日医・横倉会長 財政審建議に対し医療の適正化が浸透 技術革新、制度改正で過不足ない医療を実現

公開日時 2017/06/01 03:50
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日本医師会の横倉義武会長は5月31日の定例会見で、財務省の財政制度等審議会がまとめた建議を踏まえ、「技術革新の努力、さらには制度改正による過不足ない医療の提供によって国民医療の実績値は過去の推計値をはるかに下回っている」と述べ、医療の適正化が浸透していると強調した。建議では、社会保障費の自然増による伸びを年間5000億円以下に圧縮することを求めている。横倉会長は、「医療は国家的な事業として最優先されるものではなくてはならない。国民が過不足なく医療を受けられるように適切な財源の確保が必要だ」と述べ、効率化が優先されることを牽制した。


◎C型肝炎治療薬など「イノベーションが医療費の伸び抑制に変革」


横倉会長は、「厳しい財政状況から医療費が青天井から増加するのではないかと心配する声もある」とした上で、2015年度の国民医療費の実績値は41兆5000億円。06年度の推計値44兆円、11年度の推計値45兆7000億円のいずれをも下回り、今後も横ばいで推移する可能性をを指摘した。この理由として、入院単価の減少や平均在院日数の短縮、入院患者数や診療所の外来患者数の減少、病床数の減少、病床利用率の低下などをあげた。

また、医療費の動向調査をみても、2016年度改定以降、ほぼフラットで推移していると説明。革新的なC型肝炎治療薬の登場により、「肝硬変、肝不全の患者が減少した」ことを理由にあげた。横倉会長は、「C型肝炎治療薬のイノベーションの成果だ。それとともに、幸福の原点は健康だが、病に苦しむ人がいれば何としてでも助けたいという医療人の願いが実現された結果だろう」、「イノベーションによる医療というものが、徐々に医療費の伸びの抑制に変革して出ている」と述べ、イノベーションが医療費抑制に寄与するとの考えを示した。さらに、日本医師会が糖尿病性腎症の透析への進展抑制、コスト意識をもった処方などを提言し、医療現場自らが率先して効持続可能な医療提供体制の構築に取り組んでいる姿勢を強調した。
 

◎かかりつけ医以外の受診時定額負担「かかりつけ医普及に水を差す」


財政審の建議で、賃金・物価動向に比べて診療報酬本体が高い水準だと示されたが、改めて「恣意的だ」と指摘した(関連記事はこちら)。横倉会長は、「社会保障と経済は相互作用の関係にある」と述べ、社会保障の充実を改めて強調。医療従事者300万人の雇用を守るためにも、改めて財源確保の重要性を訴えた。

建議に盛り込まれた具体的な改革項目にも言及。かかりつけ医以外を受診した際の定額負担については、かかりつけ医制度が2014年度診療報酬改定で点数が新設され、まだ制度スタートから間もないことから、「国民一人ひとりがかかりつけ医をもつに至っておらず、混乱を招く恐れがある」、「かかりつけ医の普及に水を差す」と牽制した。一方で、「フリーアクセスをしっかりと守りながら、大病院、中小病院、診療所の外来機能について検討を進めていかないといけない」と述べた。

地域別の診療報酬の特例の設定については、「医療は社会全体の共通の資産」と述べ、地域ごとに格差を生むような形には反対した。先発品と後発品の保険給付額を超える部分について患者負担とする、いわゆる参照価格様の制度導入が盛り込まれたことについては、「医療保険部会や中医協で慎重に議論すべき」と述べた。
 

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