武田薬品・キム次期CEO 3製品上市に注力で「新たな成長軌道実現」 組織刷新・AI活用で変革に着手
公開日時 2026/05/14 06:00
武田薬品のジュリー・キム次期CEOは5月13日の決算会見で、「今後12か月以内に3つの革新的な医薬品を上市することに注力し、新たな成長軌道を実現させる」と決意を示した。CEO就任が6月に予定される中で、成長加速に向けてすでに組織変革に着手。新たなエグゼクティブ・リーダーシップチームを立ち上げたほか、組織内の管理階層を削減したほか、AIを活用して効率化を進める。「加速的なスピードと成長に向けた変革のために組織構造を刷新した」と話す。今後2~3年間は、組織変革を行い、競争力を強化する成長エンジンを構築する期間に位置付ける。これを原動力として新たな主力品が加速的に成長することで、その後に迫るエンタイビオの特許切れを吸収し、上回って成長する「高成長企業」となる姿を描く。
◎「26年度は重要な実行段階に入る」 Oveporextonなど3剤の上市成功目指す
キム次期CEOは、「2025年度を終え、タケダは強固な基盤の上に新たな章をスタートさせる」と表明。「堅調な業績、画期的な第3相試験データは、これまでの道のりが正しかったことを証明し、 26年、27年度の主力製品の上市に向けた体制を整えることができた。パイプラインの進展、そして近年達成した財務規律を基盤として、26年度は重要な実行段階に入る」と述べた。
まず、注力するのが、 “将来のブロックバスターブランド”に位置付ける、ナルコレプシータイプ1治療薬候補Oveporextonと真性多血症治療薬候補Rusfertide、乾癬治療薬候補Zasocitinibの3剤の上市の成功だ。OveporextonとRusfertideは26年下期、Zasocitinibは27年上期の上市を予定する。市場規模についても、Oveporextonは「数十億ドル規模の潜在性がある」と期待を寄せる。Zasocitinibは競争市場への投入となるが、「エンタイビオの実績や得た教訓を生かすことができる」と自信をみせる。これに続くパイプラインも、「より広範な後期段階パイプラインの新規候補物質は引き続き意義ある進捗を示しており、タケダ史上最も充実した後期パイプラインとなっている」と胸を張る。
◎組織内の管理階層を削減など「加速的なスピードと成長に向けた変革へ組織構造を刷新」
新たな成長フェーズに入ることを見据え、キム次期CEOは組織の刷新に着手した。25年度第4四半期に新たなエグゼクティブ・リーダーシップチームを立ち上げ、「このリーダーシップを基盤として、加速的なスピードと成長に向けた変革のために組織構造を刷新した」と明かす。組織内の管理階層を削減し、患者と顧客により近づける組織体制としたほか、コーポレート機能の集約および効率化。また、データテクノロジー、AIを活用したさらなる効率性の向上も進める。「患者さんに意義あるアウトカムを届けるために、現在も将来も、高いパフォーマンスを行うカルチャーが不可欠だが、その強化に期待をしている」と話した。
こうした新たな“トランスフォーメーション・プログラム”により、26年度に約4500のポジションが影響を受ける見通し。主に退職金に関する1700億円の構造改革費用が発生する見込みだ。プログラムの集中的な実施により、28年度までに年換算2000億円以上、26年度は約1000億円のコスト節減を見込む。26年度は「成長投資の年」と位置付け、削減したコストは、Oveporextonなどの上市に再投資するほか、後期開発パイプラインの進展を後押ししたい考えだ。
◎投資と運営の効率化が高成長企業となるための戦略
キム次期CEOは、今後2~3年間で成長に向けた変革を行う「Horizon 1:(競争力の強化と成長エンジンの構築)」と、その後の期間として中長期的に成長を加速させる「Horizon 2(長期的な収益性の向上と患者さんへの価値創出)」の2段階での成長を見込む。「新製品やイノベーションへの投資と運営の効率化が、将来的な特許切れを乗り越え、より高成長企業となるための戦略で、持続的な拡大と患者さんへの大きなインパクトを確保する」と強調した。「パーパスとバリューは変わらない」ことも言及した。
キム次期CEOは、「不変の価値観と将来を見据えた能力という強固な基盤のもと、我々は持続可能でイノベーション主導の成長に向けて自らを刷新する。 2つのホライゾンの実行に向けた揺るぎない決意を持って、今後の道筋に取り組む」と意欲をみせた。
◎ウェバーCEO「新たなタケダの時代は非常に明るいと確信している」
クリストフ・ウェバー代表取締役社長CEOは「タケダの社長 CEO として最後の決算説明会だ」と切り出し、12年間のCEO在任中に「タケダは真に、グローバル規模で、革新的医薬品が揃った強力なポートフォリオ、大きな可能性を秘めた革新的後期パイプラインを有する企業へと変革を遂げた」と振り返った。そのうえで、「新たなタケダの時代は非常に明るいと確信している」と後押しした。
同社の2026年3月期(25年度)のコア売上収益は前年度期比1.7%減の4兆5057億円、コア営業利益は0.9%減の1兆1725億円。ADHD治療薬・VYVANSEの米国での独占期間満了のマイナス影響があったものの、成長製品・新製品の伸びによって一部相殺された。
【25年度連結業績 (前年同期比) 26年度予想(前年同期比)】
売上高 4兆5057億2000万円(1.7%減) 4兆6400億円(3.0%増)
営業利益 4087億6100万円(19.3%増) 4200 億円(2.7%増)
親会社帰属純利益 1917億6200万円(77.7%増) 1660億円(13.4%減)
【25年度のグローバル主要製品全世界売上高(前年同期実績) 26年度見込み 億円】
消化器系疾患
ENTYVIO 9580(9141)10460
GATTEX/レベスティブ 1457(1463)1540
タケキャブ/VOCINTI 1437(1308)1510
PANTOLOC/CONTROLOC 445(446)400
DEXILANT 373(385)360
リアルダ/MEZAVANT 291(273)310
RESOLOR/MOTEGRITY 73(195)―
EOHILIA 88(55)120
希少疾患
タクザイロ 2239(2232)2390
アドベイト 1055(1118)1460 (※26年予想のみ、アドベイトとアディノベイト/ADYNOVIの合算)
アディノベイト/ADYNOVI 567(646)
エラプレース 1005(972)990
リプレガル 804(779)840
ビプリブ 572(535)600
リブテンシティ 469(330)610
ボンベンディ 253(209)300
フィラジル 160(180)120
アジンマ 120(71)150
その他 383(457)△15%~△20%
⾎漿分画製剤
免疫グロブリン製剤 7906(7578)約10%の成⻑
アルブミン製剤 1403(1414)1桁台半ば%の成⻑
ファイバ 329(394)300
HEMOFIL/IMMUNATE /IMMUNINE 254(256)230
CINRYZE 133(164)120
オンコロジー
アドセトリス 1402(1290)1500
リュープリン/ENANTONE 1208(1193)1290
ニンラーロ 821(912)830
アイクルシグ 750(707)750
FRUZAQLA 551(480)720
アルンブリグ 369(364)390
ベクティビックス 263(262)190
ゼジューラ 143(143)150
カボメティクス 82(84)80
ニューロサイエンス
VYVANSE/ELVANSE 2032(3506)1790
トリンテリックス 1218(1257)950
インチュニブ 462(404)390
ADDERALL XR 247(284)200
ワクチン
QDENGA 408(356)730
その他
アジルバ 71(118)20
ホスレノール 88(79)60
【25年度の国内主要製品売上高(前年同期比)、億円】
ENTYVIO 193(10.1 %増)
GATTEX/レベスティブ 96(4.5 %増)
タケキャブ/VOCINTI 1037(4.4 %増)
希少疾患
タクザイロ 34(2.9%増)
アドベイト 25(9.7 %減)
アディノベイト/ADYNOVI 129(5.2%減)
エラプレース 4(77.5%増)
リプレガル 78(6.5%減)
ビプリブ 14(14.8%増)
リブテンシティ 35(233.9%増)
ボンベンディ 9(6.1%増)
フィラジル 21(12.4%増)
アジンマ 18(44.4 %増)
⾎漿分画製剤
ファイバ 3(32.4%減)
オンコロジー
アドセトリス 122(5.1%増)
リュープリン/ENANTONE 278(0.8%減)
ニンラーロ 61(3.9%減)
FRUZAQLA 69(177.6 %増)
アルンブリグ 22(11.3 %減)
ベクティビックス 263(0.3 %増)
ゼジューラ 107(5.0%減)
カボメティクス 82(2.3%減)
ニューロサイエンス
VYVANSE/ELVANSE 40(36.0 %増)
トリンテリックス 148(14.0 %増)
インチュニブ 316(19.6 %増)
その他
アジルバ 71(39.5 %減)