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杏林製薬 新中計の最終29年度売上目標は1200 億円超 後発事業売却やデザレックスのLOEなど織り込む

公開日時 2026/05/14 04:51
杏林製薬の荻原豊代表取締役社長は5月13日の25年度決算・新中期経営計画(26~29年度)説明会で、新中計最終29年度の売上目標を1200 億円以上(25年度実績1263億円)と設定したと発表した。後発医薬品事業の売却やデザレックスパテントクリフを織り込んだもの。営業利益(研究開発費控除前)の目標は、導入品獲得への積極投資を織り込み170億円以上(同156億円)とした。荻原社長は、「一時的な減収減益局面を迎えることが想定されるが、ベオーバ、ラスビック、サチュロなどにより跳ね返していきたい」と述べた。新中計期間中、持続的な成長に向けたパイプライン拡充のための投資に最優先で取り組むため、26年度から1株当たり年間配当を25円(25年度57円)に大幅減配する方針を明らかにした。

同社は創業 110 周年に向けた長期ビジョン「Vision 110」の実現に向け、3つのステージからなる中計を推進している。今回、発表した新中計「Vision 110-Stage2-」はその第2段階に当たる。終了した第1段階の「Vision 110-Stag1-」(23~25年度)では、「Vision 110の実現に向けた事業体制への変革」を掲げ、▽新薬の創出力強化、▽導入による開発パイプライン拡充、▽新薬比率の最大化―などに取り組み、自社創製品(KRP-M223)のノバルティス社への導出、導入実績7件獲得(目標6件以上)、新薬売上570億円(目標560億円以上)などの成果を挙げた。

◎荻原社長による前中計振り返り「一定の成果が出ていると感じとれるステージだった」

26年4月には事業ポートフォリオ最適化による新薬事業へのリソース集中を目的に、ダイトなど3社が共同出資して設立予定の「医薬品共創機構(仮)」への後発品事業の承継に向けた基本合意書締結を発表した。荻原社長は前中計を振り返り、「一定の成果が出ていると感じとれるようなステージだった」と評価する一方、「持続成長のためのパイプラインの拡充あるいは創薬力の強化は十分でなく、課題であると認識している」と語った。

◎26年度以降4年間の新中計 成長エンジンとなる導入品の獲得に最優先で取り組む

その上で、26~29年度までの4年間の新中計の狙いについて、「デザレックスの後発品の参入などにより事業活動に影響が出ると想定している。それを跳ね返して持続的に成長していくために策定した」と説明し、成長エンジンとなる導入品の獲得に最優先で取り組む考えを強調した。具体的には、モダリティや疾患領域を問わず、幅広い導入活動を展開し、10件以上の導入を目指す。「導入品獲得のための投資として300~400億円以上を見込んでいる。場合によってはM&Aも選択肢だ」と述べ、「現在、数百億以上を狙えるようなものについて集中して検討している」と明かした。

国内新薬の販売面では、成長ドライバーである過活動膀胱治療薬・ベオーバ、経口ニューキノロン系抗菌薬・ラスビックに、26年3月にJ&J社から国内販売権を取得した多剤耐性肺結核治療薬・サチュロを主力3製品と位置づけ、普及最大化に注力する方針だ。25年度に258億円を売り上げたベオーバの29年度の目標について、荻原社長は「270億円を最低ラインとして300億円は目指していきたい」と述べた。ラスビックについては120億円以上(25年度実績73億円)を、サチュロについては、ヤンセンファーマが開発中の治療抵抗性肺MAC症の適応追加の承認取得を前提に早期に200億円以上を目指す。

主力3製品以外では、後発品の供給不安の中、厚労省からの要請を受けて増産体制を構築し、また、錠剤の薬価が後発品と同額となり、長期収載品の選定療養から外れるなど薬価制度上の追い風が吹いた先発品ムコダイン錠に再注力する方針だ。

次期中計「Vision 110-Stag3―」(30~32年度)では、最終32年度に売上高1600 億円以上、営業利益(研究開発費控除前)200億円以上を目指す。ステージ1を「土壌づくりと種まき」、ステージ2を「種まきと育成」、ステージ3以降を「収穫」と位置付けている。

◎25年度連結業績 売上高は2.9%減の1263億円、営業利益は71.6%減の36億円

2025年度の連結業績は、売上高が前期比2.9%減の1263億円、営業利益が71.6%減の36億円で着地した。減収・減益は、ノバルティス社への自社創製の慢性特発性蕁麻疹(CSU)治療薬候補「KRP-M223」導出に伴い一時金(82億円)収入を24年度に計上した反動が出たため。

国内新薬の売上は3.5%増の871億円と増収だった。個別製品では、ベオーバは17.1%増の258億円、デザレックスは6.5%増の102億円と好調だった。一方、「感染症が想定を下回った」(荻原社長)ため、ラスビックは7.2%減の73億円だった。

2026年度業績予想は、デザレックスの後発品参入の影響が大きく減収・減益を見込む。ベオーバは3.3%増の267億円と続伸する見通し。また、ラスビックは23.5%増の90億円、ムコダインは46.2%増の54億円と2桁伸長を予想。一方、デザレックスは77.5%減の23億円まで落ち込む見通し。

研究開発面では、24年12月にバイエル社から導入した閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)治療薬候補 「KRP-S124」について、荻原社長は「今年度中にフェーズ2aを開始予定だが、その結果をもって日本以外のテリトリーのサブライセンス(共同開発)を本格的に進めていく予定だ」と説明した。次期中計期間中(30~32年度)の上市を実現し、全世界で1000億円以上の売上を目指している。

【連結業績(前期比)26年度予想(前期比)】
売上高 1262億5700万円(2.9%減)1218億円(3.5%減)
営業利益 35億6700万円(71.6%減)20億円(43.9%減)
親会社株主帰属純利益 34億4800万円(62.0%減)15億円(56.5%減)

【国内主要製品売上高(前期実績)26年度予想、億円】
ベオーバ 258(221)267
ラスビック 73(78)90
リフヌア 9(9)10
デザレックス 102(96)23
フルティフォーム 128(137)123
ペンタサ 123(122)102
キプレス 22(35)10
ムコダイン 37(36)54
ミルトン 18(18)18
ルビスタ 8(11)7

後発品
モンテルカスト錠「KM」 114(120)101
モメタゾン点鼻液「杏林」 45(41)39

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