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塩野義製薬・手代木社長 日本たばこ産業グループの医薬事業買収で25年度連結売上目標5300億円到達へ

公開日時 2025/05/13 04:51
塩野義製薬の手代木功代表取締役会長兼社長CEOは5月12日の24年度決算説明会で、23年度第1四半期に計上したADHD治療薬ライセンス移管に伴う一時金250億円の影響を吸収して増収・増益を達成し、売上高・営業利益が3期連続で過去最高を更新したと発表した。国内の急性呼吸器感染症薬(ゾコーバ、ゾフルーザ、ラピアクタ)の売上が前年度比29.5%減(216億円減)の518億円にとどまったが、新規抗菌薬・セフィデロコル等を展開している海外事業が18.4%増(92億円増)の591億円、抗HIV薬のロイヤリティー収入が22.8%増(446億円増)の2404億円と大幅に伸長したため。25年度も増収・増益を見込んでいる。

2024年度の連結売上実績は0.7%増の4383億円だった。中計「STS2030 Revision Phase 2」(23~25年度)で掲げた25年度の売上目標5500億円には、1000億円超のギャップがあるが、25年5月に発表した鳥居薬品を含む日本たばこ産業(JT)グループ医薬事業買収の寄与等により、25年度の連結売上高は5300億円に到達する見通しを示した。手代木社長は「どの数字であれば確実にできるかということを取締役会でもかなり真摯に議論いただいた上で、この数字を公表させていただいている。当然、社内的には5500億円をターゲットにしているわけだが、公表数字という点ではここからスタートさせていただきたい」と述べた。

2025年度の連結売上高予想5300億円の内訳を見ると、国内医療用医薬品は85.3%増(842億円増)の1830億円を予想。上期は前年同期比29.9%増(143億円増)の620億円を見込み、鳥居薬品の完全子会社化(25年9月)とJT医薬事業の吸収(25年12月)を予定する下期は同137.0%増(700億円増)の1210億円を見込んでいる。

◎急性呼吸器感染症薬の売上高 25年度は65.7%増(340億円増)の858億円を予想

国内主要製品の売上予想を見ると、「25年1~3月に新型コロナの流行がほとんど起こらなかった」(手代木社長)ことにより24年度は29.5%減(216億円減)の518億円にとどまった急性呼吸器感染症薬の売上は、25年度に65.7%増(340億円増)の858億円を予想。経口新型コロナ治療薬・ゾコーバの国内成長見通しについて手代木社長は、「陽性者数は昨年と同程度と思っているが、シェアは伸びているし、現在治療率は15%を少し切るくらいまで伸びてきており、これを20%くらいまで伸ばすということが実現できれば目標数字に普通に行くはずだと思っている」とした。 
2024年12月発売の不眠症に対するオレキシン受容体拮抗薬・クービビックは85億円増の93億円を予想する。「日本のオレキシン系のマーケットは非常に大きく、4週間処方が認められる今年度から非常に大きな売上を期待している」と述べた。また、25年度には注意欠如多動症(ADHD)治療補助プログラム・エンデバーライドや、承認申請中のうつ病治療薬・ズラノロンの発売を予定している。海外事業は、為替予測(円高)の影響により、7.1%減(42億円減)の549億円を予想。抗HIV薬のロイヤリティー収入は1.8%増(44億円増)の2448億円を見込んでいる。

◎ゾコーバのグローバル展開 3月に米FDAへの段階的承認申請を開始

研究開発面では、ゾコーバのグローバル展開に向け、第3相SCORPIO-PEP(曝露後発症予防)試験の主要評価項目達成を受け、25年3月に米FDAへの段階的承認申請(ローリング・サブミッション)を開始した。認知機能の改善が期待されるPDE4D阻害剤「Zatolmilast」については、脆弱X症候群を対象とした第2b/3相試験のデータを25年度後半に取得し、26年度前半に承認申請予定。

米トランプ大統領の薬価引き下げ表明について手代木社長は「きょうの朝見たばかりなので詳細は分からない。現時点でコメントできる状況にない」とした。今後のM&A戦略については「米国、欧州、中国を含め海外での売上を伸ばしていきたい。その一つの施策として日本以外の地域でのM&Aは常に意識している。自社でモノをつくって、自社で研究開発を進める中でうまくシナジーが取れる組み合わせがあれば、米国、欧州、中国を含めてM&Aも行いたい。いま2つ、3つぐらいのディールについて引き続き検討させていただいている」と語った。

【連結業績(前期比)25年度予想(前期比)】
売上高 4382億6800万円(0.7%増)5300億円(20.9%増)
営業利益 1566億300万円(2.1%増)1750億円(11.7%増)
税引前利益 2007億5000万円(1.2%増)2220億円(10.6%増)
親会社所有者帰属純利益 1704億3500万円(5.2%増)1800億円(5.6%増)

【国内主要製品売上高(前期実績)25年度予想、億円】
国内医療用医薬品 988(1511)1830
急性呼吸器感染症薬(ゾコーバ、ゾフルーザ、ラピアクタ)518(734)858
スインプロイク 50(45)81
オキシコンチン類 43(42)56
クービビック 8(―)93
アシテア 9(7)非開示
サインバルタ 21(38)非開示

海外子会社/輸出 591(499)549
Shionogi Inc.(米国)234(179)226
Shionogi B.V.(欧州)168(136)169
塩野義有限公司(中国)87(106)70

ロイヤリティー収入 2447(2004)2579
うちHIVフランチャイズ 2404(1958)2448

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