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政府 25年度補正予算案を閣議決定 医療機関の賃上げ・物価上昇に5341億円計上 後発品基金は844億円

公開日時 2025/12/01 04:53
政府は11月28日、2025年度補正予算案を閣議決定した。このうち厚生労働関係は2兆3252億円。物価上昇や賃上げが焦点となるなかで、「医療機関・薬局における賃上げ・物価上昇に対する支援」として、5341億円を含む、「医療・介護等支援パッケージ」として1兆3649億円を計上した。医薬品関連では、薬機法改正で新たに造成された「革新的医薬品等実用化支援基金」に241億円、「後発医薬品製造基盤整備基金」に844億円を計上。医薬品卸業者に対する継続的な安定供給のための支援」の63億円も盛り込んだ。このほか、経産省は「再生・細胞医療・遺伝子治療製造設備投資支援事業」として158億円を計上している。開会中の臨時国会での成立を目指す。

◎病院への1床当たりの支援は19.5万円 救急車受け入れ件数で加算も


「医療機関・薬局における賃上げ・物価上昇に対する支援」は、医療従事者の処遇改善支援に加え、物価上昇の影響に対する支援を通じて、地域に必要な医療提供体制を確保することを目的としている。救急医療を担う医療機関に手厚い予算配分を行う。交付額として、病院には、基礎的支援として1床あたり賃金分8.4万円と物価分11.1万円の合計19.5万円を支援。救急に対応する病院には、救急車受け入れ件数に応じて1施設当たり500万円~2億円を加算する。また、有床診には1床あたり8.5万円、診療所(医科・歯科)には1施設あたり32万円を支援する。

保険薬局の支援は、1法人あたりの薬局数に応じて傾斜配分を行う。5店舗以下では23.0万円(賃金:14.5万円、物価:8.5万円)、6~19店舗では18.0万円(賃金:10.5万円、物価:7.5万円)、20店舗以上では12.0万円(賃金:7.0万円、物価:5.0万円)。訪問看護ステーションにも対応を行う。

このほか、「病床数の適正化に対する支援」として3490億円、「出生数・患者数の減少等を踏まえた産科・小児科への支援」として72億円を盛り込んだ。

◎創薬力・安定供給確保で1527億円を計上 革新的医薬品実用化支援基金に241億円

厚労省は、「創薬力強化に向けたイノベーションの推進、医薬品等の安定供給確保や品質・安全性の確保等」に1527億円を計上した。

「革新的医薬品等実用化支援基金の造成による創薬環境の整備」の241億円も盛り込んだ。官民連携して継続的に創薬スタートアップから革新的新薬を生み出す創薬基盤・インフラの強化を早急に目指すもの。基金は国庫と民間からの出えん金(寄付金)によって造成されることから、基金の規模は予算規模よりも大きくなる。インキュベーション事業者や製薬企業などの創薬クラスターキャンパス整備事業者が提出した計画を「革新的な医薬品等の実用化に取り組む者に対し当該実用化に必要な支援を行う事業」として厚労省が認定。認定された事業に対して、基金を通じた支援を行う。

◎後発品製造基盤基金は844億円 品目統合や事業再編を後押し

「後発医薬品製造基盤整備基金の造成による後発医薬品企業の品目統合等に向けた設備投資等の支援」に844億円を計上した。後発品を中心とした安定供給が課題となる中で、少量多品目生産構造など業界の抱える構造的課題を解消するためには、品目統合や事業再編を行う必要性があることから、早期の支援を行う目的で基金が造成された。

ジェネリックメーカーが後発品の安定供給に向けた品目統合や事業再編等の計画、各年度の設備投資の計画や事業目標、必要経費等を提出。計画を認定し、品目統合に伴う生産性向上のための設備整備の経費補助、品目統合や事業再編に向けた企業間での調整にかかる経費補助について支援を行う。補助率は基金が1/2で、事業者が1/2を担う。

◎医薬品卸の支援に63億円 流通改善・効率化を後押しで強靭化目指す

「医薬品卸業者に対する継続的な安定供給のための支援」として63億円も盛り込んだ。流通コストの上昇で多くの取引が流通不採算に陥ることが指摘される中で、安定供給の維持・強靭化に向けた医薬品卸の取組みに対して支援を行い、安定供給の確保に向けた流通改善・効率化を目指す。

医薬品卸の取組みを厚労省が認定し、取り組みを実施する上で必要な経費の一部を支援する。認定する取組みとしては、物流の効率化に向けた取組みや、供給不安時の安定供給の確保に向けた取組み、災害時の業務継続に向けた環境整備等の取組みを想定する。

このほか、ファースト・イン・ヒューマン(FIH)試験実施体制の整備に12億円▽再生医療等の臨床研究支援等に係る基盤の体制整備・強化に3億円▽がん・難病の全ゲノム解析における情報基盤の構築、研究の推進に115億円▽AIを活用した創薬に向けたプラットフォームの整備に7.5億円▽バイオ後続品の国内生産体制整備計画に対する支援に79億円―なども盛り込んだ。

◎経産省 再生・細胞医療・遺伝子治療のCDMOで158億円計上 輸出産業に

経産省は、「再生・細胞医療・遺伝子治療製造設備投資支援事業」として158億円を盛り込んだ。 再生・細胞医療・遺伝子治療薬を受託開発・製造する機関(CDMO)の拠点の増設・新設や次世代製造に必要な自動培養装置やそれらと連動した品質管理システム等の設備導入および製造人材の育成・研修を支援することで、再生・細胞医療・遺伝子治療製品の受託製造業を輸出産業とすることを目指す。
 
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