中外製薬 再生医療等製品・エレビジス、重大な副作用に「急性肝不全」を追記 海外死亡2例を受けて
公開日時 2025/09/05 04:51
中外製薬は9月4日、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対する再生医療等製品・エレビジス点滴静注(一般名:デランジストロゲン モキセパルボベク)について、重大な副作用に「急性肝不全」を追記するなどの電子添文改訂を行ったと発表した。改訂は8月28日付。エレビジスは日本で5月13日に条件及び期限付き承認を取得したが、その後、エレビジスを投与した歩行不能なDMD患者で急性肝不全による海外死亡が2例となったことを受け、厚労省及びPMDAと安全対策等について協議を重ね、今回の対応となった。
現時点で得られている安全性情報の評価に基づき、今回の添文改訂では、「重大な副作用」に「急性肝不全」を追記し、歩行不能患者への本品投与後に死亡に至った症例が海外で報告されている旨を追記することのほか、▽投与前及び投与後のモニタリングにおける肝機能障害、急性肝不全を早期に検出するための検査を実施し、異常が認められた場合には投与の延期等の適切な対応を行うことの追記、▽副腎皮質ステロイドの投与による感染症に関する注意喚起の追記――となる。
中外製薬は、「患者さんの安全を最優先に考え、今後も継続的に安全性情報を収集・評価し、必要に応じて追加の安全対策を講じる所存」とコメント。また、「当社は、DMDと向き合われている患者さんやそのご家族の切実なニーズにお応えするため、新たな治療の選択肢を一日も早くお届けできるよう努めている。今後、保険適用およびその後の発売に向けて、引き続き厚生労働省と適切に協議を進める」としている。
エレビジスは、DMDに対するアデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた遺伝子治療用製品。標的とする骨格筋、呼吸筋および心筋において、本品により短縮型ジストロフィンの発現を介し、DMDの原因に働きかけるようデザインされている。日本ではDMDを対象として希少疾病用再生医療等製品の指定を受けている。5月13日に3歳以上8歳未満の歩行可能なDMDを対象に条件及び期限付き承認に該当する承認を取得した。米国ではDMDに対する初の遺伝子治療用製品として23年6月に承認され、現在9カ国で承認されている。