新薬・再生医療等製品4製品が薬価収載 ジャスケイド錠とエドスチラドリン膀胱内注入液が即日発売
公開日時 2026/07/16 04:50
新医薬品2製品と再生医療等製品2製品の計4製品が7月15日、薬価収載された。日本ベーリンガーインゲルハイムの肺線維症治療薬・ジャスケイド錠と、フェリング・ファーマの高リスク筋層非浸潤性膀胱がんに対する遺伝子治療法・エドスチラドリン膀胱内注入液が即日発売した。イシンファーマの表皮水疱症に対する再生医療等製品・アロステムシートは7月27日、海和製薬が製造販売し、大鵬薬品が販売及び情報提供活動を行う卵巣明細胞がん治療薬・ハイツエキシン錠は28日に発売予定としている。
◎エドスチラドリンはアルフレッサグループ アロステムは東邦グループの1社流通
エドスチラドリンとアロステムは1社流通で展開する。エドスチラドリンはアルフレッサグループのエス・エム・ディ社が担う。その理由についてフェリング・ファーマは、「高度な温度管理を含む厳格な流通体制が求められるため」としている。アロステムは、イシンファーマの親会社が東邦ホールディングスであることから東邦グループを通じて流通させる。
薬価収載された新医薬品・再生医療等製品の発売日(予定、未定、非開示含む)は次のとおり。カッコ内は成分名、製造販売元。発売日、及び薬効分類/投与経路順に記載。
【7月15日発売】
▽ジャスケイド錠9mg、同錠18mg(ネランドミラスト、日本ベーリンガーインゲルハイム)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:特発性肺線維症、進行性肺線維症
薬価:9mg1錠4,190.10円
18mg1錠8,363.00円(1日薬価:16,726.00円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.8万人、販売金額578億円
経口のホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害薬。抗線維化作用および免疫調整作用をもち、特発性肺線維症(IPF)及び進行性肺線維症(PPF)の適応を取得した初の経口PDE4阻害薬。IPFでは10年以上ぶりの新薬の登場となる。IPF、PPFに対する用法・用量は「通常、成人には1回18mgを1日2回経口投与する。なお、患者の忍容性に応じて、1回9mg1日2回に減量することができる」。
同社の荻村正孝・代表取締役医薬事業ユニット統括社長は、5年以内の死亡が約5割にのぼる肺線維症において、胃腸や肝臓への副作用の懸念から「(IPF患者では)特に高齢者を中心に、患者さんの約3分の1が投薬を受けていない」と指摘。治療開始後も早期の服用を中止してしまうケースが少なくない現状も挙げた。その上で、10年以上ぶりの新薬となるジャスケイドの上市により、「患者さんのQOL向上に貢献する」とし、「今後も患者さんのアンメットニーズに応えるために尽力する」とコメントしている。
IPFは、指定難病である特発性間質性肺炎の病型の一つ。肺に進行性の線維化が生じる予後不良の特発性(原因を特定できない)の難治性疾患であり、未治療の場合の生存期間の中央値は約3年と報告されている。国内では、ニンテダニブ(オフェブ)とピルフェニドン(ピレスパなど)がIPFの適応を持っている。
PPFは、自己免疫性間質性肺疾患を含む間質性肺疾患(ILD)の臨床診断に関連しており、特に関節リウマチ、全身性硬化症、過敏性肺炎などの疾患によって引き起こされる。進行性の呼吸症状の悪化や肺機能の低下を来し、患者の全生存期間の中央値は約3.7年と報告されている。国内では、オフェブが名称は異なるが、同一病態の疾患である「進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)」の適応を持っている。
▽エドスチラドリン膀胱内注入液(一般名:ナドファラゲン フィラデノベク、フェリング・ファーマ)
効能・効果:BCG膀胱内注入療法後に残存・再発した上皮内がんを有する高リスク筋層非浸潤性膀胱がん
薬価:20mL1瓶2,327,036.90円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数488人、販売金額203億円
非複製型アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療法。インターフェロン・アルファ2b遺伝子を含み、カテーテルを用いて3カ月に1回、膀胱内に直接投与する。化学療法とは異なり、患者自身の膀胱上皮細胞をインターフェロン産生工場へと変換する新しい治療アプローチとなる。インターフェロン・アルファ2bタンパク質を局所的に高濃度かつ一過性に発現させることで、体の自然な抗がん力を強化し、再発を抑えたり、残存した腫瘍に対する抗腫瘍効果を持つ。
BCG療法が奏功しなかった場合の次の治療選択肢が膀胱の完全切除となるなか、エドスチラドリンは、BCGが奏功しないNMIBC患者に膀胱を温存する治療選択肢を提供することになる。フェリング・ファーマは「(エドスチラドリンは)重要なアンメットメディカルニーズに応えるもの」だとしている。
日本では日本化薬と共同販促し、販売はフェリングが担当する。流通体制については、「高度な温度管理を含む厳格な流通体制が求められる」ことから、アルフレッサグループのエス・エム・ディ社を通じた1社流通で展開する。
【7月27日発売予定】
▽アロステムシート(ニバドストロセル、イシンファーマ)
効能・効果又は性能:難治性又は再発性のびらん・潰瘍を有する栄養障害型、接合部型及び単純型(重症汎発型に限る)表皮水疱症
薬価:5cm×5cm1枚182,096.00円
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数25人、販売金額7.9億円
ヒト(同種)脂肪組織由来間葉系幹細胞(ALLO-ASC)シート。健康成人ドナーの皮下脂肪組織に由来する間葉系幹細胞を単離・培養しシート状にしたもの。表皮水疱症(EB)の病変部へ貼付することにより、創傷治癒を促進する。用法及び用量又は使用方法は「通常、週1回、皮膚潰瘍の面積に応じて貼付枚数を定め、皮膚潰瘍をその辺縁を含めて本品同士が重なり合わない様に覆い、貼付する」。
東邦ホールディングス(HD)が7月6日付でイシンファーマを子会社化しており、アロステムの流通は東邦グループが担う。東邦HDは、バイオベンチャーなどが手掛けるバイオ医薬品や再生医療等製品の研究開発から製造、流通に至る一連の流れに沿って必要となるサービスを提供する「スペシャリティ製品フルラインサービス」の実現に取り組んでおり、アロステムはその第一弾となる。
対象疾患のEBは、表皮基底膜を構成するタンパク質をコードする遺伝子の変異が原因で発症する遺伝性疾患で、単純型、接合部型、栄養障害型及びキンドラー症候群――が4大病型。アロステムシートは、栄養障害型、接合部型及び単純型(重症汎発型に限る)を適応対象とする。
国内では、再生医療等製品として、ヒト(自己)表皮由来細胞シート・ジェイスが、難治性又は再発性のびらん・潰瘍を有する栄養障害型又は接合部型EBの適応で、また、遺伝子治療用製品・バイジュベックゲルが栄養障害型EBの適応で承認されている。
【7月28日発売予定】
▽ハイツエキシン錠10mg(リソバリシブメシル酸塩水和物、海和製薬)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞がん
薬価:10mg1錠7,313.40円
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数586人、販売金額14億円
親会社の中国Haihe Biopharma社が創製した新規PI3Kα阻害薬。PI3KαのATP結合部位に結合し、キナーゼ活性を阻害することで、PI3Kシグナル伝達経路の下流分子であるAKTのリン酸化を阻害することなどにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。用法・用量は、「通常、成人にはリソバリシブメシル酸塩として1回40mgを1日1回空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。
対象疾患の卵巣明細胞がん(OCCC)は、上皮性卵巣がんの中でも希少かつ悪性度の高いサブタイプ。再発性OCCCには確立された有効な標準治療がなく、予後は、より一般的な漿液性卵巣がんと比べて著しく不良。ゲノム研究により、PIK3CA遺伝子変異が高頻度に認められることが明らかになっている。
日本では、Haihe社とライセンス契約を締結した大鵬薬品が販売及び情報提供活動を行う。大鵬薬品は「1社流通ではない」とコメントしている。