ニプロ・山崎社長 過去最高益達成を報告 27年度ROE10%目標 資本コストや株価意識した経営に舵
公開日時 2026/05/13 04:51

ニプロの山崎剛司代表取締役社長は5月12日の2026年3月期決算説明会に臨み、売上、利益ともに過去最高を達成したと強調した。透析患者向け人工腎臓・ダイアライザが海外で堅調に拡大し、国内では注射針類やバスキュラー関連製品などが好調に推移した。営業利益率は前期の4.1%から5.7%に改善し、「中長期成長に向けて経営の土台を再度見直し、整える一年だった」と振り返った。引き続き資本コストや株価を意識した経営に注力するとし、取締役会の改編や経営会議新設など、コーポレートガバナンスの強化を図る考えを示した。
同社の25年度連結業績は、売上高が前期比2.5%増の6605億3800万円、営業利益が41.5%増の376億2400万円。売上高は通期予想を2.4%下回った。海外ではダイアライザが好調に拡大した一方、国内向けダイアライザの一部製品で出荷制限が発生したほか、利益重視の方針のもと数量追求を控えたことなどが影響した。
◎利益重視や組織改革を推進
山崎社長は25年度連結業績を振り返る中で、「72年の歴史の中で、一度組織も商品も見直して、棚卸を実行し、より利益を重視した経営にしていこうと考え、各事業における成長施策を着実に進めることができた」と評価した。
その上で山崎社長が掲げる“利益重視経営”については、国内・国際事業部などですでに導入している事業一気通貫体制を、医薬部門やバスキュラー部門にも拡大。開発から製造、営業までを一気通貫することで、「マーケットインの考え方に基づき市場ニーズを素早く開発につなげ、作り、販売をして、それをまた還元する形に整えることができた」と説明した。
加えて、医療用具の品種や包装材サイズの集約、生産自動化の推進により、製造・物流・管理コストなどの最適化を進めた。海外販売比率が5割を超えるなか、海外事業拡大を見据えた地域本社機能の強化など、ガバナンス体制の強靭化にも取り組んだ。
◎26年度は売上高7000億円を計画
26年度業績予想は、売上高が前期比6.0%増の7000億円、営業利益6.3%増の400億円を目指す。山崎社長は、「昨年やった土台の整備をもとに、実現に向けて実行の年とする。収益性と資本効率の改善に取り組んでいく」と述べた。また、25年度に5.1%だったROE(自己資本利益率)について、27年度には10%へと引き上げる目標を掲げ、「これを目標に投資判断と事業運営の質を高め、資本コストを意識した経営を徹底していく」と説明した。さらに、ROIC(投下資本利益率)も導入する考えを表明。26年度~27年度を「導入期」と位置づけ、ROIC目標値設定やROIC構成要素のKPIを設定。28年度の「実現期」で本格導入することを見据える。
◎コーポレートガバナンス改革へ 取締役会を半減
資本コストや株価を意識した経営実現に向け、コーポレートガバナンス改革も進める。現在18人で構成する取締役会の定数を、6月開催予定の株主総会後に9人に削減する。「中長期的な企業価値の向上に向けて、実効性の高い議論を行い、業務執行を監督することを徹底していきたい」とした。また、新たに経営会議を設置し、方針や戦略に関する議論を充実させることで、業務執行の精度向上を図る。加えて、指名報酬委員会を発足させ、「取締役の選解任や報酬決定における審議の透明性と客観性を高める。さらなる企業価値に向けた経営基盤の強化を図る」と説明。「監督と執行を分離して、指名報酬に関わるプロセスの信頼性向上を図り、透明性をさらに高めていきたい」と意欲を示した。