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日医・松本会長 期中改定の必要性訴え ベア評価料でなく「基本診療料引上げを」 秋の政策論争に照準

公開日時 2025/08/21 04:52
日本医師会の松本吉郎会長は8月20日の定例会見で、「公定価格である診療報酬で現業の医療機関が賃上げに対応できる状況にはない。期中改定が必要だ」と訴えた。8月7日の人事院勧告で国家公務員の給与3.62%の引上げ方針を打ち出したことに触れたもの。松本会長は、医療従事者の賃金を改善する目的で24年度診療報酬改定時に新設した「ベースアップ評価料」に絡め、「評価料の更なる引き上げで対応することには大変無理もあり、基本診療料を中心に診療報酬を引き上げるべきと考えている」と述べ、秋の臨時国会を睨んだ政策論争に早くも照準を向けた。

2025年度の最低賃金を巡っては、中央最低賃金審議会が全国加重平均を63円(6.0%)引き上げる目安を厚生労働大臣に答申。これを受けた各都道府県の審議会の中には、目安を上回る引き上げ額が示されるなど活況を帯びている。また、国家公務員の給与改定に関する人事院勧告でも月額3.62%の引き上げが示されている。人事院勧告で3%超の給与水準を提示するのは1991年以来34年ぶり。

一方で、医療機関を取り巻く経営環境は悪化の一途をたどっている。帝国データバンクのまとめでは25年上半期の医療機関の倒産は35件で、「過去最多のペースで推移している」という。物価高や人件費などの高騰による収益悪化、経営者の高齢化、建物の老朽化などを背景としており、25年全体での倒産件数は「初めて70件に達する可能性がある」と指摘している。

◎松本会長「極めて医療機関にとっては憂慮すべき状況」

会見で松本会長は、「極めて医療機関にとっては憂慮すべき状況」と強調する。また、「医療機関は人員配置基準の要件もあり、医療職1人当たりの労働生産性を上げて全体の人数を減らす対応は難しい」と主張。前回の診療報酬改定で導入したベースアップ評価料では事務職員などが対象に含まれない点を念頭に、「最低賃金の引き上げはベースアップ評価料の対象に含まれない職種に大きな影響が出る。ベースアップ評価料のさらなる引き上げで対応することには無理もあり、基本診療料を中心に診療報酬の引き上げをするべきだ」と求めた。

◎城守常任理事「最低賃金に近い状態になれば人材流出にさらなる拍車も」

城守国斗常任理事は会見で、「医療職は専門教育を受け、職務内容を反映した賃金体系となっているが、最低賃金に近い状態になれば、今ですら問題になっている他産業への人材流出にさらなる拍車がかかることは明白だ」と危機感を露わにした。その上で、「日本医師会として最低賃金が引き上げられる秋から年末にかけて期中改定が必要だと考えており、国に働き掛けていきたい」と意欲を示した。
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