リジェネロンのコマーシャル部門総責任者であるマリオン・マッコート氏は12月10日、本誌インタビューに応じ、同社オリジンの開発後期５品目について日本国内で臨床開発を進めていることを明らかにした。デュピクセント、リブタヨに続く日本市場への導入品となる。また、リブタヨについても近日中に追加適用申請すると述べた。マッコート氏は22年のリジェネロン・ジャパン設立以降の取り組みに触れ、「日本は大変重要な市場だ。社員数も400人規模まで拡充した。ここ数年の経験に大変満足している」と評価し、市場プレゼンスの更なる向上に期待感を込めた。

◎「日本はリジェネロンにとって優先的に高く位置づけられている」

「リジェネロンにとって日本は優先的に高く位置づけられる国だ。同時に、多くの開発プログラムが日本で進行中だ」－、マッコート氏は日本での製品開発の進捗状況を初めて明かした。同社はデュピクセントやリブタヨなどグローバルで14製品が承認済。一方で臨床開発中の製品候補物質は45品目あり、うちフェーズ２、３の後期開発段階にある候補物質は20品目に及ぶという。マッコート氏は、このうち5品目について日本での臨床開発をすでに進めていると明らかにした。

◎日本での開発品　先天性難聴、進行性骨化性線維異形成症、全身型重症筋無力症など

日本で開発中の候補物質は、①先天性難聴治療薬・DB-OTO（FDA申請年内予定）、②進行性骨化性線維異形成症治療薬・garetosmab（良好なPhase 3結果発表済、FDA申請年内予定）、③全身型重症筋無力症治療薬・cemdisiran（良好なPhase 3結果発表済、FDA申請2026年予定）、④多発性骨髄腫治療薬・linvoseltamab（販売名：Lynozyfic、再発又は難治性の多発性骨髄腫の成人患者向け治療薬で25年4月EU承認済、25年7月FDA承認済）、⑤再発又は難治性の濾胞性リンパ腫および再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の成人患者向け治療薬・odronextamab（販売名：Ordspono、2024年8月EU承認済）－の5品目。申請時期はLinvoseltamabが26年中を見込むが、それ以外は未定としている。

◎51憶ドルを研究開発に投資　「なるべく多くの製品を日本に持っていきたい」

マッコート氏は、「24年に51億ドルをグローバルの研究開発に投資している」と述べ、日本に対して、「なるべく多くの製品を日本に持っていきたいと考えている」と強調。さらに日本での開発環境も、「我々のポートフォリオにマッチしている。治験に適したマーケットだと思っている」と指摘した。また、日本で製品開発する意義について、「たとえ対象患者が数人であっても、数百人であったとしても厳格なエビデンスベースの科学によって患者さんを助けるポテンシャルを我々は示せると思う」と述べ、改めて、「日本市場は間違いなく、我々の世界的な成長戦略における大変重要な部分を担っている」と強調した。

◎リブタヨ、デュピクセントの情報提供活動・市場プレゼンス「大変満足している」

このほか24年6月から日本における製造販売承認をサノフィから承継し、子宮頸がんに対する単独療法で情報提供活動を開始した抗悪性腫瘍薬リブタヨについて、「25年9月から非小細胞肺がんの適応追加承認を取得した」と説明。リジェネロン・ジャパンのオンコロジーチームを拡充し、ＭＲ60人体制で情報提供活動を行っていると述べ、「大変満足している」と述べた。また、リブタヨについては、近日中に追加適用を申請すると明かし、更なる製品価値向上に向けて取り組みを推進する考えを表明した。

一方でサノフィとのコ・プロモーションを行っているデュピクセントについては、「コマーシャルの視点から、まだアンメットニーズがあり、それをこの薬剤で対応できないかワクワクする部分も多大にある」と述べ、潜在的な適応追加の可能性についても期待感を示した。