提供:合同会社デロイト トーマツ
デロイト トーマツは、ライフサイエンス領域における創薬・開発から製品戦略、マーケティングに至るまで多様な工程のコンサルティングサービスを提供する。MR数の減少という大きな環境変化が見られるセールス領域においては、製薬業界知見とシステム開発力を掛け合わせ、多様なデジタルチャネルデータの連携・活用を顧客ニーズにあわせて実装し、効率的かつ効果的な情報提供活動の実現をサポートする。
Life Sciences & Health Careの中村亮太氏と、Sales & Serviceの小熊正暁氏にお話をうかがった。
製薬業界の専門チームとシステム開発チームが
構想策定から開発・運用までEnd-to-Endで共同
――最初に、製薬・医療領域における貴社の取り組みからうかがえますか。
中村 デロイト トーマツ(以下、当社)では、今回ご紹介するデジタルプロモーション戦略や領域・製品戦略、上市戦略の支援などコマーシャル・マーケティング分野のほか、創薬シーズのターゲット領域戦略策定や量子コンピューティングを活用した次世代創薬研究や産学連携、原料・原薬から医療機関・薬局まで含めたサプライチェーン変革、希少疾患コンソーシアムの設立・運営の支援など、挑戦的なものも含めて幅広く取り組んでいます。
――製薬・医療業界でサービス支援における貴社の強みをどのように意識されていますか。
中村 当社のコンサルティングサービスの大きな特徴として、業界知見を有するチームと業界横断で特定の課題解決に専門的な知見・経験をもつチームが協働し、プロジェクトの構想策定から共同で携わることがあげられます。例えばDX(デジタルを活用したビジネス変革)においては、ソリューション開発を担うメンバーがいることで、膨らませたアイデアの実現可能性や開発費用などの具体化をスムーズに行えます。
MR数の減少で難易度上がる情報提供活動
デジタルチャネル横断的なデータ連携が鍵
――現在の製薬業界のコマーシャル領域における現状と課題をどのようにお考えですか。
中村 まず製薬業界の環境の変化として、低分子化合物主体だった従来とは違い、バイオ医薬品や再生医療製品など創薬モダリティが多様化し、開発・製造などの難易度が上がっていることがあげられます。製薬会社は製品を生み出す研究開発を重視し、より多くの資金を投入するようになった半面、コマーシャルに関連する部署のコスト抑制や効率化が進められています。その結果、MR数は減少する傾向にあり、情報提供活動の難易度は上がっています。MRの訪問を希望する医師もいるなかで、いかに医師の顧客体験を低下させずに情報提供活動を効率化・高度化していくかが、今の製薬会社が共通して抱えている課題だと考えます。
分散したデジタル情報を統合・可視化し
MRの意思決定と情報提供活動を支援
――こうした課題に対する具体的な支援事例をうかがえますか。
小熊 ある製薬会社の事例ですが、限られたリソースの中で、医療従事者への情報提供活動をいかに効率的かつ丁寧に行うかが課題となっていました(図)。その会社では様々なチャネルで情報提供をしていましたが、前述のように顧客のチャネルごとの接点情報が連携されていなかったため、十分活用できていないことに課題感をお持ちでした。例えば、送られてくるデータ形式が統一されておらず、保存場所もバラバラで、情報が分散している状態でした。そこで、複数のデジタルチャネルで得られる情報を、医師ごとに整理して一元的に把握できる形に統合し、MRが活動計画を検討する際の「参考情報」として活用できるようにしました。
重要なのは、システムが訪問や説明内容を決めるのではなく、MRが医師との対話や状況を踏まえて判断するための材料を、見やすく・タイムリーに提示する点です。
――システムについてもう少し教えてください。
小熊 このシステムは、SalesforceのCRM(顧客関係管理)パッケージで構築しています。マーケティングオートメーション(MA)であるAccount EngagementとSalesforce本体の「統合顧客データベース」によってデジタルチャネルで得られる情報とMR活動に関する情報を統合し、医師ごとの状況を把握しやすい形で可視化しました。
これにより、MRが情報提供の準備や優先度の検討を行う際に、必要な情報へアクセスしやすくなります。なお、システムはあくまで情報整理・可視化と参考情報の提示を担い、実際のアプローチ内容やタイミングの最終判断は各MRが医師とのコミュニケーションを踏まえて行います。さらに、MRが情報提供の準備を行う際に、過去の活動履歴や社内で整理されたナレッジを参照しやすくすることで、検討の抜け漏れを防ぎ、説明の質を安定させる支援も行いました。過去の接点や提供済み情報などを一覧化し、MRが状況整理を行うための材料として参照できる形です。
顧客情報の集約・可視化で情報提供活動を支援
準備・判断の負荷軽減と品質の平準化に寄与
――この事例における成果をうかがえますか。
中村 まずデータを1カ所に集積し、優先すべき情報提供をタイムリーにMRに伝えることで、より確度の高いアプローチが可能になり、優先度の検討に必要な情報がタイムリーに整理されることで、限られた時間の中でも準備・判断の負荷を下げ、結果として活動全体の効率化や情報提供の質向上に寄与しました。また、従来はチャネルごとの情報確認や整理に手間がかかり、担当者によって見立てに差が出やすい面もありました。導入後は、必要な情報が一定の形式で集約・可視化されるようになり、判断に必要な材料へアクセスしやすくなった点が変化として挙げられます。
その他、情報提供活動を支援する仕組み構築では、MRが情報提供の準備を行う際に、過去の活動履歴や社内で整理されたナレッジを参照しやすくすることで、検討の抜け漏れを防ぎ、説明内容の品質を安定させる支援も行いました。最近では1人で広域を担当するなど孤立しがちな環境もあり、ナレッジが新たな気付きにつながると評価されている部分もあります。
DXは会社のニーズに合ったシステムの形を提供すること
戦略立案から一緒に考え伴走する
――最近では生成AIの技術が進歩していますが、製薬業界の支援システムでの活用事例はありますか。
中村 Salesforce以外でも、社内で集めた活動のベストプラクティスのデータから、生成AIを活用して自分の関心のあるテーマで成功事例を検索するシステムなども手がけています。
小熊 今は生成AIの次のフェーズとして、自律的に状況把握や判断などを行うAIエージェントも登場しています。生成AI導入では環境構築に時間がかかるのですが、SalesforceではAIの仕組みがある程度パッケージ化されているので、すぐ導入できることがメリットです。また、生成AIでは個人情報の流出が懸念されがちですが、Salesforceの特徴としてセキュリティの高さに定評があり、情報を取り込む際に自動的に個人情報をマスキングする仕組みも設けられているのも特徴です。
――最後に製薬業界の方にメッセージをお願いします。
小熊 DXは、ソリューションを導入することと捉えられがちですが、導入が目的になってしまうと現場で使用されないシステムになりかねません。当社の強みは、製薬業界で実務に携わるインダストリーと、システム開発の知見の両方を併せ持つことです。これまで経験した事例やナレッジをもとに、お客様のニーズに合ったシステムの形を提供できると考えています。
中村 環境変化の早い現在、私たちは最新トレンドを含め情報収集し、それらを踏まえながら次に何をしていくべきか、戦略立案からクライアントと一緒に考えます。ですから、やりたいことが明確化していない段階でも、お気軽にご相談いただきたいと思います。これからの製薬業界は、過去の成功事例を自社に落とし込むのではなく、誰もやったことがないような事例に取り組む機会が多くなると思います。私たちは、そうした未知なる道でも一緒に考え伴走する気概を持って臨みます。
合同会社デロイト トーマツ
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