ヘルステック最大「HIMSS 26」開幕 IT大手が相次ぎAI agentソリューション発表 参加者の注目集める
公開日時 2026/03/12 04:53

世界最大のヘルスITイベント「HIMSS 26」が3月9日から米国ネバダ州・ラスベガスで開幕したことを受け、IT大手企業が相次いで医療・製薬向けの新たなAI agent関連ソリューションを発表した。昨年のHIMSSで話題を独り占めにしたMicrosoftの自律型AI agent「Dragon Copilot」は新たな機能追加を公表。Salesforceは、医療者、保険者、公衆衛生機関とデータ連携する「Agentforce Health agent」を登場させた。米国内で電子カルテのシェア80%を誇るEpicは、電子記録情報を用いた健康予測や予防医療のビジネス検証に着手する。Oracle HealthやGoogleもAI関連の新製品を発表した。 HIMSSは現地10日(現地時間)から展示会場が参加者に公開された。話題のパビリオンには人が殺到しており、早くも商談が始まっている。(米・ラスベガス発・沼田佳之)
◎AI同士が自律的に連携しあう“マルチタスク型AI agent”に熱視線
今年のHIMSS 26には世界70か国超、2万5000人超の医療関係者、アカデミア、テック企業、製薬・医療機器業界、投資家、規制当局の関係者等が一堂に会した。医療・健康分野でのAI活用はHIMSSでも大きなディスカッション・ポイントになっている。特に、近年は生成AI(ChatGPT)の急速な社会浸透に伴い、医療従事者のバーンアウト(燃え尽き症候群)の解消や業務改善に伴う生産性向上、病院や医療機関の収益改善、患者満足度の確保などが話題となっていた。特に今年のHIMSSで注目されたのは、医療機関がそれぞれ有する診療データを、自治体、保険者、患者のデータとAIを介して統合する“マルチタスク型AI agent”が注目されている。9日から開幕したHIMSSの各セッションの討議の中でも、AI活用に伴う業務のプロセス変更や時間短縮・コスト削減、求められるAI人材や組織、さらには新たなマーケット創出への期待などが語られている。一方で各種規制との調和やサイバーセキュリティ対策も引き続きの課題とされ、次世代の医療環境はAI(特にAI agent)を軸にデータ統合の進捗やタスクの自動化などで現場当事者への急速な意識変革を求めることを予感させている。
◎「Dragon Copilot」の新機能 臨床インサイト、収益管理、事前承認、臨床意思の決定に
一方でIT各社のAIソリューションに注目が集まっている。自律型AI agentとして注目されるMicrosoftの「Dragon Copilot」は、新たに業務関連情報を表示する機能や、収益サイクル、臨床的洞察、意思決定サポートなど利用者のインテリジェンス機能を拡張すると3月5日に発表した。「Dragon Copilot」の上市発表からちょうど1年を経過した。対話型AIによる文書作成など業務支援を軸に市場浸透してきたが、ここにきて情報へのアクセスに止まらず、データ統合による医療者のインテリジェンス機能や患者を軸とした業務コンテクストの確立に伴う臨床インサイト、収益サイクル管理、事前承認、臨床意思の決定支援といった幅広い機能を医療者に提供する。
◎Salesforce 臨床・非臨床の健康データを単一のプラットフォームに統合
Salesforceも3月5日付けで、未活用の医療データから、より効率的で質の高い医療を提供するため、医療提供者、保険者、公衆衛生機関向けの豊富な連携機能があらかじめ組み込まれた新しい「Agentforce Health agent」を発表した。臨床・非臨床の健康データを単一のプラットフォームに統合し、パーソナライズされたケアを可能にするというものだ。
◎全米80%シェアの電子カルテ最大手Epic 予防医療、個別化医療、病院資源計画に活用
電子カルテ最大手のEpicは、臨床医、医療システム、そして患者がより多くの情報に基づいて意思決定できる「Curiosity」と呼ばれるヘルスケアインテリジェンスを用いて、予防医療、個別化医療、病院資源計画などに活用する方針だ。3月6日付の同社発表によると、電子健康記録で訓練された同社の生成AIが予防医学の新時代への扉をどのように開いているかを検証するという。ネイチャー・バイオテクノロジー誌にも掲載されている。Epicのように大量の電子カルテデータを持つメーカーが、生成AIを活用して患者の個別化にデータ応用させるスキームは、今後、日本でも注目される動きになりそうだ。