ノボ・小谷社長 肥満症戦略 医師と患者が適応内で自由診療を選択 「我々はあえて止めるべきではない」
公開日時 2026/03/23 04:53

ノボ ノルディスク ファーマの小谷啓輔代表取締役社長は3月19日、東京都内で年次記者会見に臨み、最優先事項の一角を占める肥満症について、医師と患者の意思決定プロセスを尊重した上で、「適応内の自費診療を保険診療の補完的な選択肢」に位置づけた。ただ、「不適切なオフラベルの自由診療と適切な適応内の自由診療がごっちゃになっている」との認識を示しながら、「弊社は不適切な美容目的の自由診療は全くサポートしていない」と言い切った。一方で、現在の最適使用推進ガイドラインの範囲内で保険診療できる医療機関は約1200施設、患者の25%以下しか治療されないと指摘。「適応内で医師と患者が自由診療を意思決定するならば、我々として、あえてそれを止めるべきではない」と述べ、「自由診療」のマーケットを患者の医療アクセス実現の選択肢にあげた。
小谷氏の社長就任は2026年1月1日付。この日は社長として初の記者会見に臨んだ。25年業績について同社長は、肥満症・糖尿病領域における週1回製剤のラインナップ拡充などで前年比5.4%の成長率を確保したと報告した。領域別では、糖尿病0.3%増、希少疾患23.5%、肥満症が1088%増と大幅成長となった。2026年の目標としては、「2桁成長を目指す」と明言した。
◎「患者が治療を医療従事者に相談したときに、その環境が整っていることが重要」
小谷社長は26年に取り組む最優先事項に、「障壁のない医療アクセスの実現」を掲げ、そのための環境構築に取り組む考えを訴えた。「患者さんが治療を医療従事者に相談したときに、その環境がしっかり整っていることが重要だ。我々はしっかり情報提供することで医療従事者と患者さんの意思決定プロセスを尊重する」と小谷社長は主張する。続けて、「その意思決定には、適応内の自由診療、そして保険診療という選択肢もありかなと思う。その選択肢を尊重した上で環境構築に貢献する」と力を込めた。
さらに小谷社長は、“カンパニー・ポジション”(基本方針)として、「全ての肥満症の患者さんに最適な治療とケアが届くことが一番大きな目標だ。そのために正確な情報を届けながら、(肥満症が)生命を脅かす可能性のある深刻な疾患であるということをしっかりコミュニケーションしていく」と述べ、「添付文書はもちろん最適使用推進ガイドラインに基づいた形で、我々の製品情報をしっかりと医療従事者に届けていく。そうすることで適正使用を推進する」とも強調した。
◎「弊社は不適切な美容目的の自由診療は全くサポートしない」
一方で、不適切なオフラベルの自由診療と適応内の自由診療が混在しているとの認識を示しながら、「弊社は不適切な美容目的の自由診療は全くサポートしない。我々がサポートしているのはアクセスの最大化ということ。必要な患者さんのためにしっかりアクセスしていきたいと思っている」と強調した。ただ、美容医療の現場に同社の製品が流通され、結果的に売上計上されていることについては、「流通を制限することはできないので、いろんな施設に流通があるというのは理解している」と認め、「われわれとしてコントロールできない」と述べた。
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不適切な使用はレポーティングやモニタリングで対応 情報提供活動を通じて使用減らす
また美容医療における肥満症治療薬の不適切使用については、「実態を把握した場合は、レポーティングやモニタリングを続け、当局に報告している。こうした活動を通じて不適切な使用が少なくなる。我々はあくまで適切な情報提供活動を行っていくことに注力する」と強調した。