎機能検査値異常リスクに関する調査結果の概要、市販後の腎機能障害関連症例及び同作用機序を有する薬剤の国内外注意喚起状況を踏まえ、当該リスクがあると判断した。上述の機構見解の適切性、腎機能障害関連症例の因果関係評価並びに腎機能障害に係る使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
腎機能障害関連症例の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は3例。うち死亡との因果関係が否定できない症例は0例。
▽バルプロ酸ナトリウム(デパケン錠・同R錠・同細粒・同シロップ、協和キリン/セレニカR顆粒・同R錠、興和)
改訂概要:「その他の注意」の「臨床使用に基づく情報」の項に、父親曝露による児における神経発達症の発症に関する情報を追記する。
改訂理由:本剤に曝露した父親の児における神経発達症に関する海外疫学調査文献を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、以下の「・」の内容を踏まえ、現時点では本剤に曝露した父親の児における神経発達症の発症リスクに関する評価は確立していないものの、父親曝露による児における神経発達症の発症の可能性が否定できないため、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
・北欧観察研究において、受胎前の3カ月間に本剤に曝露した父親の児における神経発達症リスクの増加が示唆されたこと。ただし、欧州ではさらなる検討のため新たな試験の実施が求められている。
・海外観察研究において、受胎前の120日間に本剤に曝露したてんかんを有する父親の児では、統計学的に有意な神経発達症リスクの増加は認められないこと。
▽①アゼルニジピン(カルブロック錠、第一三共)
②オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン(レザルタス配合錠、第一三共)
③ ポサコナゾール(ノクサフィル錠・同点滴静注、MSD)
④ ホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物(ネイリンカプセル、佐藤製薬)
改訂概要:
①②について、「禁忌」の項に「ポサコナゾールを投与中の患者」を追記する。「相互作用」の「併用禁忌」の項に「ポサコナゾール」を追記する。「併用注意」の項に「アゾール系抗真菌剤(併用禁忌の薬剤を除く)ホスラブコナゾール等」を追記する。
③について、「禁忌」の項に「アゼルニジピン、オルメサルタンメドキソミル・アゼルニジピンを投与中の患者」を追記する。「併用禁忌」の項に「アゼルニジピン、オルメサルタンメドキソミル・アゼルニジピン」を追記する。
④について、「併用注意」の項に「アゼルニジピン」を追記する。
改訂理由:
<アゼルニジピン含有製剤とポサコナゾールの併用について>
アゼルニジピンとポサコナゾールの併用時における薬物動態学的な影響及び市販後安全性情報を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、以下の「・」の理由から、使用上の注意を改訂し両剤の併用を併用禁忌とすることが適切と判断した。
・生理学的薬物速度論モデルの解析によりCYP3Aの強い阻害作用を有するポサコナゾールをアゼルニジピンと併用した場合、アゼルニジピンのAUCが約5倍に増加することが予測され、副作用の発現が懸念されること。なお、アゼルニジピン含有製剤とポサコナゾールの併用を禁忌とすることの医療現場への影響について、関連学会に意見を聴取し、特段の問題はないことを確認した。
<アゼルニジピン含有製剤とホスラブコナゾールの併用について>
アゼルニジピンとホスラブコナゾールの併用時における薬物動態学的な影響及び市販後安全性情報を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、以下の「・」の理由から、使用上の注意を改訂し両剤の併用は併用注意とすることが適切と判断した。
・アゼルニジピンは主としてCYP3A4で代謝され、CYP3Aの中程度の阻害作用を有するホスラブコナゾールをアゼルニジピンと併用した場合、アゼルニジピンのAUCの増加はCYP3Aの代表的な基質であるミダゾラムと同程度(約3倍)と想定される。しかしながら、アゼルニジピンの用量調整幅を考慮すると、用量調整する等のリスク最小化によりホスラブコナゾールとアゼルニジピンの併用が可能な場合もあること。
▽ペマフィブラート(パルモディア錠・同XR錠、興和)
改訂概要:「重大な副作用」の項に「肝機能障害、黄疸」を追記する。
改訂理由:肝機能障害関連の症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と肝機能障害との因果関係が否定できない症例が集積し、当該症例に黄疸を認める症例が含まれていることから、使用上の注意を改訂し、肝機能障害、黄疸を追記することが適切と判断した。
肝機能障害関連の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は9例。うち3例は黄疸も認めた症例。死亡との因果関係が否定できない症例は0例。
▽パイナップル茎搾汁精製物(ネキソブリッド外用ゲル、科研製薬)
改訂概要:「特定の背景を有する患者に関する注意」に「合併症・既往歴等のある患者」を新設し、「減張切開創、裂創等の創傷のある患者」の項を追記し、本剤と創部の接触による出血に関する注意喚起を追記する。「重大な副作用」の項に「適用部位出血」を追記する。
改訂理由:出血関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と出血関連事象との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
出血関連症例の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は4例。うち死亡との因果関係が否定できない症例は0例。
▽イオジキサノール(ビジパーク注、GEヘルスケアファーマ)
改訂概要:「重大な副作用」の項に「急性汎発性発疹性膿疱症」を追記する。
改訂理由:急性汎発性発疹性膿疱症症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と急性汎発性発疹性膿疱症との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
急性汎発性発疹性膿疱症の症例の集積状況:国内症例は0例。海外症例のうち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は4例。うち死亡との因果関係が否定できない症例は0例。