J-TEC・畠社長 「売り物がそろってきた」 25年度以降安定黒字化へ ジャックの膝OAとジャスミンに注力
公開日時 2025/05/09 04:49

ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC)の畠賢一郎代表取締役社長執行役員は5月8日の2024年度決算説明会で、「ようやく売り物がそろってきた。25年度以降は安定黒字化を達成したい」と意欲を示した。同社は23年度決算で各利益が黒字化したものの、24年度決算では再び赤字に転落。そんな中、24年10月に白斑に対するメラノサイト含有自家培養表皮・ジャスミン発売にこぎ着け、25年4月には自家培養軟骨・ジャックの変形性膝関節症(膝OA)の適応拡大が厚労省の薬事審議会部会で了承されるなどの成果があった。ジャックの膝OA適応拡大は5月中に正式承認される見通しで、同社では、25年度第3四半期(10~12月)の保険収載を目指すとした。
25年度はジャックの膝OA、ジャスミンの拡販を重点施策として注力し、黒字転換を目指す。ジャックの売上は24年度の3.82億円から、4~6億円(膝OAの保険収載が26年度以降に遅れた場合~25年度に完了した場合)を見込む。一方、ジャスミンについては、24年度に6例の受注を獲得し、25年度は50例超の待機患者に治療提供を見込む。皮膚領域製品(ジェイス、ジャスミン)の売上は、24年度の9.85億円から、11.30億円に15%増を予想する。
同社は、中期経営計画で最終年度の25年度に売上高50億円(営業利益10%)を掲げていたが、25年度の業績予想は売上高が29~31億円(ジャック膝OAの保険収載が26年度以降に遅れた場合~25年度に完了した場合)、営業利益1~2億円(同)の大幅な未達となる。ジャスミンは23年3月の承認から24年10月の保険収載まで1年半を要しており、この収載時期の遅れなどが要因。
◎売上高50億円(営業利益10%)の達成時期 2年遅れの27年度に見直し
今回、売上高50億円(営業利益10%)の達成時期を、2年遅れの27年度に見直した。ジャック膝OAとジャスミンのほか、25年度中に承認申請を予定し26年度上市を目指している熱傷を含む皮膚欠損に対する他家(同種)培養表皮「Allo-JaCE03」を主な成長ドライバーと位置付ける。
ジャック膝OAについては、既存の適応(膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎、年間200例弱)に比べ、将来的には年間1000例を超えるポテンシャルがあると想定。膝OAの保険償還価格は未定(既存適応の償還価格は289万円)だが、畠社長は「適切に保険が償還されて、治療の希望があれば、例えば1000人ということであれば、それだけで25億円を超えるような金額になってくる」との可能性に言及した。
25年6月に代表取締役社長執行役員に就任予定の山田一登副社長執行役員・信頼性保証部長は決算説明会の中で「ジャスミン、ジャックを中心にしっかりと成長させていく。その上で、再生医療受託事業(CDMO)をテコにした新たな会社様との連携を踏まえた新たなパイプラインについても導出入を含めて増やしていくことをしっかりとやっていきたい」と抱負を述べた。
【連結業績 (前期比)25年度予想(前期比)】
売上高 24億5500万円 (2.3%減)29~31億円(18.1~26.2%増)
営業損益 △2億3800万円(―)1~2億円(―)
当期純損益 △2億5500万円(―)1~1.9億円(―)
【国内主要製品売上高(前期実績)25年度予想、億円】
皮膚領域(ジェイス、ジャスミン)9.85(9.11)11.30
軟骨領域(ジャック)3.82(3.21)4~6
角膜領域(ネピック、オキュラル)1.25(1.73)2.4