研究に触れる楽しさを知って博士人材増へ お茶の水女子大附属高校の生徒が提言 中外製薬授業
公開日時 2026/07/07 04:50

「貸与型の奨学金が多く博士号を取得する際の経済的負担が大きいことから、返済不要の奨学金制度を増やす」――。東京・お茶の水女子大学附属高校の3年生を対象に中外製薬が主催した体験授業で、7月2日、博士人材の増加に向けた15の提言が取りまとめられた。日本では博士号取得者がアメリカやドイツなどと比べて半数以下にとどまることを踏まえ、経済的負担や就職を優先せざるを得ない状況などについて、高校生ならではの視点で活発な議論が交わされた。取りまとめられた提言は、お茶の水女子大学などとの連名で、経団連の「博士人材に関する産学協議会合」に提出される予定だ。
授業は6月18日に続く2回目で、必修科目の一環として実施。社会課題を自分ごとと捉え、解決策を自ら考えることを目的に3年生120人が参加した。同社研究員の実体験や、日本の博士人材を取り巻く環境などについて共有し、ChatGPTなどの生成AIを活用してアイディアを出し合いながら、政策提言を議論した。
一つの班は、博士人材が増えない背景として、学費などの経済的負担が重いことや、博士号を取得しなくても就職できるため、博士号取得のメリットを感じにくいことなどを挙げた。そのうえで、お茶の水女子大附属高校が文部科学省の指定するスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校であり、生徒自身が日ごろから課題研究に取り組んできた経験を踏まえ、高校生のときから研究の楽しさを知ることが博士課程へ進む意欲につながるのではないかと仮説を立てた。
実際に調べると、博士課程への進学を希望する生徒の割合が一般校より高いとの調査結果があることが分かり、「SSH指定校の拡充」を提案。「専門分野の先生と触れ合う機会を作ることで研究自体の楽しみに気づき、研究のクオリティを上げて楽しめるようにする」と説明した。
このほか、大学院進学者向けの返済不要の奨学金拡充や、民間企業への就職率向上を目指したジョブ型雇用導入を促す補助制度を政府に求めるなど、企業や政府の制度設計に踏み込んだ提案も示された。
◎博士課程の不安解消に 現実的な進路とする生徒も

提言を発表した生徒は、一級建築士を目指し、実務経験が必要なことから博士課程を積極的には考えていなかったという。しかし授業を通して、「博士号が人生の道を一つに絞るものではなく、その能力を使って違う選択肢を得られるものだと捉えることができた」と話し、博士課程を選択する不安の解消につながったと語った。
また、生物系研究者を志望する生徒は、「授業を通して博士課程を以前よりも現実的な進路として捉えられるようになった。いつか私も研究を通して社会に貢献するだけでなく、誰かの将来に希望や勇気を与える研究者になれるよう努力していきたい」と話した。