SB TEMPUSとがん研究会 医療データの利活用を促進する「アダプタ」の設計・開発で基本合意 医療AI
公開日時 2024/12/11 04:50
ソフトバンクグループと米・Tempus AI, Inc.の合弁会社「SB TEMPUS」はこのほど、公益財団法人がん研究会と医療データの利活用を促進するアダプタの導入で基本合意書を締結したと発表した。2025 年以降のがん研有明病院への本格導入に向けてアダプタの設計・開発に取り組む方針。これにより、がん診療領域の個別化医療を加速させたい考え。
◎最適な治療オプション(治療薬を含む)を医療者に提示 米Tempus社
SB TEMPUSは、ソフトバンクグループの孫正義代表取締役会長兼社長執行役員が6月27日に行った記者会見で、“医療データ×AI”のリーディングカンパニーである米国のTempus AI, Inc.と出資比率各50%の合弁会社を設立すると発表したことに始まる。資本金は300億円。合弁会社は、①遺伝子検査、②医療データ収集・解析、③AIによる治療選択肢レコメンド―の3サービスを予定。米Tempus社は全米2000医療機関と提携し、電子カルテ、遺伝子データ、病理データ、画像データをリアルタイムに集積している。データ収集に際しては、病院側で電子カルテデータの統合・標準仕様への変換は行わず、米Tempus社側が独自開発した「アダプタ」を用いてデータを処理し、そのままTempus AIデータベースで解析され、最適な治療オプション(治療薬を含む)を医療者に提示する流れとなっている。
今回の基本合意により日本国内での事業活動の第一歩を踏み出すもの。「アダプタ」を導入することにより、病院内で蓄積された診療記録、画像検査や病理検査の結果、ゲノム情報など、さまざまな医療データを自動で抽出、構造化することを目指す。
◎がん研有明病院 佐野武病院長「個別化医療のさらなる推進を目指したい」
がん研有明病院 佐野武病院長は、「今回、SB TEMPUSと設計・開発を予定しているアダプタにより、更に異なる切り口で医療データを抽出し、個別化医療のさらなる推進を目指したい」と強調。「がん研究会は、医療データの利活用に積極的に取り組むにあたって、AI等の最新情報処理技術やがんゲノム検査等を活用し、これからも人類の福祉に貢献したい」とコメントした。