第一三共 T-DXd 用いたグローバルP3試験 HER2発現 子宮内膜がんの一次治療で患者への投与を開始
公開日時 2025/06/11 04:50
第一三共は6月10日、HER2発現の子宮内膜がんの一次治療を対象としたトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201)のグローバル第3相臨床試験で最初の患者への投与を開始したと発表した。同試験はT-DXdを含む併用療法の有効性・安全性をみるもので、主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)。重要な副次評価項目は全生存期間(OS)。日本を含むアジア、欧州、オセアニア、北米および南米において約600名の患者を登録する予定。
子宮内膜がん(子宮体がん)は、婦人科系のがんで2番目に多く、2022年に全世界で約42万人が診断され、9万7000人以上が亡くなっている。子宮内膜がんの約20~30%がミスマッチ修復機構の欠損(dMMR)と分類され、残りの約70~80%がミスマッチ修復機構の正常(pMMR)な原発性進行・再発子宮内膜がん患者と考えられる。また、HER2は子宮内膜がんの約18%~56%に認められ、pMMR腫瘍で病勢進行と関連するという。
◎グローバルP3試験「DESTINY-Endometrial01」 HER2発現のpMMRを対象
今回のグローバル第3相臨床試験(DESTINY-Endometrial01)は、HER2発現(IHC 3+ または 2+)のミスマッチ修復機構が正常(pMMR)な原発性進行・再発子宮内膜がん患者への一次治療を対象として、T-DXdの有効性・安全性を評価するもの。T-DXdとrilvegostomig(PD-1/TIGITバイスペシフィック抗体)またはペムブロリズマブ(免疫チェックポイント阻害剤)の併用療法における有効性・安全性を、プラチナ製剤ベースの化学療法(カルボプラチンおよびパクリタキセル)とペムブロリズマブの併用療法と比較して評価する。
なお、同試験の開始は、前治療歴のあるHER2発現の進行性固形がん患者を対象とした第2相臨床試験(DESTINY-PanTumor02)における子宮内膜がん患者を対象としたサブグループ解析の結果に基づくもの。これまでの標準的な一次治療は、カルボプラチンとパクリタキセルの併用療法だったが、pMMR型子宮内膜がん患者における治療効果は限定的で、新たな選択肢が必要とされていた。同社は、HER2発現の子宮内膜がん一次治療に新たな選択肢を提供できるよう、T-DXdの開発に期待を寄せている。