中外製薬 近大病院、NTTグループとAI技術活用した治験候補患者の抽出制度・プロセスで共同研究始動
公開日時 2026/07/01 04:50
中外製薬は6月30日、近畿大学病院腫瘍内科、NTT、NTTデータと共同で、実臨床で蓄積されるリアルワールドデータとAI技術(LLM)を活用した治験候補患者抽出の精度・抽出プロセスに関する4者共同研究を開始したと発表した。近畿大学病院が保有する電子カルテデータなどを用いて、中外製薬が策定した治験実施計画書の適格基準に基づく治験候補患者の抽出手法と、LLM(大規模言語モデル)を組み合わせた抽出手法とを比較・評価するというもの。医師および治験コーディネーター(CRC)の判定結果を比較基準とし、実運用における有効性や作業負荷低減、治験参加者組み入れまでのリードタイムがどれくらい短縮するかなど多面的に検証する。
LLMを活用した治験候補患者の抽出にあたっては、NTTデータが、これまで医療情報活用基盤「千年カルテ」の運用で培ってきた情報管理およびデータ運用設計の実績に加え、医療データ活用・解析の知見を生かし、LLMおよびルールベース手法による治験候補患者抽出の技術検証を行う。なお、技術検証にはNTTが独自開発した大規模言語モデル「tsuzumi 2」を用いる。
一方、治験候補患者の抽出手法は、治験実施計画書に定められた条件をあらかじめプログラム化し、治験候補患者を抽出するルールベース手法と、LLMを活用した抽出手法、さらにルールベース手法とLLMを活用した抽出手法を組み合わせた手法を、それぞれを実施する。それらの結果を医師およびCRCによる判定結果と比較することで、治験候補患者の抽出精度を評価する。
◎治験参加者組み入れまでのリードタイムを定量的に検証 治験のスピード向上に期待も
今回の共同研究は、LLM活用による治験候補患者抽出の精度向上と抽出プロセスの効率化が治験参加者組み入れまでのリードタイム短縮につながるかを定量的に検証するもの。これにより治験全体の期間短縮、製薬企業の開発スピード向上、医療機関における治験実施体制のスリム化などについての知見を集め、患者が新たな治療選択肢により迅速にアクセスできる環境の整備に貢献したい考えだ。
中外製薬を含む共同研究参加の4者は、「今回の研究成果を踏まえ、関係各社は医療機関および製薬企業とのさらなる連携を通じたリアルワールドデータと、AIを活用した治験候補患者抽出基盤の社会実装の可能性について検討を進めたい」とコメントしている。