都立広尾病院・小坂医師 音声AIツール・カタナシのタスクシェア事例紹介「患者協働の医療進んだ」
公開日時 2025/08/20 04:49
MDVは8月19日、音声AIツール「カタナシ」を用いたタスクシェア事例を紹介するWebセミナーを開いた。講演した東京都立広尾病院総合診療科の小坂鎮太郎部長は問診やカンファレンスなどでの活用を通じて、患者との情報共有や多職種の連携につながっている事例を紹介。小坂医師は「DXによって、患者協働の医療が進み、医療者としての経験も積むことができる。それによってペイシェントジャーニーがよりスムーズになると実感している」と述べた。
カタナシは、タブレット端末の画面をワンタップするだけで患者との会話が録音され、診療録を作成することができる。また、問診の内容などを、「SOAP」(S=主観的情報、O=客観的情報、A=評価、P=計画)の4つの項目に整理。二次元コードを使って電子カルテにデータを取り込むこともできる。
都立広尾病院では、診察の際に問診の内容をカタナシで文字起こしして、サマリーの作成に活用している。作成した内容は患者や家族と共有や確認ができ、電子カルテにも反映させることができる点でメリットが大きいという。また、診察やカンファレンスで作ったサマリーをリアルタイムに多職種と共有することで、入退院時などのスムーズな患者サポートにもつながっている。小坂医師は「患者さんに参加してもらいながら情報共有にもなる。目を見て話す時間も増えて、患者協働の医療につながっている」と強調した。
◎「1週間で数時間」の業務効率化 事務作業のストレス軽減にも
業務効率化の面では、カタナシの導入によってパソコンに向かう時間が減り、「入力時間が大幅に削減できて、1週間で数時間の削減にはなっている」と説明。入力する手間が省けたことで、事務作業の心理的なストレス軽減にもつながっているという。
◎今後は患者への情報還元や医療従事者の研修への活用も展望
セミナーでは、カタナシの今後の展望も紹介。MDVの中村正樹取締役は、患者への情報還元や医療従事者の研修への活用を挙げ、「患者や家族との共有や、他院受診時に過去の受診結果を正確に伝えることができる仕組みを作っていきたい。さらにAI患者を使ったロールプレイングでは問診の質の向上につなげていきたい」と期待を込めた。