帯状疱疹ワクチン・シングリックス 「重大な副作用」にギラン・バレー症候群を追記 添付文書改訂
	
	公開日時 2025/10/23 04:49	
	
	
	
	帯状疱疹ワクチンのシングリックス筋注用の「重大な副作用」にギラン・バレー症候群を追記するなどの添付文書改訂が行われた。厚生労働省医薬局医薬安全対策課が10月22日、課長名で添付文書改訂を指示したことを受けたもの。慢性便秘症治療薬・アミティーザカプセルの「重大な副作用」にアナフィラキシーを追記することも行われた。
また、閉経期女性のホルモン補充療法(HRT)に用いられる製剤(膣剤を除く)について、「その他の注意」の中の「臨床使用に基づく情報」の項に、「HRTと乳がん発生についての因果関係は明らかではない」とした上で、乳がんに係る海外疫学調査の結果が追記された。
添付文書の改訂指示があった医薬品は次の通り。
▽乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来)(製品名:シングリックス筋注用、グラクソ・スミスクライン)
改訂概要:「副反応」の「重大な副反応」の項に「ギラン・バレー症候群」を追記する。
改訂理由:ギラン・バレー症候群症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本ワクチンとギラン・バレー症候群との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
ギラン・バレー症候群症例の集積状況:国内で医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は1例、死亡0例。海外で医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は4例、死亡0例。
▽ルビプロストン(製品名:アミティーザカプセル、ヴィアトリス製薬)
改訂概要:「副作用」の「重大な副作用」の項を新設し、「アナフィラキシー」を追記する。
改訂理由:アナフィラキシー関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤とアナフィラキシーとの因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
アナフィラキシー関連症例の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は5例。死亡0例。
▽閉経期女性のホルモン補充療法に用いられる製剤
①エストラジオール(製品名:エストラーナテープ、久光製薬)
②エストラジオール(製品名:ジュリナ錠等、バイエル薬品等)
③エストラジオール(製品名:ディビゲル、オリオンファーマ・ジャパン)
④エストラジオール(製品名:ル・エストロジェル、富士製薬)
⑤エストラジオール吉草酸エステル(製品名:プロギノン・デポー筋注、富士製薬)
⑥エストラジオール吉草酸エステル(製品名:ペラニンデポー筋注、持田製薬)
⑦エストラジオール・酢酸ノルエチステロン(製品名:メノエイドコンビパッチ、久光製薬)
⑧エストラジオール・レボノルゲストレル(製品名:ウェールナラ配合錠、バイエル薬品)
⑨エストリオール(製品名:エストリール錠等、持田製薬等)
⑩エストリオール(製品名:ホーリン錠、あすか製薬)
⑪エストリオール(製品名:エストリール膣錠、持田製薬)
⑫エストリオール(製品名:ホーリンV膣用錠、あすか製薬)
⑬結合型エストロゲン(製品名:プレマリン錠、ファイザー)
⑭テストステロンエナント酸エステル・エストラジオール吉草酸エステル(製品名:プリモジアン・デポー筋注等、富士製薬等)
⑮プロゲステロン(製品名:エフメノカプセル、富士製薬)
改訂概要:①~⑩、⑬~⑮について、「重要な基本的注意」の項に、卵胞ホルモン製剤単剤使用における乳がんに関する注意喚起を追記する必要性について検討。「その他の注意」の「臨床使用に基づく情報」の項に海外疫学調査の結果を追記する。
改訂理由:使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、閉経期女性のホルモン補充療法と乳がんとの因果関係は明らかではないものの、以下の内容を踏まえ、⑪⑫を除く閉経期女性のホルモン補充療法に用いられる製剤について、「重要な基本的注意」の項ではなく、「その他の注意」の「臨床使用に基づく情報」の項を改訂することが適切と判断した。
・米国の無作為化臨床試験であるWHI試験(JAMA 2006; 295: 1647-57)の結果では、結合型エストロゲンと乳がんのリスク増加の関連が報告されておらず、卵胞ホルモン製剤単剤での乳癌リスクの有無は明確ではないこと
・国内外のガイドラインにおいて、乳がんリスクに及ぼすホルモン補充療法の影響は小さい又はないとされていること
・海外の大規模な疫学調査のメタアナリシス(Lancet. 2019; 394: 1159-1168)において、腟剤を除く全ての閉経期ホルモン補充療法は乳がんリスク増加と関連し、使用期間が長いほどリスクが増加し、過去使用者において、投与中止後も過去の投与期間に依存して乳がんになる危険性が持続したこと