中外製薬 抗体の経口治療薬へ 米Rani社と経口投与技術を用いた開発・商業化でライセンス契約締結
公開日時 2025/10/22 04:50
中外製薬は10月20日、米Rani Therapeutics社との間で、Rani独自の経口投与技術(RaniPill技術)を中外製薬の希少疾患向けの抗体医薬品候補分子に適用した経口製剤の共同開発・商業化に関するライセンス契約を締結したと発表した。中外製薬独自の抗体エンジニアリング技術とRaniの技術を融合させることで、“抗体の経口治療薬”という新しい価値の創出を目指す。
契約に基づき中外製薬はRaniに対し、契約一時金として1000万ドルを支払う。加えて、今後の技術移管及び開発の進捗に応じたマイルストンの達成を条件として最大7500万ドル、売上額に基づく一連のマイルストンにおける商業的成功を条件として最大1億ドルを支払う可能性がある。製品が上市された場合は、中外製薬は売上額に応じて1ケタ台のロイヤルティを支払う。
さらに中外製薬は、最大5つの標的分子に対して、今回の契約と同様の条件で権利を拡大できるオプション権も取得した。中外製薬がオプション権を全て行使した場合、支払総額は10億ドルを超える可能性がある。
Raniは、バイオ医薬品や医薬品の経口投与を可能にする技術に特化したバイオ医薬品企業。バイオ医薬品および医薬品の皮下注射や静脈内投与を経口投与に置き換えることを目指し、特許を取得した独自プラットフォーム技術であるRaniPillカプセルを開発した。RaniPillカプセル技術については、すでに複数の前臨床試験および臨床試験において、安全性、忍容性、良好なバイオアベイラビリティが確認されているという。
中外製薬の井川智之研究本部長は、「Rani社が有する革新的な経口投与技術は、これまで注射剤に限られていたバイオ医薬品の投与経路に、新たな可能性を切り拓くものだ」と評価。そして、「当社が長年培ってきた独自の抗体エンジニアリング技術とRani社の技術を融合させることで、患者さんにとって負担の少ない抗体の経口治療薬という、全く新しい価値を創出できると期待している」とコメントした。