アムジェン 小細胞肺がん治療薬・イムデトラ、CRSによる転帰死亡3例を受け注意喚起 添文改訂も
公開日時 2025/09/18 04:50
アムジェンは9月17日、がん化学療法後に増悪した小細胞肺がんの治療薬・イムデトラ点滴静注用(一般名:タルラタマブ(遺伝子組換え))について、サイトカイン放出症候群(CRS)による転帰死亡症例3例が報告されていることを受け、電子添文の警告欄の改訂を行うとともに、医療関係者に改めて注意喚起した。添文改訂では、「警告」の項の重度のCRS及び神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む)に関する注意に、CRSで死亡に至った症例が報告されている旨を追記した。
2025年4月16日の同剤の販売開始後、CRSとして報告された国内副作用症例が8月15日時点で268例集積(推定使用患者数:848例)され、うち8例はGrade3、1例はGrade4で、転帰死亡の症例も3例報告された。PMDAの公表資料では、死亡3例のうち、医薬品と事象による死亡との因果関係が否定できない症例は1例。
アムジェンは7月28日に「適正使用のお願い「サイトカイン放出症候群」について」を発出し、転帰死亡の症例が2例報告されている旨を情報提供している。今般、適正使用のお願い(第2版)を発出し、3例目の転帰死亡の症例掲載とともに、同剤によるCRSの管理に関して特に留意してもらいたい事項について改めて注意喚起した。
医療関係者に対しては、同剤投与中及びCRS発現後は「モニタリングの実施」を求め、「特にCRS発現後は、サイトカイン放出症候群管理ガイドラインに従い、CRSの症状(体温、血圧、パルスオキシメトリー等)を定期的に確認」するよう求めた。CRSの症状を認めた場合は、「サイトカイン放出症候群管理ガイドラインに従い、副腎皮質ホルモン剤(デキサメタゾン)、トシリズマブ(遺伝子組換え)の投与を検討ください」とした。
イムデトラは、抗デルタ様リガンド3(DLL3)/CD3二重特異性抗体。ファースト・イン・クラスの免疫腫瘍療法で、T細胞上のCD3と小細胞肺がん(SCLC)細胞上のDLL3の両方に結合することで、患者自身のT細胞をSCLC細胞の近くに誘導する。これにより、免疫シナプスが形成され、がん細胞が溶解される。がん化学療法後に増悪したSCLCに対する約20年ぶりの新たな治療選択肢。
約85%~96%の患者はSCLC細胞の表面にDLL3を発現しており、正常細胞での発現はごくわずかであることから、DLL3はSCLC患者にとって有望な治療標的とされている。
今年4月のイムデトラの薬価収載時の資料によると、ピーク時売上予想(6年後)は247億円。