米商務省 トランプ関税 医薬品と医薬品原料の輸入が国家安全保障に及ぼす影響について調査開始
公開日時 2025/04/16 04:52
米商務省は4月14日、関税導入に向けて医薬品と医薬品原料の輸入が国家安全保障に及ぼす影響について調査を開始したと発表した。重要な原材料や主要な出発物質、並びにこれらの品目の派生製品も対象に含まれる。調査は、通商拡大法第232条に基づき、4月1日から開始。21日間にわたり、パブリックコメントを行うとしており、結果を踏まえて医薬品に関税を課すか検討する。
◎需要と将来予測、リスク、経済的影響などパブコメ求める
パブリックコメントでは、①医薬品および医薬品原料の現在の需要と将来予測、② 医薬品および医薬品原料の国内生産が国内需要をどの程度満たせるか、③ 医薬品および医薬品原料に対する米国の需要を満たす上で、特に主要輸出国を中心とした外国のサプライチェーンが果たす役割、④医薬品および医薬品原料の米国への輸入が少数の供給元に集中していることと、それに伴うリスク、⑤外国政府の補助金および貿易慣行が米国の医薬品産業の競争力に与える影響、⑥外国の不公正な貿易慣行および国家主導の過剰生産により医薬品および医薬品原料の価格が抑制されることによる経済的影響、⑦外国による輸出制限の可能性(医薬品供給を武器とする外国の能力を含む)、⑧ 輸入依存度を低減するために医薬品および医薬品原料の国内生産能力を増強することの実現可能性、⑨ 現在の貿易政策が医薬品および医薬品原料の国内生産に与える影響、および関税や割当を含む追加的措置が国家安全保障を守るために必要かどうか―などについて意見を募集する。
米国では、ジェネリック医薬品が処方薬の9割を占めているが、その大半を輸入に頼っており、国内製造力が低いことが指摘されている。なお、医薬品についてもジェネリック医薬品を中心に、輸入国のトップは中国で、メキシコ、インド、カナダが上位を占めている。トランプ大統領は、以前から国内での医薬品製造能力が低いことを問題視しており、製薬企業に米国内に医薬品の生産拠点を構えてもらい、製造能力を強化する狙いがあるとみられている。医薬品の関税への導入時期について、トランプ大統領は「さほど遠くない将来」と述べており、今後の状況が注目される。