ACE阻害薬、ARB含有製剤、ARNI、DRI 「重大な副作用」に腸管血管性浮腫に関する注意喚起を追記
公開日時 2025/09/10 04:51
ACE阻害薬、ARBの単剤・配合剤、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)、直接的レニン阻害薬(DRI)について、「重大な副作用」の項の「血管浮腫」に、腸管血管性浮腫に関する注意喚起を追記する添付文書改訂が行われた。このほか、5-ASA製剤、バイオ後続品を含むアダリムマブ、ニボルマブ及びイピリムマブ、メロペネムの添付文書も改訂された。
添付文書の改訂指示があった医薬品は次の通り。
▽ACE阻害薬
①アラセプリル(製品名:セタプリル錠、住友ファーマ 等)
②イミダプリル塩酸塩(製品名:タナトリル錠、田辺三菱製薬 等)
③デラプリル塩酸塩(製品名:アデカット錠、T’s製薬)
④トランドラプリル(製品名:オドリック錠、日本新薬 等)
⑤ペリンドプリルエルブミン(製品名:コバシル錠、協和キリン 等)
▽ARB含有製剤
⑥アジルサルタン(製品名:アジルバ錠、同顆粒、武田薬品 等)
⑦イルベサルタン(製品名:アバプロ錠/イルベタン錠、住友ファーマ/シオノギファーマ 等)
⑧オルメサルタン メドキソミル(製品名:オルメテックOD錠、第一三共 等)
⑨カンデサルタン シレキセチル(製品名:ブロプレス錠、T’s製薬 等)
⑩テルミサルタン(製品名:ミカルディス錠、日本ベーリンガーインゲルハイム 等)
⑪バルサルタン(製品名:ディオバン錠、同OD錠、ノバルティスファーマ 等)
⑫ロサルタンカリウム(製品名:ニューロタン錠、オルガノン 等)
⑬アジルサルタン・アムロジピンベシル酸塩(製品名:ザクラス配合錠、武田薬品 等)
⑭イルベサルタン・アムロジピンベシル酸塩(製品名:アイミクス配合錠、住友ファーマ 等)
⑮イルベサルタン・トリクロルメチアジド(製品名:イルトラ配合錠、シオノギファーマ)
⑯オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン(製品名:レザルタス配合錠、第一三共)
⑰カンデサルタン シレキセチル・アムロジピンベシル酸塩(製品名:ユニシア配合錠、T’s製薬 等)
⑱カンデサルタンシレキセチル・ヒドロクロロチアジド(製品名:エカード配合錠、T’s製薬 等)
⑲テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩(製品名:ミカムロ配合錠、日本ベーリンガーインゲルハイム 等)
⑳テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩・ヒドロクロロチアジド(製品名:ミカトリオ配合錠、日本ベーリンガーインゲルハイム)
㉑テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド(製品名:ミコンビ配合錠、日本ベーリンガーインゲルハイム 等)
㉒バルサルタン・アムロジピンベシル酸塩(製品名:エックスフォージ配合錠、同配合OD錠、ノバルティスファーマ 等)
㉓バルサルタン・シルニジピン(製品名:アテディオ配合錠、EAファーマ)
㉔バルサルタン・ヒドロクロロチアジド(製品名:コディオ配合錠、ノバルティスファーマ 等)
㉕ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド(製品名:プレミネント配合錠、オルガノン 等)
▽アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤(ARNI)
㉖サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(製品名:エンレスト錠、同粒状錠、ノバルティスファーマ)
▽直接的レニン阻害薬(DRI)
㉗アリスキレンフマル酸塩(製品名:ラジレス錠、オーファンパシフィック)
改訂概要:「重大な副作用」の項の「血管浮腫」に、「腹痛、嘔気、嘔吐、下痢等を伴う腸管血管性浮腫があらわれることがある」と、腸管血管性浮腫に関する注意喚起を追記する。
改訂理由:ACE阻害薬、ARB、ARNI(以下、RA系阻害薬)の腸管血管性浮腫について、国内外症例、WHO個別症例安全性報告グローバルデータベース(VigiBase)を用いた不均衡分析結果を評価した。現行電子添文で腸管血管性浮腫に関する注意事項がないRA系阻害薬については、専門委員の意見も聴取した結果、次の内容を踏まえ、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
▽RA系阻害薬においては、血管浮腫自体は「重大な副作用」に記載しており既知のリスクである。血管性浮腫の一種である腸管血管性浮腫についても、潜在的なリスクである可能性がある。
▽国内外副作用症例において、腸管血管性浮腫に関連する報告が認められていない薬剤もあるものの、複数の薬剤において腸管血管性浮腫との因果関係が否定できない症例が認められている
▽PMDAで実施したVigiBaseを用いた不均衡分析において、複数のACE阻害薬及びARBで「腸管血管性浮腫」に関する副作用報告数がデータベース全体から予測される値より統計学的に有意に高かった。
腸管血管性浮腫関連症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない国内症例は、⑤ペリンドプリルエルブミン、⑩テルミサルタン、㉖サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物で各1例、⑪バルサルタンで2例。死亡0例。医薬品と事象との因果関係が否定できない海外症例は、⑤ペリンドプリルエルブミンで11例、⑦イルベサルタン及び⑪バルサルタンで各1例、⑫ロサルタンカリウムで5例。死亡0例。
▽5-アミノサリチル酸製剤
①メサラジン(製品名:アサコール錠、ゼリア新薬 等)
②メサラジン(製品名:ペンタサ錠、同顆粒、同坐剤、同注腸、フェリング・ファーマ 等)
③メサラジン(製品名:リアルダ錠、持田製薬)
④サラゾスルファピリジン(製品名:サラゾピリン錠、同坐剤、ファイザー)
⑤サラゾスルファピリジン(製品名:アザルフィジンEN錠、あゆみ製薬 等)
改訂概要:「重大な副作用」の項に「抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎」を追記する。
改訂理由:血管炎関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、5-アミノサリチル酸製剤と抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
血管炎関連症例の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は、①②③で6例、④⑤は2例。死亡0例。
▽アダリムマブ(遺伝子組換え)(製品名:ヒュミラ皮下注、アッヴィ 他バイオ後続品)
改訂概要:「重大な副作用」の項に「自己免疫性肝炎」を追記する。
改訂理由:自己免疫性肝炎症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と自己免疫性肝炎との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
自己免疫性肝炎症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない国内症例は0例、海外症例は4例。死亡0例。
▽ニボルマブ(遺伝子組換え)(製品名:オプジーボ点滴静注、小野薬品)
▽イピリムマブ(遺伝子組換え)(製品名:ヤーボイ点滴静注液、ブリストル・マイヤーズ スクイブ)
改訂概要:「重要な基本的注意」の項に腫瘍崩壊症候群に関する記載を追記する。「重大な副作用」の項に「腫瘍崩壊症候群」を追記する。
改訂理由:腫瘍崩壊症候群の症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、ニボルマブ及びイピリムマブと腫瘍崩壊症候群との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
腫瘍崩壊症候群症例の集積状況:オプジーボと事象との因果関係が否定できない症例は、国内症例4例、海外症例4例。死亡0例。ヤーボイと事象との因果関係が否定できない症例は、国内症例3例、海外症例2例。死亡0例。
▽メロペネム水和物(製品名:メロペン点滴用、住友ファーマ 等)
改訂概要:「重大な副作用」の項に「急性汎発性発疹性膿疱症」を追記する。
改訂理由:急性汎発性発疹性膿疱症症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と急性汎発性発疹性膿疱症との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
急性汎発性発疹性膿疱症症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない国内症例2例、海外症例6例。死亡0例。