厚労省 iPS細胞由来2製品を条件及び期限付き承認 抗HIV薬・イドビンソを承認 いずれも世界初の製品
公開日時 2026/03/09 04:50
厚生労働省は3月6日、iPS細胞由来の再生医療等製品2製品を条件及び期限付き(期限7年)で承認した。2製品は住友ファーマのパーキンソン病を対象疾患とする非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞・アムシェプリと、クオリプスの虚血性心筋症による重症心不全を対象疾患とするヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シートのリハート。iPS細胞由来の再生医療等製品として世界初の製品となった。
また、厚労省はこの日、1日1回1錠経口投与のHIV-1感染症治療薬・イドビンソ配合錠を承認した。逆転写酵素の転移阻害や、遅延型のDNA鎖伸長停止を含む複数の作用機序によってHIV-1の複製を阻害する、新規作用機序のヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害剤(NRTTI)のイスラトラビルと、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)のドラビリンによる2剤配合錠で、世界に先駆けて初めて日本で承認された。
承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。
▽アムシェプリ(ラグネプロセル、住友ファーマ):「レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者の運動症状の改善」を効能、効果又は性能とする再生医療等製品。先駆け審査指定制度指定製品。希少疾病用再生医療等製品。条件及び期限付承認に該当し、期限は7年。
本品は、健康成人の末梢血単核球から作製したiPS細胞から分化誘導して製造した、ドパミン神経前駆細胞の細胞塊を含有する細胞加工製品(非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞)。本品は脳内の被殻に両側移植して用いる。免疫反応の抑制を目的に、本品移植前後にタクロリムス水和物を投与する。
薬価収載後の販売については住友ファーマが、製造に関しては住友化学と住友ファーマのCDMOを行う合弁会社S-RACMOが担う予定。
今回の条件及び期限付承認の根拠となったのは、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が京都大学医学部附属病院と連携して実施した第1/2相医師主導治験。日本人パーキンソン病患者7例を対象に安全性・有効性を評価した。
本承認の取得に向け、7年の期限内に製造販売後臨床試験や全例を対象とした使用成績調査を実施する。製造販売後臨床試験は、レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者を対象に実施し、本品の有効性及び安全性を評価する。目標症例数は65歳以下が30例、65歳超が5例――の計35例。主要評価項目は移植後96週時(24カ月)におけるオフ時のMDS-UPDRS Part III合計スコアのベースラインからの変化量。対照群は設けず、文献情報を基に閾値を設定し、有効性を判断する。副次評価項目としてオン時間、オフ時間、日常生活動作などを設定し、多角的に評価する。
全例を対象とした使用成績調査も実施し、本品の使用実態下での安全性及び有効性を確認する。
▽リハート(ヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シート、クオリプス):「薬物治療や侵襲的治療を含む標準治療で効果不十分な虚血性心筋症による重症心不全の治療」を効能、効果又は性能とする再生医療等製品。希少疾病用再生医療等製品。条件及び期限付承認に該当し、期限は7年。
本品は、ヒト(同種)iPS細胞から分化誘導させた心筋細胞をシート状に形成し、ゼラチン及びHBSS(+)から成るゲルに包埋したヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シート。本品は移植前に前処理した後、心筋細胞シート3枚を心臓表面に順次移植して用いる。移植した翌日から免疫抑制剤3剤(プレドニゾロン、タクロリムス水和物、ミコフェノール酸モフェチル)を規定の用法・用量で漸減期間を含めて90日間投与する。
移植した細胞から分泌されるサイトカインと呼ばれる特有の因子を産出することにより、心筋梗塞部位近傍の血管新生を促進し、虚血部位を修復することで(パラクライン効果)、患者自身の心筋の状態を改善させ、心機能や運動耐容能を改善・維持することが期待される。
投与対象は、薬物治療や手術等の標準的な治療を施しても十分に回復しない虚血性心筋症による重症心不全の患者となる。
厚労省によると、7年の期限内に実施する製造販売後承認条件評価では、外部対照を用いた比較を行う。本品の使用成績調査から得られる75例のデータに対し、別途実施する前向き臨床研究における本品非投与群150例を外部対照として設定し、使用実態化における本品の有効性・安全性を検証する。有効性の主要評価項目は、本品移植後52週時点のPeakVO2が改善した患者数、およびLVESVI(左室収縮終期容積係数)が改善または維持した患者数とする予定。
▽イドビンソ配合錠(ドラビリン/イスラトラビル水和物、MSD):「HIV-1感染症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類625。
新規のヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害剤(NRTTI)・イスラトラビルと、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)・ドラビリン(国内販売名:ピフェルトロ錠)の2剤配合錠。世界に先駆けて初めて日本で承認された。用法・用量は、「通常、成人には、1回1錠(ドラビリンとして100mg及びイスラトラビルとして0.25mgを含有)を1日1回経口投与する。本剤は食事の有無にかかわらず投与できる」。
同社は、「イドビンソは、抗HIV療法によりウイルス学的抑制が得られている成人HIV-1感染症に対する有効性および安全性が確認され、1日1回1錠の経口投与配合剤であり食事の影響を受けずに投与可能であることから、アドヒアランスの維持が期待される」としている。
なお、イスラトラビルはヤマサ醤油とのライセンス契約に基づいてMSDが開発した新規のNRTTI。