Ubie 医療AIパートナー「ユビー」のサービス提供開始 AIとの対話で利用者の医療行動をサポート
公開日時 2025/09/17 04:51

Ubieの阿部吉倫代表取締役は9月16日、新サービス「医療AIパートナー・ユビー」の発表会で、「日常的な医療及び専門的な高度医療へ、最速最適シームレスなアクセスのハブになっていきたい」と強調した。同サービスは、医師らが開発した「医療特化型AI」が、アプリ上で一般利用者と対話し、心身の状態をAIが把握したうえで適切な医療行動を提案する仕組み。同社はサービス利用者を現在の月間1300万人から、2030年には3000万人に拡大する目標を掲げており、適切な医療へと案内する“道しるべ”の役割を目指したい考えだ。
◎マイナポータルとの連携で過去の処方薬や医療機関の受診履歴もカバー
新サービスでは、AIが一般利用者と対話型で情報のやり取りを行い、必要な処置や治療などを提案する。これにより適切な医療行動がとれるよう一般利用者を伴走する目的が込められている。「自然な言語で相談が開始でき、相談するというよりは、話しかけるような感覚で使える」(Ubie開発担当者・渡辺智保子氏)設計で、利用者とのやり取りをAIが記憶。健康状態や家族状況などを把握することに加え、マイナポータルと連携することで過去に処方された医薬品や医療機関の受診履歴も網羅し、より個別化された提案を受けることができるシステムだ。
背景には、ネット社会特有の情報の複雑化に伴う医療アクセスの課題がある。同社の調査結果によると、体調不良時の受診や治療などの各段階で適切な医療行動が取れない人が全体の72%にのぼり、インターネットでの情報収集後も42%が行動を決められない実態が判明している。同社は、こうした状況を「医療迷子」と定義。阿部代表取締役は、「情報の氾濫は正しい選択肢を覆い隠し、医療迷子は社会のデジタル化により加速している」と指摘。「正しい選択肢を選べたかどうかで健康格差が増大し、マクロでみれば医療費の増大や生産性の低下をもたらしている」と語った。

同社は、一般利用者とAIのやり取りをデータとして蓄積し、さらに適切な案内ができるよう機能向上を図る考え。阿部代表取締役は、「生活者の日常に寄り添い、適切な医療へと案内する“道しるべ”を目指したい。新たな医療体験と情報を繋げ、ステークホルダーの皆さんと一緒に、医療迷子の解決を目指してまいりたい」と力を込めた。
◎2030年に月間3000万人 サービスを強化
新サービスでは、診療科の選び方や医師への伝え方など具体的な受診行動をサポートする機能も用意した。一般利用者が継続して活用することで、個別性の高い提案も可能になるという。さらに、医師を含む専門家チームによる継続的な監視・改善も行われる。2030年には、日常データから受診のサインを検知してAIが受診を後押ししたり、症状の情報を整理して医師への伝達を支援するなど機能の充実を目指し、月間3000万人の利用者を見込んだ。