セールスフォース MR向けAIエージェント始動 対話型で時短・業務効率化、生産性向上 11月下旬から
公開日時 2025/10/01 04:52

セールスフォース・ジャパンは9月30日、プレス・アナリスト向け説明会を開き、製薬・医療機器業界向けAIエージェント“Life Sciences Cloud for Customer Engagement”のサービス提供を11月下旬から開始すると発表した。AIエージェントを活用することで、MR活動は、面談準備から活動報告、フォローアップの各業務時間を短縮化・効率化でき、本来業務である医師との面談に注力できる。さらにAIとMRの音声対話を通じ、医師の属性情報から導き出されたベスト・コンテンツを選択して面談に臨むことができるなど、面談のパフォーマンス向上に寄与するという。逆に、MRが“今アプローチすべき医師情報”をAIが検索する機能も搭載されるなど、MR活動の生産性を格段に向上できるAIツールが始動する。
◎AIとの直接対話を通じて業務に必要なインサイトを得る
「これまでのCRMは、クイックベースの有害事象報告など、いわゆる活動履歴を残すための機能が中心だった。今回のLife Sciences Cloudのカスタマー・エンゲージメント機能は、MRが使うCRM画面からAIとの直接対話を通じて業務に必要なインサイトを得ることができる」-。こう語るのは同社ソリューション統括本部インダストリーアドバイザー本部ライフサイエンス業界担当の早田和哲シニアマネジャーだ。早田氏は、「AIエージェントを動かすにはデータが必要。社内データだけでなく、業界内にある3rd Partyともパートナーを組みながら、それら統合するAIレイヤーを置くことで、MRのユースケースに対応した予測や推奨を適時行うなど、MRとAIの協働を通じた生産性向上を実現したい」とも明かしてくれた。
◎MRの面談準備 「スマートサマリー」と「インテリジェントコンテンツ」機能

この日の説明会では、MRを想定したAIエージェントのユースケースが紹介された。AIを使ったMRによる面談準備については、「スマートサマリー」機能を設けた。メディカル部のMSLなど他部門の活動履歴を社内共有することで、「(MRが面談を予定する)医師と自社のエンゲージメントに関する最新状況をMRがタイムリーに確認できる」というもの。加えて、スマートサマリーにある情報をAIが解析する「インテリジェントコンテンツ」機能を活用することで、「この医師には、こんな情報を話した方が良いのでは?」など、AIがMRにサジェスチョンを出す。早田氏は、「面談医師を想起したコンテンツ選択の時間を少しでも短縮化することができ、本来業務である医師との面談の精度をあげることになる」と見通した。
このほか、MRによる活動報告のユースケースについては、音声認識での活動履歴の入力が可能となったほか、MRはAIとの対話を通じ、「次の面談に際しては、このような話をしては如何ですか?」というようなネクストアクションの計画立案やフォローアップ計画の立案もできるという。さらに、コンプライアンスに関しても、入力時の注意喚起もAIが自動で行うなど、コンプライアンス遵守もAIが支援する。
◎ファイザーやFidia社が導入へ 「ムーブメントを日本の顧客にも提供したい」
早田氏は、すでにファイザーやFidia社がAIエージェント・プラットフォームを導入することになっており、「こういったムーブメントを日本の顧客にも提供したい」と話した。また、Veevaとのパートナーシップが2025年で終了し、2030年9月までVeeva CRMが提供されるとしながらも、セールスフォースの強みとして、「医師向けの機能だけでなく、内勤者や生産・流通業務にもAIエージェントを活用できる。また、ペイシェントサポートプログラムなど医療従事者や患者とのエンゲージメントについてもすでに実績がある」と述べ、同社が提供する製薬・医療機器業界を含めたライフサイエンス・クラウドの意義を強調した。