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大阪国際がんセンター 「問診生成AI」と「看護音声入力生成AI」の実運用開始 医療者の業務負担軽減

公開日時 2025/10/02 04:51
医薬基盤・健康・栄養研究所、大阪国際がんセンター、日本IBMは10月1日の記者説明会で、「問診生成AI」と「看護音声入力生成AI」の実運用を大阪国際がんセンターで開始すると発表した。患者は初診に先立ち、自宅で対話型の問診生成AIと会話しながら必要事項を音声で入力。情報は病院内のプラットフォームに集約化され、医師、看護師、薬剤師は同一画面から情報にアクセスできるなど、「業務負担を従来比で25%軽減」することを確認した。また、看護業務における記録作業の負担軽減を目的に開発した「看護音声入力生成AI」は、すでに実施した比較検証において、作業時間を平均1分2秒短縮したと報告した。

◎工藤腫瘍内科部長 抗がん剤治療の面から「より細かな副作用管理が可能になる」

大阪国際がんセンター腫瘍内科の工藤敏啓部長は、抗がん剤治療における記録の現状について、「患者との情報供給は紙媒体に依存しており、情報は複数の媒体に分散している」と指摘。情報分散に伴う多職種間の共有の難しさや、患者が自宅での服薬状況や副作用などの経過を正確に伝えることができないこと、さらには医療者が詳細を把握しきれないことなどの課題をあげた。

これに対し、問診生成AIは、一つのプラットフォームに情報を一元管理できるため、「重複業務を減らし業務負担を軽減できる」と説明。さらに、診療前に情報が把握できることから、「診察では、より深い対話や質問対応に時間を使える」と述べ、結果的に患者の治療満足度の向上にもつながると強調した。また、抗がん剤治療の面からは、簡単に負担なく日々の症状を患者が記録できることで、「より細かな副作用管理が可能になる」とも指摘した。

◎山根看護部長 AIの記録文書を看護師がチェック「より正確な記録が可能に」

「看護音声入力生成AI」について大阪国際がんセンターの山根康子看護部長は、医療従事者の人手不足に課題感を表明した上で、「看護師は1日平均94分間、勤務時間の約2割を記録作業に費やしている」と説明し、これら業務が患者ケアに充てるべき時間を圧迫していると指摘した。

その上で生成AIの活用については、音声入力生成AIアプリを開発し、看護カンファレンスや電話サポート窓口での活用を開始したと述べ。規則作業時間、品質評価の両面で業務効率化を確認したと述べた。なお、記録品質の観点では、AIによる自動要約記録の品質は全ての評価項目で主導記録より高評価だった。山根看護部長は、「電話対応中のメモ作業から解放され、患者との会話に集中できる」ことや、AIの記録文書を看護師がチェックすることで、より正確な記録が可能となるなど、期待される効果は大きいと強調した。

大阪国際がんセンターでは、すでに乳腺外来で対話型疾患説明AIの実運用を開始しており、10月以降は胃外科、大腸外科向けシステムの運用を順次開始するほか、他診療科への展開も継続する方針だ。一方、書類作成・サマリー作成については、電子カルテの情報から様々な医療分野に必要な項目を選んで文書作成を支援する。また、HL7FHIRでのデータ取得と書類・サマリー作成の検証も完了しており、10月から運用開始を予定している。


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